14面の壁扉画 ― 1972年に国宝
鳳凰堂中堂壁扉画(板絵著色)は、京都府宇治市の平等院が所有する平安時代の絵画で、1972年(昭和47年)5月30日に国宝に指定された。員数は14面、分類は絵画、年代は1053年である。
文化庁データベースの重要文化財指定年月日の欄は空欄で、重要文化財を経ずに国宝へ指定されている。これまで扱った中で8件目にあたる。
解説は詳しい。制作の背景、描かれた内容、様式、評価に加えて、指定の理由まで記されている。1972年という指定の時期が、記録の詳しさに対応しているように見える。
「二重指定」という語が使われている
文化庁の解説には、めずらしい一文がある。
すでに建造物で国宝に指定されているが、その重要性を考慮して、今回二重指定となったものである。
鳳凰堂そのものは建造物として国宝に指定されている。その内部を飾る壁扉画が、絵画として別に指定された。文化庁はこれを二重指定と呼ぶ。
同じ物が二つの区分で指定されていることになる。建物として一度、その内部の絵として一度である。
しかも指定の理由が明記されている。その重要性を考慮して、とある。すでに建造物として守られているにもかかわらず、絵として改めて指定する判断がなされた。
五重塔初重壁画も塔の内部に描かれ、塔そのものは建造物として別に扱われているが、そちらの記録に二重指定の語はない。この記録は、関係を言葉にして示している。
建物の完成と同じ年
制作の時期についても記される。
鳳凰堂は、藤原頼通によって天喜元年(1053年)三月完成され、盛大に供養された。壁扉画の年代も1053年とされる。
建物の完成と絵の年代が一致している。五重塔初重壁画が天暦五年十月に塔の竣工と同時に成ったのと、同じ関係である。
作者については、当時一流の画家の手によったと思われる、とある。思われるという推定であり、名は記されていない。
文化庁は制作の年を確定させる一方、誰が描いたかは推定にとどめている。
やまと絵山水の中の来迎
描かれた内容も具体的である。
観無量寿経の所説によって九品来迎、日想観などが描かれている。経典の記述に基づいて主題が選ばれていることになる。
表現については、いずれもやまと絵山水の景観の中に、聖衆の来迎のさまを見事にあらわし、とある。
山水の景観の中に人物が現れる構成である。背景と主題が分かれるのではなく、一つの画面に組み込まれている。
評価は平安時代絵画屈指の傑作として貴重、とされる。旧来の記述に「日本最古の九品来迎図」とするものが見られるが、文化庁の記録に年代の比較はない。
拝観
所有は平等院で、京都府宇治市にある。壁扉画は鳳凰堂の内部にあり、堂の内部の拝観を通して見ることになる。
内部の拝観は人数や時間が限られることがある。訪問前に平等院の案内で条件を確認したい。
関連する物件として、金銅鳳凰(鳳凰堂中堂旧棟飾)と板絵著色聖徳太子像(太子堂壁画)が並ぶ。同じ寺に複数の物件があり、それぞれ別の記録をもつ。
14面という員数は、壁と扉に描かれた面の数を数えたものにあたる。五重塔初重壁画の18面と同じく、絵が建物の一部に描かれるとき、員数は面で数えられる。
Q&A
- 鳳凰堂中堂壁扉画はいつ国宝に指定されましたか。
- 1972年(昭和47年)5月30日です。員数は14面、分類は絵画、年代は1053年、所有は平等院です。重要文化財指定年月日の欄は空欄で、重要文化財を経ずに国宝へ指定されています。
- 二重指定とは何ですか。
- 文化庁は「すでに建造物で国宝に指定されているが、その重要性を考慮して、今回二重指定となったものである」と記します。鳳凰堂は建造物として指定されており、その内部の壁扉画が絵画として別に指定されました。
- いつ描かれたものですか。
- 年代は1053年です。文化庁は「鳳凰堂は、藤原頼通によって天喜元年三月完成され、盛大に供養された」と記し、建物の完成と絵の年代が一致します。作者については「当時一流の画家の手によったと思われ」と推定にとどめています。
- 何が描かれているのですか。
- 文化庁は「観無量寿経の所説によって九品来迎、日想観などが描かれている」とし、「やまと絵山水の景観の中に、聖衆の来迎のさまを見事にあらわし」と記します。経典の記述に基づいて主題が選ばれています。
- 日本最古の九品来迎図ですか。
- 文化庁の記録に年代の比較はありません。評価の言葉は「平安時代絵画屈指の傑作として貴重」であり、最古とは記されていません。
基本情報
| 名称 | 鳳凰堂中堂壁扉画(板絵著色)(ほうおうどうちゅうどうへきひが) |
|---|---|
| 所在地 | 文化庁データベースの所在地の欄は空欄。所有者は京都府宇治市の平等院 |
| 指定区分 | 国宝(絵画)/鳳凰堂は建造物としても国宝に指定されており、文化庁はこれを二重指定と記す |
| 指定年 | 1972年(昭和47年)5月30日 国宝 |
| 員数 | 14面 |
| 寸法 | 観無量寿経の所説によって九品来迎、日想観などを描き、やまと絵山水の景観の中に聖衆の来迎のさまをあらわす。鳳凰堂は藤原頼通によって1053年に完成しており、絵の年代も同じ |
| 所有者 | 平等院 |
| 公開状況 | 鳳凰堂の内部にあり、堂の内部の拝観を通して見る。人数や時間が限られることがある |
参考文献
- 文化遺産オンライン 鳳凰堂中堂壁扉画(板絵著色)
- https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/177782
- 平等院 鳳凰堂内部の拝観
- https://www.byodoin.or.jp/guide/internal-view/
- 平等院 拝観のご案内
- https://www.byodoin.or.jp/guide/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.05