3棟の伽藍 ― 1997年に国宝
瑞龍寺は、富山県高岡市関本町にある曹洞宗の寺院で、山門、仏殿、法堂の3棟が1997年(平成9年)12月3日に国宝に指定された。所有は瑞龍寺である。
文化庁は、加賀二代藩主前田利長の菩提寺として建立されたもの、と記す。仏殿は万治二年(1659年)、法堂は明暦元年(1655年)、総門は明暦頃とされる。
評価は伽藍全体に及ぶ。当寺は大規模な曹洞宗寺院の中でも、整備された伽藍配置をもっともよく残すものの一つであり、伽藍全体として保存を図る必要がある、とある。
棟によって、重要文化財の日が73年違う
重要文化財となった日が、棟ごとに違う。
仏殿の記録は、重文指定年月日を1909年(明治42年)4月5日とする。禅堂の記録は1982年(昭和57年)6月11日とする。
73年の開きがある。CMSに入っている値は1982年で、後から加わった棟の日にあたる。
歓喜院では、聖天堂と貴惣門が同じ日に重要文化財となりながら、一方だけが国宝へ進んだ。本件は逆で、重要文化財となった日が棟ごとに違いながら、そのうち3棟が同じ日に国宝へ進んでいる。
禅堂、高廊下、回廊、大茶堂、総門は重要文化財のままである。文化庁は、鳥蒭沙摩明王堂(旧禅堂)や高廊下、回廊は伽藍を構成する重要な要素である、と記す。国宝でない棟も、まとまりの一部として位置づけられている。
修理で外した古材から、別の物が作られている
この寺には、建物の材から生まれた物件がある。
瑞龍寺国宝古材「香合」という名で、高岡市立博物館が所蔵する。径7.1センチメートル、高さ2.0センチメートル、1合の木製の器である。
由来も記録される。瑞龍寺は、昭和10年(1935年)11月16日から昭和13年(1938年)4月15日にかけて、当時「国宝」に指定されていた「総門」、「仏殿」及び「法堂」の大修理が行われたとあるので、その際に出た古材を利用して作られた可能性がある、とある。
共箱の蓋表に「瑞龍寺/国寳古材/香合」と墨書され、包んでいたウコン布には「瑞竜寺材」の印が捺されている、とも記される。どこの材かが、箱と布の両方に示されている。
金銅鳳凰(鳳凰堂中堂旧棟飾)は、建物から取りはずされて工芸品になった。本件は違う。取りはずされた材から、新しい物が作られている。建物の一部が、形を変えて別の物件になった例である。
建物と同じ名で、絵葉書や油彩画が記録されている
瑞龍寺という名の記録は、建物だけではない。
絵葉書「(高岡市)瑞龍寺釈迦堂(国宝)」、絵葉書「高岡山瑞龍寺仏殿」、絵葉書「国宝 高岡山瑞龍寺法堂」といった名が並ぶ。建物を写した絵葉書が、それぞれ記録されている。
油彩画もある。瑞龍寺山門という名の作品で、高倉一二が昭和22年(1947年)に描いたものである。キャンバス・油彩、本紙は横65.0センチメートルとされる。
建物の瑞龍寺山門と、絵画の瑞龍寺山門が、同じ名で並ぶことになる。
太刀〈銘正恒〉では同じ銘の刀が複数あり、佐敷城跡では同じ名の城跡が熊本と沖縄にあった。いずれも同じ種類のもの同士だった。本件は建物と絵画という、種類の違うものが同じ名をもつ。
屋根の材も単体で記録される。瑞龍寺仏殿鉛瓦(軒丸瓦)、瑞龍寺仏殿鉛瓦(軒平瓦)である。仏殿は鉛瓦葺とされ、その瓦が別に記録されている。
参拝
所在は富山県高岡市関本町で、所有は瑞龍寺である。境内に建つ建物であり、外観は参拝の際に見ることができる。
山門については、創建時の大工山上善右衛門(加賀藩御大工)の後裔にあたる大工が建てたもので、禅宗様の手法になる三間一戸の二重門であり、古式な手法をもつ、と記される。
延享三年(1746年)に山門と回廊の前半部分及びその脇にあった禅堂などが焼失したが、江戸時代後期にほぼ旧状の配置で再建された、ともある。焼けて建て直された棟が国宝になっている。
仏殿は桁行三間、梁間三間、一重もこし付、入母屋造、鉛瓦葺で、1棟と数えられる。
内部の拝観については寺の定めによる。訪問前に確認したい。
Q&A
- 瑞龍寺はいつ国宝に指定されましたか。
- 1997年(平成9年)12月3日です。国宝となったのは山門、仏殿、法堂の3棟で、所在は富山県高岡市関本町、所有は瑞龍寺です。
- 重要文化財の日が棟によって違うのですか。
- 違います。仏殿の記録は1909年(明治42年)4月5日、禅堂の記録は1982年(昭和57年)6月11日とし、73年の開きがあります。後から加わった棟の日が新しくなっています。
- 古材の香合とは何ですか。
- 修理で出た材から作られた器です。昭和10年から13年の大修理の際の古材を利用した可能性があるとされ、共箱に「瑞龍寺/国寳古材/香合」と墨書されています。高岡市立博物館が所蔵します。
- 同じ名前の記録が他にもありますか。
- あります。建物を写した絵葉書が複数記録されているほか、高倉一二が1947年に描いた油彩画「瑞龍寺山門」もあります。建物と絵画が同じ名で並びます。
- 何が評価されているのですか。
- 文化庁は「大規模な曹洞宗寺院の中でも、整備された伽藍配置をもっともよく残すものの一つであり、伽藍全体として保存を図る必要がある」と記します。個々の棟ではなく配置全体が評価されています。
基本情報
| 名称 | 瑞龍寺(ずいりゅうじ)/国宝は山門・仏殿・法堂 |
|---|---|
| 所在地 | 富山県高岡市関本町 |
| 指定区分 | 国宝(建造物)/禅堂・高廊下・回廊・大茶堂・総門は重要文化財 |
| 指定年 | 1909年(明治42年)4月5日 仏殿が重要文化財/1982年(昭和57年)6月11日 禅堂ほかが重要文化財/1997年(平成9年)12月3日 国宝 |
| 員数 | 3棟(山門・仏殿・法堂) |
| 寸法 | 仏殿は桁行3間、梁間3間、一重もこし付、入母屋造、鉛瓦葺で、1659年。法堂は1655年。山門は禅宗様の3間1戸の二重門。時代は江戸 |
| 所有者 | 瑞龍寺 |
| 公開状況 | 境内に建つ建物で、外観は参拝の際に見ることができる。内部の拝観は寺の定めによる |
参考文献
- 文化遺産オンライン 瑞龍寺 仏殿(国宝)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/193370
- 文化遺産オンライン 瑞龍寺 禅堂(重要文化財)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/121524
- 文化遺産オンライン 瑞龍寺国宝古材「香合」
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/377334
- 瑞龍寺 公式サイト
- https://www.zuiryuji.jp/
最終更新日: 2026.09.05
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- 瑞龍寺 仏殿 0.06 km
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