四将像の四代目 ― 1966年に国宝

絹本著色金沢貞将像は、神奈川県横浜市金沢区の称名寺が所有する鎌倉時代の肖像画で、1900年(明治33年)4月7日に重要文化財となり、1966年(昭和41年)6月11日に国宝に指定された。

同じ称名寺に伝わる北条実時像、北条顕時像、金沢貞顕像とあわせて「四将像」と呼ばれる。四幅は金沢北条氏の一門四代を描き、指定の日はすべて同じである。

実時、顕時、貞顕、貞将の順に代が下る。本件は四代目、四将像の最後の世代にあたる。

同じ四幅のうち、この一件だけ英語名の語順が違っていた

この物件については、英語名称に二つの誤りがあった。

Colored Statue of Sadamasa Kanazawa on Silk となっていた。Statue は彫像を意味する語で、絹に描いた絵には当たらない。

もう一つは語順である。Sadamasa Kanazawa と、名を先に置いていた。同じ四将像の金沢貞顕像は Portrait of Kanazawa Sadaaki と姓を先に置き、北条顕時像も Portrait of Hojo Akitoki である。

四幅のうち、この一件だけ語順が異なっていた。Portrait of Kanazawa Sadamasa, Color on Silk に修正している。

同じ日に指定され、同じ寺に伝わり、同じ群を成す四幅であっても、英語名称の付け方は揃っていなかった。

四将像の説明は実時像の記録にある

四幅は別々の物件として記録されているが、群全体の説明は一つにまとまっている。

北条実時像の記録に、本図は「四将像」の名で金沢北条氏の菩提寺、称名寺に伝わったもので、歴史上著名な武人の一門四代にわたる肖像画として、文化史的にもきわめて価値の高いものである、とある。

文化遺産オンラインで検索して個別の記録が返るのは実時像だけである。本件を含む他の三幅について、同じ内容の解説は見当たらない。

評価も実時像の記録にある。画像の製作時期はいずれも像主の生存年代に近く、描写もすぐれ、鎌倉時代の代表的作品である、とされる。

四幅を代表して、一つの記録が群全体を語っている。

附指定の顕弁像

実時像の記録には、附指定についての記述もある。

なお、附指定された顕弁像は貞顕の兄に当たり、鶴岡八幡宮の別当として僧正にまでなった人である、とある。

顕弁は貞顕の兄であり、本件の貞将から見れば伯父にあたる世代である。四将が武人であるのに対し、顕弁は僧である。

ここまで扱った物件では、附指定は「なし」であることが多かった。人物の肖像が附として加えられる例は、この四将像が唯一である。

顕弁像を含めれば五幅になる。四将像という呼び名には入らないが、指定の範囲には入っている。

鑑賞

所有は称名寺で、神奈川県横浜市金沢区にある。寺が所蔵する絵画であり、常設で公開される性格のものではない。

絵は光に弱く、公開期間が限られるのが通例である。四将像は四幅が別々の記録をもつため、揃って展示されるとは限らない。

附指定の顕弁像を含めれば五幅になる。すべてが一堂に会する機会はさらに限られる。

同じ寺の称名寺境内は史跡に指定されており、称名寺聖教/金沢文庫文書も別に記録されている。絵画、境内、文書がそれぞれ別の物件として扱われている。

Q&A

Q絹本著色金沢貞将像はいつ指定されましたか。
A1900年(明治33年)4月7日に重要文化財、1966年(昭和41年)6月11日に国宝へ指定されました。所有は神奈川県横浜市金沢区の称名寺です。
Q四将像のどれにあたりますか。
A実時、顕時、貞顕、貞将の順に代が下り、本件は四代目にあたります。四将像の最後の世代です。四幅とも指定の日は同じで、いずれも称名寺が所有します。
Q英語名称に誤りがあったのですか。
A二つありました。絹本著色は絵画であり Statue ではない点と、Sadamasa Kanazawa と名を先に置いていた点です。同じ四将像の他の二幅は姓を先に置いており、この一件だけ語順が異なっていました。
Q解説はどこにありますか。
A北条実時像の記録にあります。文化遺産オンラインで個別の記録が返るのは実時像だけで、四将像全体の説明も評価もそこにまとめられています。
Q附指定されているものはありますか。
A顕弁像が附として指定されています。貞顕の兄で、鶴岡八幡宮の別当として僧正にまでなった人と記されます。四将が武人であるのに対し、顕弁は僧です。

基本情報

名称絹本著色金沢貞将像(けんぽんちゃくしょくかねさわさだまさぞう)
所在地神奈川県横浜市金沢区。所有者は称名寺
指定区分国宝(絵画)/四将像のうちの一幅で、他の3幅も別に記録される/顕弁像が附指定
指定年1900年(明治33年)4月7日 重要文化財/1966年(昭和41年)6月11日 国宝
員数1幅
寸法文化庁は寸法を記していない。実時像の記録によれば、四将像は金沢北条氏の一門4代にわたる肖像画で、製作時期はいずれも像主の生存年代に近いとされる。鎌倉時代
所有者称名寺
公開状況寺が所蔵する絵画で、常設の公開ではない。4幅が揃って展示されるとは限らない

参考文献

文化遺産オンライン 絹本著色北条実時像(四将像の記述を含む)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/188686
文化遺産オンライン 称名寺境内
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/171785
文化遺産オンライン 称名寺聖教/金沢文庫文書
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/390121
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.05