桁行十五間の大型土蔵 ― 2021年に登録

旧山田本店(ヤマカノ醸造)旧仕込み蔵は、宮城県登米市登米町登米字寺池桜小路81-1にある建物で、2021年(令和3年)2月4日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は土蔵造2階建、鉄板葺、建築面積186平方メートル。所有はヤマカノ醸造株式会社である。

文化庁は年代を大正/1919年から1926年とする。8年の幅で記されている。

解説によれば、敷地北西側の最奥に建ち、山田本家が味噌醤油醸造を営んだ時期の仕込み蔵である。桁行十五間、梁間四間で、開口部が少なく閉鎖的で大規模な土蔵とされる。

「疑似トラス」という書き方

文化庁の記載で目を引くのは、小屋組の扱いである。

洋小屋組風の疑似トラスで大梁と束を帯鉄、ボルトで締める。

「風」と「疑似」が重ねられている。洋小屋組そのものではなく、洋小屋組に似せた組み方だという意味になる。

トラスは三角形を組んで力を分散させる構造である。疑似トラスは、その形をとりながら、本来の力の流れとは異なる組み方を指す。文化庁がこの語を選んだこと自体が、この蔵の性格を示している。

締め方も具体的である。大梁と束を帯鉄とボルトで締める。木の仕口だけで組むのではなく、金物を使う。大正期に洋風の技術が土蔵に取り入れられたあり方が、ここに現れている。

文化庁は結びに「機能を重視した造りで醸造場の中核となる大型土蔵」とする。装飾ではなく機能が評価の軸である。

細長く、閉じている

寸法と開口部の扱いも、機能に対応している。

桁行十五間、梁間四間。長辺が短辺の4倍近い、細長い平面である。建築面積186平方メートルは、同じ登録の他の蔵と比べて突出して大きい。

開口部が少なく閉鎖的とされる。仕込み蔵は温度と湿度を保つ必要があるため、窓を減らして外気の影響を抑えるのが理にかなう。

屋根は鉄板葺である。同じ名で登録された他の蔵はいずれも瓦葺であり、この蔵だけが鉄板で葺かれている。

文化庁は理由を記していないが、大規模で細長い屋根に鉄板が選ばれたことは、記録から読める事実である。

七棟が同日に登録され、二か所に分かれる

「旧山田本店」の名で登録された建物は複数ある。

旧仕込み蔵のほか、表門、南蔵、北蔵、文庫蔵、商蔵があり、いずれも2021年2月4日の同日に登録されている。ほかに旧山田本店(角田屋)座敷蔵も同日の登録である。

ところが所在地と所有者が分かれている。旧仕込み蔵だけが寺池桜小路81-1にあり、所有はヤマカノ醸造株式会社である。他の五棟は寺池九日町1にあり、所有は株式会社バイタルネットである。

同じ名で登録されながら、場所も持ち主も違う。登録は棟ごとに行われるため、このような分かれ方が生じる。

年代も幅がある。南蔵が明治/1868年から1882年、北蔵が明治/1898年から1912年、旧仕込み蔵が大正/1919年から1926年、表門と文庫蔵と商蔵が昭和前/1926年から1945年。およそ80年にわたって建て継がれてきたことになる。

見学

所有はヤマカノ醸造株式会社である。現に事業を営む会社の所有する建物であり、登録有形文化財は所有者が使い続ける自由を広く残す制度である。

文化庁は公開についての記載を持たない。内部の公開が前提ではないので、訪問を計画する前に確かめたい。

外観の見どころは規模である。桁行十五間の長さと、開口部の少ない閉じた壁が、この蔵の姿を決めている。鉄板葺の屋根も外から確かめられる。

所在は宮城県登米市登米町登米字寺池桜小路81-1である。

Q&A

Q旧仕込み蔵はいつ登録されましたか。
A2021年(令和3年)2月4日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、土蔵造2階建、鉄板葺、建築面積186平方メートル、所有はヤマカノ醸造株式会社です。
Q疑似トラスとは何ですか。
A文化庁は「洋小屋組風の疑似トラスで大梁と束を帯鉄、ボルトで締める」と記します。「風」と「疑似」が重ねられており、洋小屋組そのものではなく、それに似せた組み方だという意味になります。木の仕口だけでなく金物を使う点も記録されています。
Qどのような規模ですか。
A桁行十五間、梁間四間で、長辺が短辺の4倍近い細長い平面です。建築面積186平方メートルは、同じ名で登録された他の蔵と比べて突出して大きく、開口部が少なく閉鎖的とされます。
Q同じ名の建物が他にもあるのですか。
A表門、南蔵、北蔵、文庫蔵、商蔵があり、いずれも同じ2021年2月4日に登録されています。ただし旧仕込み蔵だけが寺池桜小路81-1にありヤマカノ醸造株式会社の所有で、他の五棟は寺池九日町1にあり株式会社バイタルネットの所有です。
Q見学できますか。
A文化庁は公開についての記載を持ちません。現に事業を営む会社の所有する建物で、内部の公開が前提ではないため、訪問を計画する前に確かめてください。外観は桁行十五間の長さと閉じた壁が見どころです。

基本情報

名称旧山田本店(ヤマカノ醸造)旧仕込み蔵(きゅうやまだほんてん きゅうしこみぐら)
所在地宮城県登米市登米町登米字寺池桜小路81-1
指定区分登録有形文化財(建造物)/表門・南蔵・北蔵・文庫蔵・商蔵は別の物件
指定年2021年(令和3年)2月4日 登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、鉄板葺、建築面積186平方メートル。桁行15間、梁間4間で、開口部が少なく閉鎖的な大規模土蔵。洋小屋組風の疑似トラスで大梁と束を帯鉄、ボルトで締める。大正時代
所有者ヤマカノ醸造株式会社
公開状況公開についての記載はない。現に事業を営む会社の所有する建物

参考文献

文化遺産オンライン 旧山田本店(ヤマカノ醸造)旧仕込み蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/569172
文化遺産オンライン 旧山田本店(ヤマカノ醸造)南蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/541131
ヤマカノ醸造株式会社 公式サイト
https://www.yamakano.co.jp/
文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/

最終更新日: 2026.09.05