2,205通の古文書 ― 1990年に重要文化財

八坂神社文書(二千二百五通)は、京都府の八坂神社が所有する古文書で、1990年(平成2年)6月29日に重要文化財に指定された。時代は平安から江戸にわたる。

1990年の指定は、ここまで扱った物件のなかでは新しい部類にあたる。指定が新しいだけあって、記録も詳しい。

八坂神社については、境内の29棟と本殿をすでに扱った。建造物と文書が、それぞれ別の物件として記録されている。

名称の通数と、員数欄の単位が違う

この物件の記録で最初に目を引くのは、数え方の食い違いである。

名称は「二千二百五通」とする。ところが員数の欄は、89巻、40冊、1帖、1通と記す。

通は文書一点を数える語である。2,205通あるという。一方、員数欄が挙げるのは巻、冊、帖、通という保管の形である。

個々の文書は、巻物に貼り継がれたり、冊子にまとめられたりして伝わってきた。名称は中身の点数を、員数欄は外側の形を数えている。

鉄眼版一切経版木は48,275枚を1枚単位で数えた。同じものが大量にある場合と、まとめられて形を変えた場合とで、数え方が変わる。

二つの由来が合わさっている

この文書群は、もともと一つのまとまりではなかった。

文化庁は、祇園社の旧執行宝寿院に伝来した文書で、明治より神社所有となった文書(九巻)と、旧社務執行であった建内氏の旧蔵文書からなる、と記す。

前者は神社文書と呼ばれ、延久二年(1070年)二月廿日太政官符以下、鎌倉・室町時代の文書を中心に95通を存する。

後者は建内文書と呼ばれ、承安二年(1172年)から江戸時代に至る2,100余通を存する。

95通と2,100余通を合わせて2,205通になる。所有の経緯が違う二つの群が、一つの物件として指定されている。

「同社の根本文書」と「付箋に祐筆、奉行人名がみえ」

個々の文書についても記述がある。

延久の太政官符について、祇園社の四至を示し、その領有を改めて認可したもので、同社の根本文書ともいうべきものである、とある。四至は土地の四方の境をいう。

足利尊氏御判御教書や幕府御教書類については、付箋に祐筆、奉行人名がみえ、室町幕府初期の文書研究上に注目されている、とある。

本紙ではなく付箋に名が見える、という指摘である。文書に貼られた小紙片が、誰が書き誰が担当したかを示す。

建内文書については、祇園社領四箇保と称された丹波波々伯部保、備後小童保などの社領関係文書が中心とされる。ほかに馬上十二鉾相伝系図や祇園会馬上料足請取状、祇園社に属した犬神人の活動を示すもの、祇園諸座の関係史料も挙げられる。

閲覧

所有は八坂神社で、京都府にある。神社が所蔵する文書であり、常設で公開される性格のものではない。

紙に書かれたものは光に弱く、公開期間が限られるのが通例である。

2,205通という数量から、すべてが一度に見られる状態にあるとは考えにくい。巻や冊にまとめられているため、開かれるのは一部となる。

閲覧や調査については神社の定める手続きによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q八坂神社文書はいつ指定されましたか。
A1990年(平成2年)6月29日に重要文化財に指定されました。時代は平安から江戸、所有は京都府の八坂神社です。
Q名称と員数の数え方が違うのはなぜですか。
A名称は「二千二百五通」と文書の点数を示し、員数欄は89巻、40冊、1帖、1通と保管の形を示します。個々の文書が巻物に貼り継がれたり冊子にまとめられたりして伝わっているためです。
Q文書はどこから伝わったのですか。
A文化庁は「明治より神社所有となった文書(九巻)と、旧社務執行であった建内氏の旧蔵文書からなる」と記します。前者が95通、後者が2,100余通で、合わせて2,205通になります。
Q最も重要な文書はどれですか。
A文化庁は延久二年(1070年)の太政官符について「祇園社の四至を示し、その領有を改めて認可したもので、同社の根本文書ともいうべきもの」と記します。四至は土地の四方の境をいいます。
Q付箋に何が書かれているのですか。
A文化庁は足利尊氏御判御教書や幕府御教書類について「付箋に祐筆、奉行人名がみえ、室町幕府初期の文書研究上に注目されている」と記します。本紙ではなく貼られた小紙片が、誰が書き誰が担当したかを示します。

基本情報

名称八坂神社文書(二千二百五通)(やさかじんじゃもんじょ)
所在地京都府。所有者は八坂神社
指定区分重要文化財(歴史資料/書跡・典籍/古文書)/同じ神社の本殿と境内29棟は別の物件
指定年1990年(平成2年)6月29日 重要文化財
員数89巻、40冊、1帖、1通(名称は2,205通とする)
寸法文化庁は寸法を記していない。祇園社の旧執行宝寿院に伝来し、明治より神社所有となった文書と、旧社務執行であった建内氏の旧蔵文書からなる。時代は平安から江戸
所有者八坂神社
公開状況神社が所蔵する文書で、常設の公開ではない。閲覧は神社の定める手続きによる

参考文献

文化遺産オンライン 八坂神社文書(二千二百五通)
https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/134447
八坂神社 八坂神社について
https://www.yasaka-jinja.or.jp/about/
八坂神社 御由緒
https://www.yasaka-jinja.or.jp/about/history/
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.05