黄金に輝く宮地嶽古墳の至宝
福岡県福津市の宮地嶽神社境内に位置する宮地嶽古墳は、「地下の正倉院」と称される日本屈指の考古学的発見の地です。7世紀前半に築造されたこの円墳からは、300点を超える豪華な副葬品が出土し、そのうち20点以上が国宝に指定されています。金銅製の馬具や巨大な頭椎大刀、精巧な透かし彫りの冠など、これらの宝物は古代日本の海上交通を支配した豪族の権力と富を今に伝えています。
国宝指定の理由 - 比類なき価値と美
宮地嶽古墳出土品が1952年に国宝に指定された理由は、その卓越した芸術性と歴史的重要性にあります。これらの副葬品は、7世紀における日本の金属工芸技術の頂点を示すとともに、大陸との文化交流の証でもあります。
特に注目すべきは金銅装の豪華な馬具です。各種文様を薄肉彫りで表現した装飾性の高さは、当時の技術水準の高さを物語っています。忍冬文(にんどうもん)を表した壺鐙(つぼあぶみ)のフォルムの優美さは、他に類を見ない芸術品として評価されています。
圧巻なのは推定全長2.4~2.8メートルという巨大な頭椎大刀(かぶつちのたち)です。この儀礼用の大刀は、被葬者の並外れた権力を象徴する品として、考古学的にも極めて重要な意味を持っています。
さらに、歩揺(ほよう)を垂下した金銅製の冠は、透かし彫りによって流雲文の間に竜を配置した精巧を極めた作品です。これらの出土品は、単なる副葬品を超えて、古代日本の工芸技術の最高峰を示す文化財として、国宝にふさわしい価値を持っています。
日本第2位の巨大石室
宮地嶽古墳の横穴式石室は全長約23.5メートルに及び、日本で2番目の長さを誇ります。第1位の奈良県橿原市の見瀬丸山古墳は宮内庁の陵墓参考地のため立ち入りができないことから、実際に中に入ることができる古墳としては日本最長の石室となっています。
高さ・幅ともに5メートルを超える巨大な石を積み重ねて造られたこの石室は、当時の土木技術の高さと、これを築造した豪族の権力の大きさを示しています。この地を支配した宗像氏は、日本と大陸を結ぶ海上交通の要衝を押さえ、ヤマト王権とも深いつながりを持っていたと考えられています。
年に2度の奇跡「光の道」
宮地嶽神社は古代の宝物だけでなく、現代においても「光の道」現象で全国的な注目を集めています。毎年2月下旬と10月下旬の年2回、参道の延長線上に夕日が沈み、神社の石段から玄界灘まで一直線に黄金の道が現れます。
この神秘的な光景は、嵐が出演した日本航空のCMで一躍有名になりました。「光の道ウィーク」と呼ばれる期間中は、夕陽の祭が開催され、全国から多くの参拝者が訪れます。当日は午後2時から無料の整理券が配布され、特別祈願席(要予約、5,000円)も用意されています。
国宝を観る - 九州国立博物館での展示
宮地嶽古墳出土の国宝は、主に太宰府市の九州国立博物館に寄託され、常設展示や特別展で公開されています。博物館では多言語での詳しい解説があり、これらの至宝の価値と美しさを深く理解することができます。
宮地嶽神社境内では、古墳そのものを見学することができます。石室内部は通常非公開ですが、年3回の大祭時には特別に公開されることがあります。また、神社には「三つの日本一」として知られる直径2.6メートルの大注連縄(おおしめなわ)、重さ450キログラムの大鈴、大太鼓があり、これらも見どころの一つです。
境内の奥には「奥之宮八社」と呼ばれる八つの社があり、一社一社をお参りすれば大願が叶うという信仰があります。
アクセスと参拝情報
宮地嶽神社はJR鹿児島本線福間駅から約2キロメートルの距離にあります。徒歩で約25分、タクシーで約5分、西鉄バスを利用の場合は「宮地嶽神社前」バス停で下車し徒歩3分です。参拝は日の出から日没まで可能で、通常の参拝に料金はかかりません。
国宝の実物を見学したい方は、太宰府市の九州国立博物館へ。福岡市内から西鉄電車でアクセス可能です。開館時間は火曜日から日曜日の9時30分から17時(月曜休館、祝日の場合は翌平日)です。
