慶長8年入城、寛永3年大改修 ― 国宝6棟と重要文化財22棟

二条城は、京都府京都市中京区二条通堀川西入二条城町にある慶長8年(1603年)成立の城郭で、その建造物28棟が昭和14年(1939年)10月28日に重要文化財に指定され、うち二の丸御殿の6棟が昭和27年(1952年)3月29日に国宝に指定された。所有は京都市である。

国宝6棟は二の丸御殿の遠侍及び車寄、式台、大広間、蘇鉄之間、黒書院、白書院である。重要文化財22棟は、東大手門、北大手門、西門、東南隅櫓、西南隅櫓、桃山門、鳴子門、南北の中仕切門、本丸櫓門、土蔵3棟、二の丸御殿の唐門・築地・台所・御清所、そして本丸御殿の玄関・御書院・御常御殿・台所及び雁之間からなる。本丸御殿の4棟は昭和19年(1944年)9月5日の追加指定である。

文化庁の解説は創建の経緯を記す。二条城は徳川家康が京都にのぼった時の居館として創築されたもので、慶長6年(1601年)に着手されたが、工事が行われたのは翌7年からと思われ、同8年3月には家康がここに入城しているから、この時すでに主要な部分は竣工していたのであろう。その後、三代将軍家光が寛永3年(1626年)の後水尾天皇の行幸を迎えるにあたり、大改修がなされた。

城内全体は史跡、二の丸庭園は特別名勝、二の丸御殿の障壁画1,016面は美術工芸品として別に重要文化財に指定されている。平成6年(1994年)に世界遺産「古都京都の文化財」の構成資産となった。

書院造の最も典型的な例 ― 雁行する6棟

文化庁は二の丸御殿を、桃山時代に完成された書院造の最も典型的な例と位置づける。

外観についてはこう記す。遠侍、式台、大広間、蘇鉄の間、黒書院、白書院などの各建築が接続しあるいは渡廊下でむすばれ、雁行して、大小の破風や屋根が重なり合って相ならぶ。雁行とは、雁が斜めに列をなして飛ぶように、建物を斜めにずらして連ねる配置をいう。東南から西北へ向かって6棟が段違いに並び、それぞれの屋根と破風が前後に重なって見える。

この配置は、来訪者が奥へ進むにつれて格の高い空間へ入っていく順路と対応している。車寄から入り、遠侍で控え、式台で取次を受け、大広間で将軍に謁見し、蘇鉄の間を経て黒書院、白書院へ至る。建物の並びそのものが、儀礼の序列を空間にしたものである。

二条城の公式解説は、江戸城・大坂城・名古屋城の御殿が失われた今日、国内の城郭に残る唯一の御殿群として国宝に指定された、と記す。城郭の御殿という建築の種類そのものが、ここにしか残っていない。

上段の間と障壁画 ― 桃山の手法

内部について文化庁は次のように記す。主要な部屋には上段の間があり、そこには書院造の格式である床、棚、書院を構え、帳台構を設ける。各部屋とも壁、襖には一面に狩野派の彩色の障壁画を描き、欄間には豊富な彫刻を嵌め、天井の格間には彩色画を施し、長押を始め随所に豊麗な飾り金具を打っている。これらの豪華な手法は桃山時代建築の特色を遺憾なく発揮したものである。

上段の間は将軍が座る一段高い床で、床・棚・書院・帳台構の四つを備えることが書院造の格式とされる。大広間の一の間がその代表で、慶応3年(1867年)に徳川慶喜が大政奉還の意思を表明した場でもある。

障壁画は寛永3年の大改修に際して狩野探幽らが描いたものである。建物の一部として扱われる天井画を除き、襖絵と壁画1,016面は美術工芸品として別に重要文化財に指定されている。現在、御殿内の障壁画の多くは模写に置き換えられ、原画は敷地内の障壁画展示収蔵館で保存・公開されている。

28棟で一件である理由

二の丸御殿の6棟だけを見れば書院造の御殿である。東大手門だけを見れば城の門である。28棟を並べて初めて、将軍の居館としての城郭が門・櫓・御殿・庭園という全体でどう成り立っていたかが読み取れる。

東大手門から入り、唐門をくぐって二の丸御殿へ至る。御殿の背後に台所と御清所が控え、築地が囲む。隅櫓と多門塀が外周を固め、中仕切門が郭を分け、土蔵が米を納める。本丸御殿は明治27年(1894年)に桂宮家の御殿を移築したもので、二の丸とは性格が異なるが、城の内側に将軍の居館と皇族の御殿が並ぶという構成そのものが、二条城が経てきた時代の重なりを示す。

国宝が二の丸御殿の6棟に限られるのは、書院造の典型としての建築的価値がこの6棟に集中しているためである。重要文化財の指定は城郭としての全体を評価し、国宝の指定は御殿としての建築を評価している。

拝観

開城は午前8時45分から午後4時まで、閉城は午後5時。二の丸御殿の受付は午後4時10分までである。休城日は12月29日から31日まで。二の丸御殿は1月・7月・8月・12月の毎週火曜日(休日の場合は翌日)と12月26日から28日、1月1日から3日が観覧休止となる。

入城料は二の丸御殿観覧料を含めて一般1,300円、中高生400円、小学生300円。入城のみは一般800円で、二の丸御殿を観覧する場合は総合案内所で観覧券500円を追加購入する。

本丸御殿は令和6年(2024年)9月に公開を再開し、事前予約制である。来城日の30日前からWEBチケットが販売され、一般1,000円、中高生300円、小学生200円。予約時間の20分前までに入城し、東大手門から本丸御殿まで15分から20分かかる。15名程度ずつ入殿する。

