1面の鏡 ― 1953年に重要文化財

鎏金獣帯鏡は、東京都世田谷区上野毛3-9-25の五島美術館が所有する古墳時代の考古資料で、1953年(昭和28年)3月31日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。指定番号は00110である。

員数は1面である。海獣葡萄鏡、線刻千手観音等鏡像と同じ数え方になる。

1953年3月31日の重要文化財は、鳴無神社と同じ日である。同じ日に、浄土寺多宝塔、崇福寺大雄宝殿、犀角柄刀子、玳瑁装牙櫛、海獣葡萄鏡が国宝となっている。

解説文が「古墳時代の資料。」の一文である

文化庁の解説が、一文で終わる。

解説文は、古墳時代の資料。とだけ記される。

これまで一文だけの解説として、平安時代の作品。と六祖恵能伝の唐時代の作品。を扱ってきた。

本件は古墳時代の資料。である。時代が古墳であることに加えて、作品ではなく資料とされている。

種別の欄も考古資料である。工芸品や書跡・典籍ではない。

作られたものとしてではなく、調べる手がかりとして位置づけられていることになる。一文解説の言い方としては3型目になる。

出土は岐阜県、所在は東京都である

掘り出された場所と、いま置かれている場所が別の県になる。

ト書の欄には、岐阜県揖斐郡豊木村大字野村城塚出土、とある。

一方、所在都道府県の欄は東京都、所在地は東京都世田谷区上野毛3-9-25である。

豊木村は現在の地名ではない。ト書の欄が、出土した当時の町村名で書かれている。

線刻千手観音等鏡像では、掘り出された鏡が同じ土地で祀られ、そのために神社が生まれた。あちらは出土地に留まっている。

本件は岐阜県から東京都へ移っている。ト書の欄に出土地が置かれる点は、延喜式の奥書、六祖恵能伝の中国の元号、青白磁円硯の伝菅公遺品に続く四通り目の使われ方になる。

寸法と品質・形状の欄が、どちらも空である

物の姿を伝える欄に、記載がない。

寸法・重量の欄と品質・形状の欄は、いずれも空である。

年代の欄と西暦の欄も空で、時代の欄に古墳とあるのみである。

鼉太鼓では、寸法と品質・形状の欄が空でありながら、解説文が形を詳しく述べていた。

本件は解説文も一文である。物の姿については、記録から読み取れることがほとんどない。

一字一仏法華経序品でも多くの欄が空だった。本件はそれに近い。名称の鎏金は火を用いた鍍金をいい、獣帯は獣を並べた帯状の文様をいう。名称そのものが技法と文様を述べている。

鑑賞

所在は東京都世田谷区上野毛3-9-25で、所有は財団法人五島美術館である。

保管施設の名称の欄も財団法人五島美術館である。両方の欄に同じ名が入る。

鉄宝塔では所在が奈良国立博物館で所有が西大寺、撃蒙抄では保管が天理図書館で所有が天理大学、紫地葵紋付葵葉文様辻が花染羽織では保管が徳川美術館で所有が徳川黎明会だった。

いずれも保管する施設と所有する主体が分かれている。本件は同じである。

指定番号00110は、青白磁円硯ほか六種の遺物が分け合う00106に近い番号にあたる。美術館が保管する品であり、常設で公開される性格のものではない。訪問前に確認したい。

Q&A

Q鎏金獣帯鏡はいつ指定されましたか。
A1953年(昭和28年)3月31日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、員数は1面、指定番号は00110です。
Qどのような解説が付いていますか。
A「古墳時代の資料。」の一文だけです。種別の欄も考古資料で、作られたものとしてではなく調べる手がかりとして位置づけられています。
Qどこで出土したのですか。
Aト書の欄に「岐阜県揖斐郡豊木村大字野村城塚出土」とあります。豊木村は出土した当時の町村名で、現在の地名ではありません。
Q寸法は分かりますか。
A分かりません。寸法・重量の欄と品質・形状の欄はどちらも空で、年代と西暦の欄も空です。時代の欄に古墳とあるのみです。
Q名称はどういう意味ですか。
A鎏金は火を用いた鍍金、獣帯は獣を並べた帯状の文様をいいます。名称そのものが技法と文様を述べています。

基本情報

名称鎏金獣帯鏡(りゅうきんじゅうたいきょう)/解説文は「古墳時代の資料。」の一文
所在地東京都世田谷区上野毛3-9-25。ト書の欄には岐阜県揖斐郡豊木村大字野村城塚出土とある
指定区分重要文化財(考古資料)/指定番号00110/国宝ではない
指定年1953年(昭和28年)3月31日 重要文化財
員数1面
寸法寸法・重量の欄と品質・形状の欄はどちらも空。年代と西暦の欄も空で、時代の欄に古墳とあるのみ。名称の鎏金は火を用いた鍍金、獣帯は獣を並べた帯状の文様を指す
所有者財団法人五島美術館(保管施設の欄も同じ)
公開状況美術館が保管する品で、常設の公開ではない

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 鎏金獣帯鏡
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/201/9710
文化遺産オンライン 鎏金獣帯鏡
https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/135037
五島美術館 館蔵品
https://www.gotoh-museum.or.jp/2020/10/18/05-161-072/
大野町 文化財
https://www.town-ono.jp/0000000491.html

最終更新日: 2026.09.06