日本に現存する最古の天守閣
松本城天守は、日本の城郭建築史において極めて重要な位置を占める国宝です。1593-1594年に建築されたこの天守閣は、現存する12天守の中で最古の五重六階の木造建築であり、430年以上経った今でも創建当時の姿を完全に保っています。「烏城(からすじょう)」の愛称で親しまれる黒漆塗りの外観は、戦国時代の武骨な美しさを体現し、北アルプスの雄大な山並みを背景にした姿は、日本の城郭建築の中でも最も印象的な景観の一つとして知られています。
戦国から江戸への建築史
松本城の起源は1504年、小笠原氏の家臣・島立貞永が築いた深志城に遡ります。その後武田信玄、織田信長の時代を経て、1590年に石川数正が松本城主となり、その子・石川康長が現在の天守閣を建築しました。特筆すべきは、戦国時代の大天守、乾小天守、渡櫓(1593-1594年)と、江戸時代の辰巳附櫓、月見櫓(1633-1634年)が一体となった「連結複合式天守」という日本唯一の構造です。この二つの時代の建築が共存することで、戦乱から平和への日本の歴史的転換を建築物として体現しています。
国宝指定の理由と価値
1936年に旧国宝、1952年に現行法での国宝に指定された松本城天守は、以下の点で卓越した価値を持ちます。第一に、現存する日本最古の五重六階天守として、戦国時代の城郭建築の完成形を示しています。第二に、115箇所の銃眼・矢狭間、11箇所の石落とし、最大61度の急勾配階段など、火縄銃戦に対応した実戦的な防御構造が完全に保存されています。第三に、軟弱な地盤に1,000トンの構造物を支える筏地形工法という革新的な建築技術は、平城建築の傑作として評価されています。
四季折々の絶景
松本城は季節ごとに異なる美しさを見せます。春(4月中旬)には約300本の桜が満開となり、黒い天守と桜のコントラストは圧巻です。夏には新緑と太鼓まつり、秋(10月下旬-11月上旬)には紅葉が城を彩り、冬の雪化粧した天守閣は水墨画のような美しさです。特に朝夕の堀に映る「逆さ松本城」は、写真愛好家にとって必見の光景です。
周辺の文化的魅力
松本城周辺には歴史的な街並みが広がります。縄手通りは江戸時代の長屋風商店街で「カエル街」として親しまれ、中町通りには黒と白の「なまこ壁」の土蔵が立ち並びます。松本市美術館では世界的アーティスト草間彌生の作品を鑑賞でき、信州そばの名店では本場の味を堪能できます。これらすべてが徒歩圏内にあり、城下町の風情を満喫できます。
Q&A
- 松本城の見学にはどのくらい時間がかかりますか?
- 天守閣内部の見学に45-60分、城全体を含めると1.5-2時間が目安です。混雑時期(ゴールデンウィーク、お盆、桜の季節)には入場待ち時間が最大2時間になることもあるため、余裕を持った計画をお勧めします。
- 車椅子やベビーカーで天守閣に入れますか?
- 残念ながら天守閣内部にはエレベーターがなく、最大61度の急勾配の階段があるため、車椅子やベビーカーでの入場はできません。ただし、本丸庭園までは車椅子でアクセス可能で、外から天守閣を鑑賞できます。
- 英語でのガイドサービスはありますか?
- アルプス善意通訳協会(ALSA)が無料で英語ガイドツアーを提供しています。松本城公園入口のガイドステーションで申し込めます。また、観光案内所には英語対応スタッフが常駐しています。
- 最も空いている時間帯はいつですか?
- 平日の開門直後(8:30-9:30)または閉門前(15:30-16:30)が最も空いています。土日祝日や観光シーズンを避けることで、ゆっくりと見学できます。
- 写真撮影のベストスポットはどこですか?
- 西側の埋橋(うずみばし)付近が最も人気で、朱塗りの橋と黒い天守のコントラストが美しいです。また、南西の堀沿いでは風のない日に「逆さ松本城」が撮影でき、南側からは北アルプスを背景にした壮大な写真が撮れます。
参考文献
- 松本城公式サイト
- https://www.matsumoto-castle.jp/
- Visit Matsumoto(松本市公式観光サイト)
- https://visitmatsumoto.com/
- 日本政府観光局(JNTO)
- https://www.japan.travel/en/spot/1356/
- Go! NAGANO(長野県観光公式サイト)
- https://www.go-nagano.net/
- 文化庁国宝データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
基本情報
| 名称 | 松本城天守(国宝) |
|---|---|
| 所在地 | 長野県松本市丸の内4番1号 |
| 建築年 | 1593-1594年(大天守・乾小天守・渡櫓)、1633-1634年(辰巳附櫓・月見櫓) |
| 構造 | 木造五重六階、連結複合式天守 |
| 高さ | 29.4メートル(大天守) |
| 国宝指定 | 1952年3月29日 |
| 営業時間 | 8:30-17:00(通常)、8:00-18:00(GW・お盆) |
| 入場料 | 大人1,200円(電子チケット)、1,300円(当日券) |
| アクセス | JR松本駅から徒歩15-20分 |
| 年間入場者数 | 約50万人 |
最終更新日: 2026.01.14
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