1棟の客殿 ― 1993年に重要文化財

盛安寺客殿は、滋賀県大津市坂本一丁目にある建造物で、1993年(平成5年)8月17日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。所有は盛安寺である。

員数は1棟である。大津市は、ふりがなを、せいあんじ きゃくでんとする。

大津市は、盛安寺客殿は、南面が入母屋造、北面が切妻造で桟瓦葺の屋根を持つ建物です、と記す。

同じページのなかで、年代が食い違っている

いつのものかについて、一つの記録が二つの答えを載せている。

大津市のページは、見出しに重要文化財 [17世紀後半]と記す。

ところが本文は、17世紀前半の建築と考えられます、とする。

後半と前半で、半世紀ずれる。同じページの見出しと本文が合っていない。

山梨県鋳物師屋遺跡出土品では、文化庁が縄文時代中期前半、南アルプス市が中期中葉としていた。あちらは別々の記録どうしである。

羽馬家住宅でも、文化庁と南砺市で幅が違っていた。本件は一つの記録のなかで食い違っており、どちらが正しいかは人手による確認をお願いしたい。

南と北で、屋根の形が違う

一つの建物の前後で、屋根の作りが分かれている。

大津市は、南面が入母屋造、北面が切妻造とする。

入母屋造は上部が切妻、下部が寄棟になる形をいう。切妻造は本を伏せたような二面の形をいう。

南から見たときと北から見たときで、屋根の輪郭が変わることになる。

来迎寺本堂では、外陣が寄棟造、内陣が宝形造と分かれていた。あちらは前後に並ぶ二つの建物を繋いだ複合仏堂である。

本件は一つの棟でありながら、南面と北面で形が違う。桟瓦葺の点は南北で共通する。

年代の推定に、二つの手がかりが使われる

いつ建てられたかが、二つの比較から導かれる。

大津市は、周辺の西教寺や聖衆来迎寺客殿との比較、障壁画の製作年代等から、17世紀前半の建築と考えられます、と記す。

一つは近くにある同じ種類の建物との比較である。もう一つは、内部に描かれた絵の年代である。

浄光明寺敷地絵図では、屋地が跡地であることと、花押の主が鎌倉を離れた時期の二つから2年まで絞られていた。あちらは出来事による挟み込みである。

本件は、他の建物と、建物に付属する絵という二つの物から導いている。

襖の絵についても、滋賀県指定の名勝庭園に面した部屋の襖には、日本有数の絵画一派である長谷川派の絵が描かれています、とされる。庭も県の名勝に指定されている。

参拝

所在は滋賀県大津市坂本一丁目で、所有は盛安寺である。

大津市は、この建物の解説を英語、中国語、韓国語の三つの言語でも用意している。

旧集成館機械工場や浄光明寺敷地絵図では、重要文化財と史跡という二つの制度が重なっていた。本件は建物が重要文化財、庭園が滋賀県の名勝という組み合わせになる。

国の指定と県の指定が、同じ寺のなかで別々に置かれていることになる。

寺の建物であり、拝観については寺の定めによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q盛安寺客殿はいつ指定されましたか。
A1993年(平成5年)8月17日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、員数は1棟、所有は盛安寺です。
Qいつ建てられたのですか。
A大津市のページは見出しで17世紀後半とし、本文では「17世紀前半の建築と考えられます」とします。同じページのなかで食い違っています。
Q屋根はどのような形ですか。
A南と北で違います。大津市は「南面が入母屋造、北面が切妻造で桟瓦葺の屋根を持つ」と記します。葺き方は南北とも桟瓦です。
Q年代はどう推定されたのですか。
A大津市は「周辺の西教寺や聖衆来迎寺客殿との比較、障壁画の製作年代等から」と記します。近くの建物との比較と、内部の絵の年代の二つによります。
Q襖絵は誰の作ですか。
A大津市は「日本有数の絵画一派である長谷川派の絵が描かれています」と記します。滋賀県指定の名勝庭園に面した部屋の襖です。

基本情報

名称盛安寺客殿(せいあんじきゃくでん)
所在地滋賀県大津市坂本一丁目
指定区分重要文化財(建造物)/国宝ではない/庭園は滋賀県指定の名勝
指定年1993年(平成5年)8月17日 重要文化財
員数1棟
寸法南面が入母屋造、北面が切妻造で、いずれも桟瓦葺。滋賀県指定の名勝庭園に面した部屋の襖に長谷川派の絵が描かれる。年代は大津市の見出しが17世紀後半、本文が17世紀前半とする
所有者盛安寺
公開状況寺の建物で、拝観は寺の定めによる

参考文献

大津市 盛安寺客殿
https://www.city.otsu.lg.jp/bz/a/03/15/60674.html
大津市歴史博物館 大津の歴史事典
https://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/db/jiten/data/048.html
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/
文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/

最終更新日: 2026.09.10