中山道太田宿のもと旅籠 ― 2014年に登録
吉田家住宅主屋は、岐阜県美濃加茂市太田本町2丁目字上町3799にある建物で、2014年(平成26年)12月19日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は木造2階建、瓦葺、建築面積188平方メートルである。
文化庁の年代欄は「江戸/1830年から1868年/1883年から1897年改修」と二段になっている。建築が38年、改修が14年の幅で記され、いずれも年が絞られていない。
解説によれば、中山道太田宿のもと旅籠で、旧道に北面して建つ。文化庁の評価は「太田宿に残る近世の旅籠として貴重な遺構」である。
塗り込めながら部材は見せる
文化庁の記載で目を引くのは、正面の扱いである。
正側面の上部は軒まで漆喰で塗込め、正面では長押や軒の腕木を表し、両端に袖壁を設ける。
漆喰で軒まで塗り込めるのは、火が回るのを防ぐためである。木部を露出させないことで、飛び火に強くなる。
ところが、正面では長押と軒の腕木を表に出している。塗り込めながら、一部の部材はあえて見せていることになる。
防火の要請と、外観を整える要請が同じ面で折り合っている。すべてを塗り込めれば防火には有利だが、正面の意匠は失われる。そこを部材の表出で保っている。
両端の袖壁も、隣家との間で火を止める役割をもつ。正面全体が、防火を前提に組み立てられている。
間口六間に下屋と出格子
正面の構成はさらに具体的に記される。間口六間で、前面に下屋を設けて出格子をたてる。
下屋は主屋の前に一段低く差し掛ける屋根で、その下に半屋外の空間ができる。街道に面する側に、庇の下の空間を作ることになる。
出格子は壁面から張り出した格子である。格子越しに外の様子が見え、外からは中が見えにくい。旅籠の正面にふさわしい設えといえる。
建築面積188平方メートル、間口六間の木造2階建である。街道に面した間口が広い。
内部については、西寄りに居室を並べるとのみ記される。文化庁は客室の構成までは記していない。
北面するという立地
文化庁は、この建物が旧道に北面して建つと記す。
正面が北を向いている。日照の面では不利だが、街道の向きに従えばそうなる。街道沿いの町家は、道に面する側が正面になる。
下屋と出格子は、その北面に設けられている。日が直接差し込まないため、格子の内側は一日を通して落ち着いた明るさになる。
文化庁の関連作品には、旧太田脇本陣林家住宅の表門・隠居家・質倉、旧旅籠柏屋主屋などが並ぶ。太田宿には複数の建物が登録されている。
所有者名の欄は空欄である。個人所有の可能性がある。
見学
文化庁は公開についての記載を持たない。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではない。
訪問を計画する前に、美濃加茂市の案内などで公開の有無を確かめたい。
外観は街道から見られる。下屋と出格子、軒まで塗り込めた上部、そこに表れる長押と腕木、両端の袖壁が、北面する正面で確かめられる。
所在は岐阜県美濃加茂市太田本町2丁目字上町3799である。
Q&A
- 吉田家住宅主屋はいつ登録されましたか。
- 2014年(平成26年)12月19日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、木造2階建、瓦葺、建築面積188平方メートルです。
- いつ建てられたものですか。
- 文化庁の年代欄は「江戸/1830年から1868年/1883年から1897年改修」と二段になっています。建築が38年、改修が14年の幅で記され、いずれも年が絞られていません。
- 正面の特徴は何ですか。
- 文化庁は「正側面の上部は軒まで漆喰で塗込め、正面では長押や軒の腕木を表し、両端に袖壁を設ける」と記します。漆喰で塗り込めるのは防火のためですが、長押と腕木はあえて表に出しており、防火と外観の要請が同じ面で折り合っています。
- 下屋と出格子とは何ですか。
- 下屋は主屋の前に一段低く差し掛ける屋根で、その下に半屋外の空間ができます。出格子は壁面から張り出した格子で、格子越しに外の様子が見え、外からは中が見えにくくなります。間口六間の前面に設けられています。
- 見学できますか。
- 文化庁は公開についての記載を持たず、所有者名の欄も空欄です。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではありません。訪問前に美濃加茂市の案内などで確かめてください。外観は街道から見られます。
基本情報
| 名称 | 吉田家住宅主屋(よしだけじゅうたくしゅおく) |
|---|---|
| 所在地 | 岐阜県美濃加茂市太田本町2丁目字上町3799 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2014年(平成26年)12月19日 登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、瓦葺、建築面積188平方メートル。中山道太田宿のもと旅籠で旧道に北面して建つ。間口6間で前面に下屋を設けて出格子をたて、正側面の上部は軒まで漆喰で塗込め、正面では長押や軒の腕木を表し、両端に袖壁を設ける。内部は西寄りに居室を並べる。江戸時代 |
| 所有者 | 文化庁データベースの所有者名の欄は空欄 |
| 公開状況 | 公開についての記載はない。外観は街道から見られる |
参考文献
- 文化遺産オンライン 吉田家住宅主屋
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/274306
- 岐阜県観光連盟 中山道太田宿
- https://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_6703.html
- 文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.04