二の丸御殿と本丸御殿の内部は撮影禁止である。唐門と二の丸御殿の間では撮影できるが、一脚・三脚は使えない。二の丸御殿と庭園の観覧に1時間から1時間30分、本丸御殿を加えると2時間30分から3時間を見ておきたい。

交通は地下鉄東西線の二条城前駅からすぐ、JR二条駅から徒歩約15分。令和8年(2026年)は寛永行幸400年の記念事業が予定されている。

Q&A

Q二条城はいつ建てられ、どのように指定されていますか。
A慶長6年(1601年)に着手され、慶長8年(1603年)3月に徳川家康が入城しました。寛永3年(1626年)の後水尾天皇行幸に際して家光が大改修しています。建造物28棟が昭和14年(1939年)に重要文化財、うち二の丸御殿の6棟が昭和27年(1952年)に国宝に指定されました。
Q二条城の二の丸御殿はなぜ国宝なのですか。
A文化庁は桃山時代に完成された書院造の最も典型的な例と位置づけています。6棟が雁行して並び、主要な部屋に床・棚・書院・帳台構を備えた上段の間があり、狩野派の障壁画、欄間彫刻、天井画、飾金具が桃山時代建築の特色を発揮しています。国内の城郭に残る唯一の御殿群でもあります。
Q雁行とは何ですか。
A雁が斜めに列をなして飛ぶように、建物を斜めにずらして連ねる配置です。二の丸御殿では遠侍から白書院まで6棟が段違いに並び、屋根と破風が前後に重なって見えます。来訪者が奥へ進むほど格の高い空間へ入る順路と対応しており、建物の並びが儀礼の序列を空間にしています。
Q二条城の28棟が一件の指定なのはなぜですか。
A門・櫓・御殿・土蔵という城郭の全体が残っているためです。重要文化財の指定は城郭としての全体を、国宝の指定は二の丸御殿6棟の書院造としての建築を評価しています。本丸御殿4棟は明治27年に桂宮家の御殿を移築したもので、昭和19年に追加指定されました。
Q二条城の入城料と時間は。
A二の丸御殿観覧料を含めて一般1,300円、中高生400円、小学生300円。開城は午前8時45分から午後4時、閉城は午後5時です。本丸御殿は事前予約制で一般1,000円、来城日の30日前からWEBチケットが販売されます。両御殿の内部は撮影禁止です。

基本情報

名称二条城(にじょうじょう)/元離宮二条城
所在地京都府京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
指定区分国宝(二の丸御殿6棟)、重要文化財(門・櫓・土蔵・本丸御殿など22棟)/城内は史跡、二の丸庭園は特別名勝/世界遺産「古都京都の文化財」構成資産
指定年1939年(昭和14年)10月28日 重要文化財/1944年(昭和19年)9月5日 本丸御殿4棟を追加/1952年(昭和27年)3月29日 二の丸御殿6棟を国宝に指定
員数28棟
寸法二の丸御殿 遠侍及び車寄・式台・大広間・蘇鉄之間・黒書院・白書院の6棟が雁行、書院造。1603年成立、1626年大改修
所有者京都市
公開状況入城料は二の丸御殿観覧料込みで一般1,300円、中高生400円、小学生300円。本丸御殿は事前予約制で一般1,000円。両御殿の内部は撮影禁止。開城時間は季節を問わず午前8時45分から

参考文献

文化遺産オンライン 二条城 二の丸御殿遠侍及び車寄
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/194360
文化遺産オンライン 二条城 二の丸御殿大広間
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/174942
文化遺産オンライン 二条城 二の丸御殿白書院(御座の間)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/156245
京都市 世界遺産・元離宮二条城 二の丸御殿・庭園
https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/introduction/highlights/ninomaru/
京都市 世界遺産・元離宮二条城 料金
https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/admission/fee/
京都市 世界遺産・元離宮二条城 本丸御殿の観覧について
https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/admission/honmaru/

最終更新日: 2026.09.03

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  1. 二条城 二の丸御殿遠侍及び車寄 0.00 km
  2. 二条城 二の丸御殿式台 0.03 km
  3. 二条城 二の丸御殿築地 0.05 km
  4. 二条城 二の丸御殿御清所 0.06 km
  5. 二条城 二の丸御殿大広間 0.06 km
  6. 二条城 二の丸御殿蘇鉄之間 0.07 km
  7. 二条城 二の丸御殿唐門 0.07 km
  8. 二条城 二の丸御殿台所 0.09 km
  9. 二条城 東大手門 0.09 km
  10. 二条城 二の丸御殿黒書院(小広間) 0.10 km
  11. 二条城 東南隅櫓北方多門塀 0.11 km
  12. 二条城 二の丸御殿白書院(御座の間) 0.13 km
  13. 二条城 桃山門 0.13 km
  14. 二条城 東南隅櫓 0.13 km
  15. 二条城 土蔵(米蔵) 0.13 km
  16. 二条城 本丸櫓門 0.17 km
  17. 二条城 鳴子門 0.19 km
  18. 二条城 本丸御殿御常御殿 0.22 km
  19. 二条城 南中仕切門 0.23 km
  20. 二条城 本丸御殿御書院 0.24 km
  21. 二条城 北大手門 0.25 km
  22. 二条城 本丸御殿台所及び雁之間 0.25 km
  23. 二条城 本丸御殿玄関 0.27 km
  24. 二条城 北中仕切門 0.30 km
  25. 二条城 土蔵(南)(米蔵) 0.35 km
  26. 二条城 土蔵(北)(米蔵) 0.38 km
  27. 二条城 西南隅櫓 0.41 km
  28. 二条城 西門 0.43 km