1箇の土偶 ― 1981年に重要文化財
土偶/宮城県遠田郡田尻町蕪栗恵比須田出土は、東京都台東区上野公園13-9にある縄文時代の考古資料で、1981年(昭和56年)6月9日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。所有は独立行政法人国立文化財機構である。
員数は1箇である。1981年6月9日は、金銅錫杖頭が国宝に指定された日と同じである。あちらは重要文化財から80年を経ていた。
文化庁は、恵比須田遺跡は、北上川の一支流である追川沿いの低丘陵に立地し、一帯は縄文時代早期末から晩期の遺物を包蔵する広範囲な地を占めた遺跡である、と記す。
名称に出土地が入り、ふりがなは「どぐう」だけである
名称の後半に、読みが付いていない。
名称は土偶/宮城県遠田郡田尻町蕪栗恵比須田出土である。斜線のあとに出土した場所が続く。
ふりがなの欄はどぐうのみである。出土地の部分には読みが与えられていない。
旧小西家住宅では、名称の旧の字がふりがなに反映されていなかった。あちらは一字である。
本件は名称の半分以上にふりがながない。
同じ記法の土偶は他にもある。土偶/青森県有戸鳥井平四遺跡出土、土偶/山形県西ノ前遺跡出土、土偶/長野県中ッ原遺跡出土などが並ぶ。斜線で出土地を添える書き方が、この種の資料で共有されている。
石で囲まれた状態で出土した
見つかったときの様子が記される。
文化庁は、この土偶はその一隅より石囲いのうちに収められた状態で出土した、と記す。
石で囲われたなかに納められていた。偶然そこにあったのではなく、意図して置かれた形になる。
小桜韋威鎧では、武田氏滅亡の際に大杉の下に埋められ、家康が掘り出したとされていた。あちらは隠すための埋納である。
線刻千手観音等鏡像では、用水開墾工事中に発掘され、そのために祠が建てられた。あちらは出土のあとに祀られている。
本件は、納められた状態がそのまま残っていた。鎏金獣帯鏡ではト書の欄に出土地が置かれ、本件は名称に入る。出土の記され方も物件ごとに違う。
誇張と抽象を組み合わせたとされる
評価が、二つの技法の組み合わせで述べられる。
文化庁は、土偶は誇張、抽象などの表現技法を巧みに組合わせて、整った形態に仕上げられている、と記す。
誇張と抽象が並べられる。どちらも実物のとおりに作らない方向であり、それを組み合わせて整った形にしたとされる。
神戸女学院では、外観を統一しながらも個性を持たせる、と相反する二つの両立が述べられた。金銅密教法具では、温雅優麗の中にも鋭く、と逆接が重ねられた。
本件は逆接ではなく、二つの技法を並べて組み合わせたとする。
文様については、体躯全体にめぐらされた装飾文様は、東北地方における縄文時代晩期の特徴をよく表わしている、とされる。
鑑賞
所在は東京都台東区上野公園13-9で、所有は独立行政法人国立文化財機構である。
出土は宮城県、所在は東京都である。鎏金獣帯鏡も岐阜県から東京都へ移っていた。考古資料が出土地を離れて保管される例になる。
名称にある田尻町は、現在の地名ではない。合併により大崎市の一部となっている。鎏金獣帯鏡の豊木村と同じく、指定当時の町村名が残っている。
寸法の欄と品質・形状の欄には記載がない。年代の欄も空で、時代の欄に縄文とあるのみである。
ただし解説文は出土の状況と技法、文様について述べており、鎏金獣帯鏡の一文とは分量が違う。博物館が保管する資料であり、常設で公開される性格のものではない。訪問前に確認したい。
Q&A
- この土偶はいつ指定されましたか。
- 1981年(昭和56年)6月9日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、員数は1箇、所有は独立行政法人国立文化財機構です。
- 名称が長いのはなぜですか。
- 斜線のあとに出土地が続くためです。ふりがなの欄は「どぐう」のみで、出土地の部分には読みが与えられていません。
- どのように出土したのですか。
- 文化庁は「その一隅より石囲いのうちに収められた状態で出土した」と記します。石で囲われたなかに納められていました。
- 何が評価されているのですか。
- 文化庁は「誇張、抽象などの表現技法を巧みに組合わせて、整った形態に仕上げられている」と記します。二つの技法の組み合わせが挙げられています。
- 寸法は分かりますか。
- 分かりません。寸法の欄と品質・形状の欄には記載がなく、年代の欄も空です。時代の欄に縄文とあるのみです。
基本情報
| 名称 | 土偶/宮城県遠田郡田尻町蕪栗恵比須田出土(どぐう)/ふりがなは名称の前半のみ |
|---|---|
| 所在地 | 東京都台東区上野公園13-9。出土地は宮城県遠田郡田尻町蕪栗恵比須田で、現在は大崎市の一部 |
| 指定区分 | 重要文化財(考古資料)/国宝ではない |
| 指定年 | 1981年(昭和56年)6月9日 重要文化財 |
| 員数 | 1箇 |
| 寸法 | 寸法の欄と品質・形状の欄に記載はなく、年代の欄も空で時代の欄に縄文とあるのみ。石囲いのうちに収められた状態で出土し、体躯全体に装飾文様がめぐらされる |
| 所有者 | 独立行政法人国立文化財機構 |
| 公開状況 | 博物館が保管する資料で、常設の公開ではない |
参考文献
- 文化遺産オンライン 土偶/宮城県遠田郡田尻町蕪栗恵比須田出土
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/168855
- 東京国立博物館 公式サイト
- https://www.tnm.jp/
- e国宝
- https://emuseum.nich.go.jp/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.06