19件の構造物 ― 2005年に重要文化財

八ツ沢発電所施設は、山梨県大月市と上野原市にまたがる明治時代の建造物で、2005年(平成17年)12月27日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。

文化庁は、八ツ沢発電所施設は、桂川にほぼ平行して東西に延びる水路式発電所施設である、と記す。

建造物は、取水口施設、第一号から第一八号の隧道、第一号開渠、第一号から第四号の水路橋、大野調整池施設、水槽余水路などで、約14キロメートルの範囲に現存する、とされる。

同じ施設のなかで、所有者名が二通りある

構造物ごとの記録を並べると、持ち主の名が揃っていない。

第一号水路橋の所有者名は、東京電力リニューアブルパワー株式会社とされる。

一方、取水堰堤の所有者名は、東京電力株式会社である。

同じ一つの施設の構成要素でありながら、所有者の名が二通りに書かれている。社名の変更が、一部の記録にしか反映されていないと読める。

籬菊螺鈿蒔絵硯箱では覆輪と複輪、金銅密教法具では金剛盤と金剛版が揺れていた。それらは物の呼び名である。

本件は所有者の名である。名称や部位ではなく、持ち主の欄で揺れている例になる。

記録自身が、最大規模であると述べる

評価の末尾に、制度上の位置づけが置かれる。

わが国の重要文化財のなかで、最大規模となる、とある。

他の物件と比べての大きさが、記録自身によって述べられている。

北海道白滝遺跡群出土品では、評価の結びが国宝に相応しい、とされていた。指定の判断そのものを述べる書き方である。

本件は、指定された物件のなかでの順位を述べている。約14キロメートルという範囲が、その根拠にあたる。

所在地の欄も長い。山梨県大月市駒橋、猿橋町、富浜町及び梁川町、上野原市大野、コモアしおつ、四方津、八ツ沢及び松留と、九つの地名が並ぶ。

員数の単位が、構造物ごとに違う

数え方が一つに揃っていない。

第一号水路橋は1基である。橋長42.7メートルの鉄筋コンクリート造単アーチ橋とされる。

取水堰堤は1所である。石造及びコンクリート造で、堤長101.7メートル、堤高3.9メートルとされる。

所という単位は、ここまで扱ったなかで初めてになる。棟、躯、口、巻、合、基、箇、領、帳、面、枚、柄、具、対に続く。

隧道はまとめられる。第六・七・八・九・一〇号及び一一号隧道が一件、第一二・一三・一四・一五・一六・一七及び一八号隧道が一件である。六本、七本がそれぞれ一件になっている。

霧島神宮では三つの建物が1棟にまとめられていた。本件は隧道の番号が中黒と及びで区切られ、複数本が一つの記録に収まっている。

見学

所在は山梨県大月市と上野原市にまたがり、所有は電力会社である。

建設の経緯が記される。東京電燈株式会社が第二水力電気事業の一環として建設したもので、明治43年に着工、大正三年の大野調整池の完成をもって全体が竣工した、とある。

1910年に着工し、1914年に竣工している。年代の欄は1912年とされる。

構造の意図も述べられる。取水口の沈砂池や隧道は、土砂流入防止等を意図して長大な規模で築かれる、とされる。

評価は、大規模調整池を有するわが国最初期の本格的水力発電所施設であるばかりでなく、類型の異なる複数の構造物に高度な建設技術が発揮されており、土木技術史上、高い価値がある、と結ばれる。稼働中の施設を含むため、立ち入りは所有者の定めによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q八ツ沢発電所施設はいつ指定されましたか。
A2005年(平成17年)12月27日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく、重要文化財としての指定です。所在は山梨県大月市と上野原市にまたがります。
Qどのくらいの規模ですか。
A文化庁は「約14kmの範囲に現存する」とし、「わが国の重要文化財のなかで、最大規模となる」と記します。所在地の欄には9つの地名が並びます。
Q所有者は誰ですか。
A構造物によって記録が異なります。第一号水路橋は東京電力リニューアブルパワー株式会社、取水堰堤は東京電力株式会社とされ、名が二通りに書かれています。
Q何が含まれるのですか。
A取水口施設、第一号から第一八号の隧道、第一号開渠、第一号から第四号の水路橋、大野調整池施設、水槽余水路などです。隧道は複数本がまとめて一件とされます。
Qいつ造られたのですか。
A文化庁は「明治43年に着工、大正三年の大野調整池の完成をもって全体が竣工した」と記します。1910年に着工し1914年に竣工しています。

基本情報

名称八ツ沢発電所施設(やつさわはつでんしょしせつ)/19件の構造物からなる
所在地山梨県大月市駒橋、猿橋町、富浜町及び梁川町、上野原市大野、コモアしおつ、四方津、八ツ沢及び松留
指定区分重要文化財(建造物・近代その他)/国宝ではない
指定年2005年(平成17年)12月27日 重要文化財
員数構造物ごとに異なる。第一号水路橋は1基、取水堰堤は1所
寸法約14キロメートルの範囲に現存する。第一号水路橋は橋長42.7メートルの鉄筋コンクリート造単アーチ橋、取水堰堤は石造及びコンクリート造で堤長101.7メートル、堤高3.9メートル。年代の欄は1912年で、時代は明治
所有者東京電力リニューアブルパワー株式会社/取水堰堤の記録では東京電力株式会社
公開状況稼働中の施設を含むため、立ち入りは所有者の定めによる

参考文献

文化遺産オンライン 八ツ沢発電所施設 第一号水路橋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/147648
文化遺産オンライン 八ツ沢発電所施設 取水堰堤
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/177182
上野原市 八ツ沢発電所施設
https://www.city.uenohara.yamanashi.jp/site/kankou/1018617.html
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.06

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