5棟の社殿 ― 2008年に国宝
青井阿蘇神社は、熊本県人吉市上青井町にある社殿で、1933年(昭和8年)1月23日に重要文化財となり、2008年(平成20年)6月9日に国宝に指定された。所有は青井阿蘇神社である。
国宝となっているのは本殿、幣殿、拝殿、廊、楼門の5棟である。それぞれが1棟として別々に記録されている。
重要文化財から国宝まで75年が経っている。木造五智如来坐像の109年、四将像の66年のあいだにあたる。
同じ境内に、国宝と登録有形文化財が並ぶ
この神社の境内には、指定の区分が違う建造物が併存している。
社殿5棟は国宝である。一方、青井阿蘇神社禊橋は登録有形文化財で、登録年月日は2017年(平成29年)10月27日とされる。
禊橋は大正時代、1921年の建造である。コンクリート造3連アーチ橋、橋長27メートル、幅員3.8メートルと記録される。
紙本墨画拾得図の周辺には重要文化財と登録美術品があり、曜変天目茶碗の周辺には国宝と重要美術品があった。それらは別々の場所にある物件だった。
本件は違う。同じ神社の境内で、桃山時代の社殿が国宝、大正時代の橋が登録有形文化財になっている。指定と登録が一つの場所に並んでいる。
5棟すべてに、同じ解説が付いている
解説文の付き方にも特徴がある。
本殿の記録にも、楼門の記録にも、まったく同じ解説文が入っている。青井阿蘇神社は、中世以降、領主相良氏の崇敬を受けた、で始まる文である。
四将像では、四幅のうち実時像の記録にだけ解説があり、他の三幅には付いていなかった。一幅が群を代表する形である。
本件は逆で、全棟に同じ文が付く。どの棟の記録を開いても、社殿全体の説明が読める。
解説は社殿をまとめて評価する。青井阿蘇神社の社殿は、中世球磨地方に展開した独自性の強い意匠を継承しつつ、桃山期の華やかな意匠を機敏に摂取しており、完成度も高く、近世球磨地方における社寺造営の規範となっている、とある。
屋根の材が棟ごとに違う
個々の棟の記録を見ると、造りが違う。
本殿は三間社流造、銅板葺、桃山/1610とされる。楼門は三間一戸楼門、寄棟造、茅葺、桃山/1613とされる。
屋根の材が、本殿は銅板、楼門は茅である。建てられた年も3年違う。
解説は、現在の社殿は慶長15年(1610年)より同18年に建てられ、と記す。一度に建ったのではなく、数年かけて造られたことになる。
旧来の記述に「日本初の茅葺き国宝」とするものが見られるが、文化庁の記録に他の国宝との比較はない。本稿はこの評価を記さない。
参拝
所在は熊本県人吉市上青井町で、所有は青井阿蘇神社である。境内に建つ社殿であり、外観は参拝の際に見ることができる。
解説は配置も記す。境内の奥に本殿から拝殿が連続して建ち、前方に楼門が建つ、とある。奥から本殿、幣殿、拝殿と並び、その前に楼門が立つ。
社殿は黒漆塗を基本とし、本殿と幣殿は、随所に優れた彫刻や錺金具などが配される。また楼門は本格的な禅宗様式である、とされる。
内部の拝観については神社の定めによる。訪問前に確認したい。
Q&A
- 青井阿蘇神社はいつ国宝に指定されましたか。
- 2008年(平成20年)6月9日です。1933年(昭和8年)1月23日の重要文化財から75年が経っています。国宝となっているのは本殿、幣殿、拝殿、廊、楼門の5棟です。
- 境内に別の文化財もあるのですか。
- 青井阿蘇神社禊橋が登録有形文化財として2017年(平成29年)10月27日に登録されています。1921年建造のコンクリート造3連アーチ橋で、橋長27メートル、幅員3.8メートルです。同じ境内に国宝と登録有形文化財が並んでいます。
- 建てられたのはいつですか。
- 文化庁は「現在の社殿は慶長15年(1610年)より同18年に建てられ」と記します。本殿は1610年、楼門は1613年とされ、数年かけて造られています。
- 屋根はすべて茅葺ですか。
- 違います。本殿は三間社流造で銅板葺、楼門は三間一戸楼門で寄棟造、茅葺とされます。屋根の材が棟ごとに違います。
- 何が評価されているのですか。
- 文化庁は「中世球磨地方に展開した独自性の強い意匠を継承しつつ、桃山期の華やかな意匠を機敏に摂取しており、完成度も高く、近世球磨地方における社寺造営の規範となっている」とし、影響が広く南九州地方に認められるとします。
基本情報
| 名称 | 青井阿蘇神社(あおいあそじんじゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 熊本県人吉市上青井町 |
| 指定区分 | 国宝(建造物)/同じ境内の禊橋は登録有形文化財 |
| 指定年 | 1933年(昭和8年)1月23日 重要文化財/2008年(平成20年)6月9日 国宝 |
| 員数 | 5棟(本殿、幣殿、拝殿、廊、楼門) |
| 寸法 | 本殿は三間社流造、銅板葺で1610年。楼門は三間一戸楼門、寄棟造、茅葺で1613年。社殿は黒漆塗を基本とし、楼門は禅宗様式。時代は桃山 |
| 所有者 | 青井阿蘇神社 |
| 公開状況 | 境内に建つ社殿で、外観は参拝の際に見ることができる。内部の拝観は神社の定めによる |
参考文献
- 文化遺産オンライン 青井阿蘇神社 楼門
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/187716
- 文化遺産オンライン 青井阿蘇神社 本殿
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/176802
- 文化遺産オンライン 青井阿蘇神社禊橋(登録有形文化財)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/245798
- 青井阿蘇神社 公式サイト
- https://aoisan.jp/
最終更新日: 2026.09.05
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