訪問のベストシーズンは「光の道」が見られる2月下旬と10月下旬ですが、春の桜、初夏の菖蒲、秋の紅葉など、四季を通じて美しい花々が楽しめます。
周辺の見どころ
福津市には古代日本の歴史に触れられる多くの魅力的なスポットがあります。神社から見える相島(あいのしま)は、古代の海上交通において重要な役割を果たした島で、現在も美しい自然が残されています。
宮地嶽古墳が属する津屋崎古墳群には、他にも重要な古墳が点在しており、歴史散策路として整備されています。特に手光波切不動古墳は、宮地嶽古墳と同様の石室構造を持つ重要な古墳として知られています。
写真愛好家には「福津うみがめ」と呼ばれる干潮時の海岸がおすすめです。津屋崎と福間の間に広がる3キロメートルの宮地浜海岸では、干潮時に浅瀬が鏡のように空を映し出す幻想的な光景が見られます。
また、神社境内には江戸時代の古民家を移築した民家村があり、日本の伝統的な農村生活の様子を知ることができます。古代から近世まで、様々な時代の日本文化に触れられる貴重なエリアです。
よくある質問
- 「光の道」はいつ見ることができますか?
- 年2回、2月18日~25日頃と10月16日~24日頃に見ることができます(天候による)。夕日が沈む30分~1時間前が最適な観賞時間です。期間中は毎日午後2時から無料整理券が配布されます。
- 古墳の石室内部に入ることはできますか?
- 通常は保護のため非公開ですが、年3回の大祭時には特別公開されることがあります。具体的な日程は神社にお問い合わせください。非公開時でも入口の巨大な石組みは見学可能です。
- 実際の国宝はどこで見られますか?
- 本物の出土品は太宰府市の九州国立博物館に展示されています(福岡市内から約40分)。展示品は定期的に入れ替わるため、最新の展示情報は博物館のウェブサイトでご確認ください。神社の宝物館では一部レプリカを展示しています。
- 宮地嶽神社の拝観料はありますか?
- 通常の参拝は無料です。「光の道」期間中の特別祈願席は5,000円(要予約)です。宝物館は特別展示期間のみ有料の場合があります。
- なぜ「地下の正倉院」と呼ばれるのですか?
- 奈良の正倉院宝物に匹敵する豪華で芸術的価値の高い品々が多数出土したことから、この愛称がつきました。金銅製品を中心とした副葬品の質と量は、古墳時代終末期の宝物として他に類を見ない貴重なものです。
基本情報
| 名称 | 宮地嶽古墳(みやじだけこふん) |
|---|---|
| 築造時期 | 6世紀末~7世紀前半 |
| 形状 | 円墳(直径約30メートル) |
| 石室規模 | 全長約23.5m、高さ・幅約5m(日本第2位) |
| 所在地 | 福岡県福津市宮司元町7-1 |
| アクセス | JR福間駅から徒歩約25分 |
| 国宝指定 | 20点以上(金銅装馬具、頭椎大刀、金銅製冠など) |
| 展示施設 | 九州国立博物館(太宰府市) |
| 指定年月日 | 国宝:1952年3月29日、史跡:2005年3月2日 |
| 問い合わせ | 宮地嶽神社 TEL:0940-52-0016 |
参考文献
- 福岡県文化財データベース
- https://www.fukuoka-bunkazai.jp/frmDetail.aspx?db=1&id=45
- 宮地嶽神社公式サイト
- https://www.miyajidake.or.jp/
- 九州国立博物館
- https://www.kyuhaku.jp/
- ウィキペディア - 宮地嶽古墳
- https://ja.wikipedia.org/wiki/宮地嶽古墳
- 文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/
- 国立文化財機構 e国宝
- https://emuseum.nich.go.jp/
最終更新日: 2025.11.06
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