1面の鏡 ― 1953年に国宝
海獣葡萄鏡は、千葉県香取市の香取神宮が所有する工芸品で、1904年(明治37年)2月18日に重要文化財となり、1953年(昭和28年)3月31日に国宝に指定された。員数は1面である。
千葉県は指定日を明治37年2月18日と記す。文化庁データベースで重要文化財の日とされる日を、県は指定日として示している。国宝は昭和28年(1953年)と別に記される。
1953年3月31日の国宝は、浄土寺多宝塔、崇福寺大雄宝殿、犀角柄刀子、玳瑁装牙櫛と同じ日である。
同じ型の鏡が、正倉院にもある
二面の鏡が、同じ型から生まれている。
千葉県は、正倉院御物のなかに同じ型を用いた鏡があり、唐の時代の中国で盛行した海獣葡萄鏡の中でも典型的な優品である、と記す。
続けて、8世紀に中国からもたらされ、一面は聖武天皇の遺品として正倉院に伝えられ、一面は香取神宮の秘宝として伝えられたとされる、とする。
同じ型で作られた二面が、一方は天皇の遺品として、他方は神宮の秘宝として別々に伝わった。
太山寺本堂では同名の国宝が兵庫県と愛媛県にあり、黒韋威胴丸では同名の国宝が広島県と奈良県にあった。それらは名が同じ別の物である。
本件は物として同じ型から出ている。名の一致ではなく、作りの一致になる。
重量が、0.1グラム単位で記される
数値の精度が細かい。
直径29.5センチメートル、縁の高さ2センチメートル、重量537.5グラムとされる。
重量が537.5グラムと、0.1グラムの位まで示されている。
北海道白滝遺跡群出土品では、総重量約12トンと概数で示されていた。あちらは規模の大きさを伝えるための数である。
本件は一面の鏡であり、精度のほうに寄っている。重さの記され方が対極にある。
厚みも一様ではない。鏡面にはわずかに反りがあり、中央部は薄く外縁部になるほど厚くなっている、とされる。
三重の帯に、生き物が層ごとに分かれて配される
文様が同心の帯に分かれ、帯ごとに生き物の種類が変わる。
中央には、たてがみを渦巻かせて獲物をくわえながら四肢をふまえてうずくまる、海獣の鈕が置かれる。
中心部の区画は、葡萄の果実と葉を交互に配し蔓をからませた文様を地文として、大小の8獣が舞っている、とされる。
その外側の幅の狭い区画には、葡萄唐草文を地文として胡蝶・蜻蛉・蟷螂などの昆虫や小鳥を配している、とある。
そして外周の帯部には、獅子・馬・鹿・麒麟の走獣に孔雀・鴛鴦・鳳凰・鶏の鳥類が対になって配されている、と続く。
中央は獣、中間は昆虫と小鳥、外周は走獣と鳥である。外周では四種の走獣と四種の鳥が対になっている。線刻千手観音等鏡像では、13.9センチメートルのなかに七つの像があった。本件は帯で層が分けられている。
鑑賞
所在は千葉県香取市香取1697で、所有は香取神宮である。
公開の経緯も記される。明治時代までは、神鏡として本殿内陣に秘蔵されていた、とある。
長く人目に触れない場所に置かれていた。那須国造碑では、忌避されていた石が僧の耳に入って顕彰へ向かった。
本件は、大切に隠されていたものが明治以降に知られるようになった形になる。
千葉県は、正倉院御物及び愛媛県の大山祇神社の神鏡と合わせて日本三銘鏡と称される、とも記す。神社が保管する鏡であり、常設で公開される性格のものではない。訪問前に確認したい。
Q&A
- 海獣葡萄鏡はいつ指定されましたか。
- 1904年(明治37年)2月18日に重要文化財、1953年(昭和28年)3月31日に国宝へ指定されました。千葉県は前者を指定日として記します。
- 同じような鏡が他にもあるのですか。
- あります。千葉県は「正倉院御物のなかに同じ型を用いた鏡があり」と記します。一面は聖武天皇の遺品、一面は香取神宮の秘宝として別々に伝わったとされます。
- 大きさと重さはどのくらいですか。
- 直径29.5センチメートル、縁の高さ2センチメートル、重量537.5グラムです。重さが0.1グラムの位まで示されています。
- どのような文様ですか。
- 三重の帯に分かれます。中心部は大小の8獣、その外側は胡蝶・蜻蛉・蟷螂などの昆虫や小鳥、外周は獅子・馬・鹿・麒麟と孔雀・鴛鴦・鳳凰・鶏が対になっています。
- 以前から見られたのですか。
- 違います。千葉県は「明治時代までは、神鏡として本殿内陣に秘蔵されていた」と記します。長く人目に触れない場所に置かれていました。
基本情報
| 名称 | 海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)/正倉院御物に同じ型を用いた鏡がある |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県香取市香取1697 |
| 指定区分 | 国宝(工芸品) |
| 指定年 | 1904年(明治37年)2月18日 重要文化財/1953年(昭和28年)3月31日 国宝 |
| 員数 | 1面 |
| 寸法 | 直径29.5センチメートル、縁の高さ2センチメートル、重量537.5グラム。白銅質の円鏡で、鏡面にわずかな反りがあり中央部は薄く外縁部ほど厚い。中央に海獣の鈕を置き、中心部に8獣、中間の区画に昆虫と小鳥、外周に走獣4種と鳥4種を対に配する |
| 所有者 | 香取神宮 |
| 公開状況 | 神社が保管する鏡で、常設の公開ではない。明治時代までは本殿内陣に秘蔵されていた |
参考文献
- 千葉県 海獣葡萄鏡
- https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/bunkazai/n140-001.html
- 香取神宮 宝物
- https://katori-jingu.or.jp/about/treasure/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
- 文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/
最終更新日: 2026.09.06