建築面積80平方メートルの店 ― 2004年に登録

嶋臺酒店は、京都府京都市中京区御池通烏丸東入仲保利町191にある建物で、2004年(平成16年)6月9日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は木造2階建、瓦葺、建築面積80平方メートルである。

文化庁は年代を明治/1883とする。幅ではなく1年に絞られている。これまで扱った登録有形文化財の多くが年代を幅で記していたのに対し、この記録は年を特定している。

解説によれば、敷地の南東隅に建ち、東街路側を正面とする。所有者名の欄は空欄である。

別の登録物件を囲むL字型

文化庁の記載で最も目を引くのは、平面の形である。

平面は巽蔵を囲むL字型で、総土間とする。

巽蔵は別に登録された物件である。嶋臺巽蔵として、この酒店とは別の項目に記録されている。その別の建物を囲む形で、この店が建っている。

これまで扱った例では、同じ敷地の建物が並んで別々に登録されることはあったが、一方が他方を囲むという関係は初めてである。

総土間は、床を張らず全体を土間とすることをいう。畳や板の間を設けない。商いの場としての性格が、平面の扱いに現れている。

外観でも巽蔵と連続する

平面だけではない。外観についても、隣との関係が記される。

御池通に面した妻面は上部白漆喰塗とし、巽蔵と連続する景観を形成している。

囲むだけでなく、見た目も揃えている。妻面の上部を白漆喰にすることで、隣の巽蔵と続いて見える。

別々に登録された二棟が、平面でも外観でも一体として扱われている。登録は棟ごとに行われるが、建物としては切り離せない関係にある。

大仙院庭園が書院枯山水の四周を含み、天橋立が神社と寺の境内を風景から切り離せないとしたのと同じく、中心と周囲、あるいは隣り合うもの同士の関係が記録に書き込まれている。

正面の三つの要素

東街路側を向く正面には、三つの要素が記される。

1階正面は連子格子を設け、南寄りに入り口を開く。庇上は土壁とし、虫籠窓を開く。

連子格子は細い部材を等間隔に並べた格子である。1階の正面を格子で覆う。入り口は中央ではなく南寄りに開く。

虫籠窓は、庇の上の壁に開ける縦格子の小窓をいう。土壁に開けるため、塗り込めた壁の一部が窓になる。

下は格子、上は土壁に虫籠窓。吉田家住宅主屋が「上部を軒まで漆喰で塗り込め、長押と腕木を表す」としたのと、上下で扱いを変える点は共通する。

同じ嶋臺では、絲店と書院(古硯堂)も別に登録されている。四棟が別々の項目として記録されている。

見学

文化庁は公開についての記載を持たず、所有者名の欄も空欄である。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではない。

訪問を計画する前に、京都市の案内などで公開の有無を確かめたい。

外観は街路から見られる。東街路側の正面では連子格子と虫籠窓が、御池通に面した側では白漆喰の妻面が確かめられる。

巽蔵と連続する景観は、御池通の側から見ることになる。二棟がどう続いて見えるかが、この物件の記録された特徴である。所在は京都市中京区御池通烏丸東入仲保利町191である。

Q&A

Q嶋臺酒店はいつ登録されましたか。
A2004年(平成16年)6月9日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、木造2階建、瓦葺、建築面積80平方メートルです。文化庁は年代を明治の1883年とし、幅ではなく1年に絞っています。
Qどのような平面ですか。
A文化庁は「平面は巽蔵を囲むL字型で、総土間とする」と記します。巽蔵は別に登録された物件で、その建物を囲む形でこの店が建っています。総土間は床を張らず全体を土間とすることです。
Q隣の建物との関係はどうなっていますか。
A文化庁は「御池通に面した妻面は上部白漆喰塗とし、巽蔵と連続する景観を形成している」と記します。囲むだけでなく外観も揃えており、別々に登録された二棟が平面でも外観でも一体として扱われています。
Q正面の特徴は何ですか。
A文化庁は「1階正面は連子格子を設け、南寄りに入り口を開く。庇上は土壁とし、虫籠窓を開く」と記します。下は格子、上は土壁に虫籠窓と、上下で扱いが変わります。入り口は中央ではなく南寄りです。
Q見学できますか。
A文化庁は公開についての記載を持たず、所有者名の欄も空欄です。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではありません。外観は街路から見られます。

基本情報

名称嶋臺酒店(しまだいさかてん)
所在地京都府京都市中京区御池通烏丸東入仲保利町191
指定区分登録有形文化財(建造物)/嶋臺絲店・嶋臺巽蔵・嶋臺書院は別の物件
指定年2004年(平成16年)6月9日 登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積80平方メートル。敷地の南東隅に建ち、東街路側を正面とする。平面は巽蔵を囲むL字型で総土間。正面には連子格子を設け南寄りに入り口を開き、庇上は土壁として虫籠窓を開く。御池通に面した妻面は上部白漆喰塗。1883年の建築
所有者文化庁データベースの所有者名の欄は空欄
公開状況公開についての記載はない。外観は街路から見られる

参考文献

文化遺産オンライン 嶋臺酒店
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/169452
文化遺産オンライン 嶋臺巽蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/117024
京都市 文化財の紹介
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000005962.html
文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/

最終更新日: 2026.09.05