1口の瓶子 ― 1959年に重要文化財

色鍋島松竹梅文瓶子は、福岡県太宰府市石坂4-7-2の九州国立博物館が保管する江戸時代の陶磁で、1959年(昭和34年)6月27日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。所有は独立行政法人文化財機構である。

員数は1口である。磁器で、高31.0センチメートル、口径3.5センチメートル、高台径14.5センチメートルとされる。

所在都道府県の欄は東京都、福岡県の二つである。紫地葵紋付葵葉文様辻が花染羽織でも東京都と愛知県の二つが並んでいた。2件目にあたる。

一対のはずが、片方だけ指定されている

本来は二つで一組の器のうち、一つだけが重要文化財である。

e国宝は、瓶子とは、御神酒を入れるための瓶で、神前に一対で供えるものである、と記す。

そのうえで、古美術商の故坂本五郎氏から寄贈されたもので、同様の文様で同形の瓶子(未指定品)も一緒に寄贈された、とする。

同じ形、同じ文様の瓶子がもう一つあり、そちらは指定されていない。同時に寄贈されているにもかかわらずである。

続けて、瓶子であるという特性から、元は一対の作品であったと思われる、とある。

鼉太鼓では、一対で1件として国宝に指定されていた。青白磁円硯ほか六種は、00106の枝番01から06を分け合っていた。本件は対の片方だけが指定という形になる。

指定名称と、館の呼び名が違う

同じ物が、二通りの名で呼ばれている。

e国宝の見出しは、色絵松竹梅文瓶子である。ふりがなは、いろえしょうちくばいもんへいしとされる。

その下に、(指定名称)色鍋島松竹梅文瓶子と添えられる。

色絵と色鍋島で、頭の三文字が違う。色絵は上絵付けの技法をいい、色鍋島は鍋島藩窯で作られた色絵の磁器をいう。

技法で呼ぶか、産地と様式で呼ぶかの違いになる。

猪形土製品では、同じ物が二つの記録に別の表記で載っていた。あちらは斜線と空白の違いである。本件は名称そのものが違い、指定名称であることが明記されている。

倹約令から、年代の上限が導かれる

いつまでに作られたかが、法令によって決められる。

e国宝は、八代将軍徳川吉宗(在位:1716-1745)の時代になると、倹約令により色鍋島は華美とされ生産がほぼ終息することから、と記す。

続けて、本作品はそれ以前の、17世紀末から18世紀初期までに作られた可能性が高い、とする。

華美なものを禁じる法令が出たために生産が止まり、それより前に作られたはずだ、という筋道である。

浄光明寺敷地絵図では、幕府滅亡と人物の移動という出来事から2年まで絞られていた。盛安寺客殿では、他の建物と障壁画の年代から導かれていた。

本件は、法令による産業の終息が上限を決めている。年代の推定に使われる手がかりとして、出来事、物、そして制度の三通り目になる。

鑑賞

保管は九州国立博物館、所有は独立行政法人文化財機構である。

文様も記される。e国宝は、色鮮やかな上絵具で、胴部表に松竹梅、鶴、亀文を、裏に橘文をあらわす、とする。

表と裏で文様が違うことになる。松竹梅に鶴と亀を組み合わせた吉祥文様は、江戸時代には祝い着や婚礼調度品によく用いられた、とされる。

そこから、おそらく将軍家あるいは大名家の婚礼のために特別に誂えられたものと考えられる、と続く。

色鍋島の伝世品のなかで瓶子はこれら二点しか発見されておらず、非常に稀少性が高い、ともある。博物館が保管する資料であり、常設で公開される性格のものではない。訪問前に確認したい。

Q&A

Q色鍋島松竹梅文瓶子はいつ指定されましたか。
A1959年(昭和34年)6月27日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、員数は1口です。
Q対になる瓶子はどうなっていますか。
A同じ形、同じ文様の瓶子がもう一つありますが、そちらは未指定品です。同じ方から一緒に寄贈されています。
Q「色絵」と「色鍋島」はどう違うのですか。
A色絵は上絵付けの技法、色鍋島は鍋島藩窯で作られた色絵の磁器をいいます。e国宝は「色絵松竹梅文瓶子」を見出しとし、指定名称を「色鍋島松竹梅文瓶子」とします。
Qいつ作られたのですか。
Ae国宝は「17世紀末から18世紀初期までに作られた可能性が高い」とします。徳川吉宗の時代の倹約令で色鍋島の生産がほぼ終息したことが根拠です。
Qどのような文様ですか。
Ae国宝は「胴部表に松竹梅、鶴、亀文を、裏に橘文をあらわす」と記します。表と裏で文様が違います。

基本情報

名称色鍋島松竹梅文瓶子(いろえしょうちくばいもんへいし)/e国宝の見出しは色絵松竹梅文瓶子
所在地九州国立博物館(福岡県太宰府市石坂4-7-2)。所在都道府県の欄は東京都と福岡県の二つ
指定区分重要文化財(美術品・陶磁)/国宝ではない/同形同文様のもう1口は未指定
指定年1959年(昭和34年)6月27日 重要文化財
員数1口
寸法磁器。高31.0センチメートル、口径3.5センチメートル、高台径14.5センチメートル。胴部の表に松竹梅と鶴・亀の文、裏に橘文をあらわす。年代は江戸時代、17世紀末から18世紀初頭
所有者独立行政法人文化財機構
公開状況博物館が保管する資料で、常設の公開ではない

参考文献

e国宝 色絵松竹梅文瓶子
https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&content_base_id=101344&content_part_id=0&content_pict_id=0
九州国立博物館
https://www.kyuhaku.jp/
九州国立博物館 ご来館案内
https://www.kyuhaku.jp/visit/visit_top.html
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.10