平安時代の美の結晶・梨地螺鈿金荘飾剣とは

東京国立博物館が所蔵する梨地螺鈿金荘飾剣(なしじらでんきんそうかざりたち)は、12世紀平安時代に制作された装飾太刀です。全長103.3cm、柄20.8cm、鞘81.1cmという優美な比率を持つこの儀礼用の剣は、実戦用ではなく、宮廷儀式において天皇の許可を得た高位の貴族のみが佩用することを許された特別な存在でした。

三つの装飾技法の融合が生む奇跡

この剣の最大の特徴は、梨地漆、螺鈿細工、金装飾という三つの高度な装飾技法が一つの作品に結集している点です。梨地漆は、金粉を透明な漆の層に散りばめ、炭で研ぎ出すことで梨の肌のような独特の質感を生み出す技法。螺鈿は、鮑や真珠貝の薄片を使って長尾鳥(おながどり)の優美な姿を表現。金装飾では、菊花文様を高彫りと透かし彫りで立体的に表現し、銀メッキの上に金メッキを施すという複雑な工程を経ています。

柄の巻きには本物の鮫皮(さめがわ)が使用され、鍔には中国の影響を受けた「分銅形(ふんどうがた)」のデザインが採用されています。鞘口近くには山形金物(やまがたかなもの)と呼ばれる二つの山形の装飾金具が配され、金工師の立体造形技術の高さを示しています。

国宝指定への道のり

1952年に重要文化財、1962年6月21日に国宝(指定番号00234-00)に指定されたこの剣は、平安時代の宮廷文化を今に伝える極めて稀少な作例です。藤原真楯から藤原北家の流れを汲む名門・広橋家へと伝来した由緒ある品で、9世紀にわたって有機素材が良好な状態で保存されていることは、当時の技術の高さと歴代所有者の細心の管理を物語っています。

この剣は単なる美術品ではなく、平安時代の政治的権力と文化的洗練の象徴でもありました。精巧な装飾の程度は所有者の位階と天皇からの恩寵を直接反映しており、中国の影響を受けた意匠と日本独自の美意識(和様)が融合した過渡期の貴重な証左となっています。

東京国立博物館での鑑賞について

現在、この国宝は一般公開されておらず、特別展示の際にのみ公開される貴重な存在です。2022年の東京国立博物館150周年記念特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」で公開されましたが、次回の展示予定は未定です。しかし、博物館には他にも19振の国宝刀剣が所蔵されており、これは日本最大のコレクションです。本館の日本ギャラリーでは、他の国宝刀剣が定期的に展示されており、日本刀の美と歴史を堪能することができます。

博物館は東京都台東区上野公園13-9に位置し、JR上野駅公園口から徒歩10分、京成上野駅から徒歩15分でアクセス可能です。開館時間は火曜日から日曜日の9:30~17:00(金・土曜日は21:00まで延長)で、一般入館料は1,000円です。

上野エリアの文化散策

東京国立博物館のある上野公園は、東京屈指の文化エリアです。徒歩圏内には国立科学博物館、パンダで有名な上野動物園、風光明媚な不忍池、歴史ある上野東照宮など、多彩な見どころが集まっています。特に春の桜の季節(3月下旬~4月上旬)は1,200本の桜が咲き誇る東京有数の花見スポットとなり、秋の紅葉(11月)も見事な景観を楽しめます。

食事処も充実しており、博物館内の東博茶館での伝統的な懐石料理から、上野駅周辺のカジュアルなラーメン店まで多様な選択肢があります。近隣のアメ横では買い物や屋台料理を楽しめ、老舗のとんかつ店からミシュラン星付きレストランまで、あらゆる予算と好みに対応した飲食店が揃っています。

訪問の最適なタイミング

混雑を避けて快適に鑑賞するには、平日の開館時間(9:30)に合わせて訪れることをお勧めします。オンラインチケットの事前購入により入場待ちの行列を回避でき、特に観光シーズンや特別展開催時には効果的です。梨地螺鈿金荘飾剣自体は保管中ですが、博物館の充実したコレクションにより日本刀文化と装飾美術を十分に堪能できます。

一般展示品についてはフラッシュを使用しない個人撮影が許可されていますが、国宝については撮影制限がある場合があります。620円で英語、中国語、韓国語の音声ガイドが利用可能で、より深い理解を助けてくれます。

Q&A

Q梨地螺鈿金荘飾剣は常時展示されていますか?
Aいいえ、現在は一般公開されておらず、特別展示の際にのみ公開されます。東京国立博物館の公式サイトで最新の展示情報をご確認ください。ただし、他の国宝刀剣は定期的に展示されています。
Q東京国立博物館へのアクセス方法は?
AJR上野駅公園口から徒歩10分、京成上野駅から徒歩15分です。東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅からも徒歩15分でアクセス可能です。
Q写真撮影は可能ですか?
A一般的な展示品は、フラッシュを使用しない個人的な撮影が許可されていますが、国宝については撮影が制限される場合があります。各展示室の案内に従ってください。
Q英語での案内はありますか?
Aはい、620円で英語、中国語、韓国語の音声ガイドが利用できます。また、展示説明にも英語表記があります。
Q周辺でおすすめの観光スポットは?
A上野公園内には国立科学博物館、上野動物園、不忍池などがあります。また、アメ横での買い物や、多彩な飲食店での食事も楽しめます。

基本情報

名称 梨地螺鈿金荘飾剣(なしじらでんきんそうかざりたち)
時代 平安時代(12世紀)
寸法 全長103.3cm(柄20.8cm、鞘81.1cm)
技法 梨地漆、螺鈿細工、金装飾
指定 国宝(1962年6月21日指定、番号00234-00)
所蔵 東京国立博物館(収蔵番号F-356)
所在地 東京都台東区上野公園13-9
伝来 藤原真楯→広橋家→東京国立博物館

参考文献

国立文化財機構所蔵 国宝・重要文化財
https://emuseum.nich.go.jp/detail?content_base_id=100182
文化遺産データベース - 梨地螺鈿金荘飾剣
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/159455
[日本刀の美] HIGHLIGHTING Japan
https://www.gov-online.go.jp/hlj/ja/october_2024/october_2024-12.html
東京国立博物館 - 来館案内
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=113&lang=ja
WANDER 国宝 - 梨地螺鈿金荘飾剣
https://wanderkokuho.com/201-00530/

最終更新日: 2026.01.14

近隣の国宝・重要文化財