1口の大刀 ― 1958年に国宝
{金銅荘環頭大刀拵/大刀身}は、高知県の小村神社が所有する古墳時代の工芸品で、1956年(昭和31年)6月28日に重要文化財となり、1958年(昭和33年)2月8日に国宝に指定された。員数は1口である。
1956年6月28日の重要文化財は、春日大社の二口の兵庫鎖太刀と同じ日である。あちらは同じ日に国宝にもなっているが、本件は2年後の国宝になる。
名称は波括弧で二つを並べる形をとる。拵と大刀身が、一つの名のなかで区切られている。文化庁データベースの所在地の欄は空で、これで17件目になる。
同じ記録に、誤字が二つある
解説文の二か所に、文字の乱れがある。
一つは、この大刀は社殿の奥に秘められたきた伝世品であることも貴重、という箇所である。
秘められてきた、とあるべきところが秘められたきた、になっている。
もう一つは、中身は銹びて形体が崩れていたものを新たに研ぎ直してもので、比較的健全であり、という箇所である。
研ぎ直したもので、とあるべきところが研ぎ直してもので、になっている。
沃懸地酢漿紋兵庫鎖太刀では、その他が「そのた」と一字抜けていた。本件は一つの解説文のなかに二つの乱れがある。これまでで最も多い。
寸法が、拵と中身で二組に分かれる
数値の並びが、途中で切れて二度目が始まる。
まず拵について、総長119.0、柄頭長7.4、同幅10.6、柄長19.4、同幅3.8から3.2、鞘長103.2、同幅3.3から2.8、鐔径5.6センチメートルと記される。
そのあとに、中身長68.3、元幅2.9、先幅2.3、鋒長2.0、茎長11.2強センチメートルと続く。単位が二度示されている。
柄の幅は3.8から3.2、鞘の幅は3.3から2.8と、範囲で書かれる。先へ行くほど細くなっている。
茎長には強が付く。11.2をわずかに超える、という意味である。数値に接尾辞が付く例は、これが初めてになる。
柄頭長7.4は柄長19.4の4割近い。環になった頭が、柄のかなりの部分を占めている。
年代の判断に、留保が二つ重なる
いつ作られたかについて、記録が言い切っていない。
大陸の様式が次第に受容されたものと見え、恐らく古墳時代末頃の製作と考えられている、とある。
と見え、恐らく、考えられている、と留保が続く。断定は避けられている。
功山寺仏殿では、説もあるが妥当かと思われる、とされていた。あちらは二つの見方を示したうえでの判断である。
本件は見方が一つで、その確からしさに留保が付いている。
時代の欄も二通りある。古墳と上古が並んでいる。区分そのものが一つに定まっていない。
鑑賞
所有は小村神社である。所在都道府県の欄は高知県とされるが、所在地の欄は空である。
手が加えられたことも記される。中身は銹びて形体が崩れていたものを新たに研ぎ直した、とされる。
錆びて崩れていたものを研ぎ直している。線刻千手観音等鏡像では、火を受けた跡が直されずに残っていた。
本件は直されている。そのうえで、比較的健全であり、地鉄の鍛えもよく、刃文も素朴である、と評価される。
欠けている部分もある。襠底金欠失、とある。同じ高知県には古今和歌集巻第廿(高野切本)があり、こちらは高知県が所有する。神社が保管する大刀であり、常設で公開される性格のものではない。訪問前に確認したい。
Q&A
- この大刀はいつ指定されましたか。
- 1956年(昭和31年)6月28日に重要文化財、1958年(昭和33年)2月8日に国宝へ指定されました。員数は1口、所有は小村神社です。
- 名称に波括弧があるのはなぜですか。
- 拵と大刀身という二つを一つの名のなかで区切るためです。{金銅荘環頭大刀拵/大刀身}と、斜線で区切って併記されています。
- 寸法はどのくらいですか。
- 拵と中身で二組に分かれます。拵は総長119.0センチメートルなど、中身は中身長68.3センチメートルなどで、単位が二度示されています。
- いつ作られたのですか。
- 文化庁は「恐らく古墳時代末頃の製作と考えられている」と記します。留保が重ねられており、時代の欄も古墳と上古の二通りがあります。
- 手が加えられているのですか。
- はい。文化庁は「中身は銹びて形体が崩れていたものを新たに研ぎ直した」と記します。また襠底金は欠失しています。
基本情報
| 名称 | {金銅荘環頭大刀拵/大刀身}(こんどうそうかんとうたちこしらえ/たちのみ)/拵と刀身を波括弧と斜線で併記する |
|---|---|
| 所在地 | 所在都道府県の欄は高知県。所在地の欄は空で、所有者は小村神社とされる |
| 指定区分 | 国宝(工芸品) |
| 指定年 | 1956年(昭和31年)6月28日 重要文化財/1958年(昭和33年)2月8日 国宝 |
| 員数 | 1口 |
| 寸法 | 拵は総長119.0、柄頭長7.4、同幅10.6、柄長19.4、同幅3.8から3.2、鞘長103.2、同幅3.3から2.8、鐔径5.6センチメートル。中身は中身長68.3、元幅2.9、先幅2.3、鋒長2.0、茎長11.2強センチメートル。襠底金は欠失。時代は古墳ないし上古 |
| 所有者 | 小村神社 |
| 公開状況 | 神社が保管する大刀で、常設の公開ではない |
参考文献
- 文化遺産オンライン 金銅荘環頭大刀拵/大刀身
- https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/125714
- 日高村 観光
- https://www.vill.hidaka.kochi.jp/kankou/spot_26_watch.html
- 高知県 文化財
- https://www.pref.kochi.lg.jp/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.06