1件の発生地 ― 1961年に国の指定

土黒川のオキチモズク発生地は、長崎県雲仙市にある発生地で、1961年(昭和36年)5月1日に国の指定を受けた。区分は天然記念物である。

ふりがなの欄は、ひじくろがわのおきちもずくはっせいちである。管理団体名の欄は空である。

文化庁は、オキチモズクは我国特産の淡水産紅藻類の一種で、その産地は極めて限られており、本指定地はその一つとして貴重なものである、と記す。解説文はこの二文だけである。

指定の対象が、建物でも土地の形でもない

守られているのが、そこに生える生き物である。

指定の名称は、土黒川のオキチモズク発生地である。発生地は、その生物が生じる場所をいう。

二塚古墳では、墳丘と石室という土と石の造形が対象だった。建造物では、柱や屋根が対象になる。

本件は川の一区間であり、そこに生えるオキチモズクのために指定されている。

オキチモズクは淡水産の紅藻類である。紅藻の多くは海に生えるが、これは川に生える。

我国特産、とも記される。日本にだけ産することになる。

同じ生物の発生地が、三つ別々に指定されている

一つの種のために、複数の場所が指定を受けている。

愛媛県東温市吉久のオキチモズク発生地は1944年6月26日の指定である。日本に於て最初に発見せられたる處にして且オキチモズクの分布の北限に当る、とされる。

熊本県阿蘇郡南小国町の志津川のオキチモズク発生地は1959年7月1日の指定である。

そして本件が1961年5月1日で、三番目にあたる。17年の間に三つが指定されたことになる。

建造物では、同じ寺の棟がまとめて登録される。観音正寺の7棟は同じ日、樟徳館の6棟も同じ日である。

本件は、同じ生物の生える場所が、離れた県で別々に指定されている。まとまりの作られ方が違うことになる。

理由が、産地が限られていることに置かれる

評価の言葉が、その場所の希少さを述べている。

文化庁は、その産地は極めて限られており、本指定地はその一つとして貴重なものである、と結ぶ。

建物そのものの出来や技法ではなく、数が少ないことが理由になる。

旧高橋家住宅主屋では、穂高地方の農家建築の残存例のひとつとされた。あちらは残っているもののうちの一つである。

鳴無神社では、文化財の少い地方において、と地域を限ったうえで評価された。

本件は、産地そのものが極めて限られるとされる。評価の言い方として17型目にあたる。

見学

所在は長崎県雲仙市である。管理団体名の欄は空で、記録に記載がない。

熊本県の志津川では、河床の石に着生している、と記される。オキチモズクは川底の石に付いて生える。

本件の解説文には、生える場所や時期の記載がない。二文のみの記録である。

愛媛県の発生地は最初に発見された場所で、分布の北限にあたるとされる。本件は九州にあり、南側になる。

川のなかの生物であり、見学の可否や経路は自治体の定めによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q土黒川のオキチモズク発生地はいつ指定されましたか。
A1961年(昭和36年)5月1日に国の指定を受けました。区分は天然記念物です。
Qオキチモズクとは何ですか。
A文化庁は「我国特産の淡水産紅藻類の一種」と記します。紅藻の多くは海に生えますが、これは川に生えます。
Qなぜ指定されたのですか。
A文化庁は「その産地は極めて限られており、本指定地はその一つとして貴重なものである」と結びます。
Q他にも発生地はありますか。
Aあります。愛媛県東温市が1944年、熊本県南小国町の志津川が1959年に指定を受けており、本件は三番目です。
Qどこに生えるのですか。
A熊本県の志津川については「河床の石に着生している」と記されます。本件の解説文には生える場所の記載がありません。

基本情報

名称土黒川のオキチモズク発生地(ひじくろがわのおきちもずくはっせいち)
所在地長崎県雲仙市
指定区分天然記念物/建造物や美術品ではなく生物の発生地としての指定
指定年1961年(昭和36年)5月1日 指定
員数1件の発生地。オキチモズクは淡水産紅藻類の一種
寸法記録に寸法の記載はない。解説文は「オキチモズクは我国特産の淡水産紅藻類の一種で、その産地は極めて限られており、本指定地はその一つとして貴重なものである」の二文のみ
所有者管理団体名の欄は空で、記録に記載なし
公開状況川のなかの生物で、見学の可否や経路は自治体の定めによる

参考文献

文化遺産オンライン 土黒川のオキチモズク発生地
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/202966
文化遺産オンライン 志津川のオキチモズク発生地
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/139684
文化遺産オンライン オキチモズク発生地(愛媛県)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/139434
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.16