1点の土製品 ― 2011年に重要文化財

猪形土製品/青森県十腰内2遺跡出土は、青森県弘前市の弘前市立博物館が保管する縄文時代の考古資料で、2011年(平成23年)6月27日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。所有は弘前市である。

員数は1点である。ここまで棟、口、面、箇、鋪などと数えてきたが、点は初めてになる。

弘前市は、本土製品は、昭和35年(1960年)の緊急発掘調査により、縄文時代後期の遺跡である市内の十腰内(2)遺跡から出土したものである、と記す。

同じ物が、二つの記録に別々に載っている

文化遺産オンラインに、同じ土製品の記録が二つある。

一方は猪形土製品/青森県十腰内2遺跡出土として、斜線と全角の数字で登録されている。

他方は猪形土製品 青森県十腰内2遺跡出土として、全角の空白と半角の数字で登録されている。

両者は互いの関連作品として挙げられており、同じ物を指している。

旧集成館機械工場では、重要文化財と史跡という別の制度で二つの記録があった。あちらは制度が違う。

本件は同じ重要文化財の記録が二通りある。土偶/宮城県遠田郡田尻町蕪栗恵比須田出土では斜線が使われていた。斜線と空白のどちらもこの種の資料で使われている。

ふりがなが、濁点一つ分だけ違う

二つの記録で、読みがわずかに食い違う。

斜線の記録は、いのししがたどせいひんとする。

空白の記録は、いのししかたどせいひんとする。

がたとかたで、濁点が一つ違う。弘前市の記録は、いのししがたどせいひんである。

旧学習院初等科正堂では、文化庁が旧を落とし、成田市が入れていた。あちらは一語の有無である。

本件は濁点一つの違いになる。数字の読みも、2がにと読まれる記録と、読みが与えられていない記録に分かれる。

寸法が、三通りに記される

大きさの書き方が、記録によって異なる。

斜線の記録には、寸法の記載がない。

空白の記録は、全長18.0センチメートル、高さ9.7センチメートル、厚さ4.8センチメートルとする。

弘前市は、体長18.0センチメートル、高さ9.7センチメートル、厚さ4.8センチメートル、前脚長2.0センチメートルとする。全長と体長で語が違い、前脚長が一つ多い。

旧集成館機械工場では、平方メートルと間で単位そのものが違っていた。若戸大橋では、同じ単位のなかで精度が分かれていた。

本件は項目の数と呼び方が分かれている。所在地も、白銀町とする記録と下白銀町とする記録があり、人手による確認をお願いしたい。

鑑賞

保管は弘前市立博物館、所有は弘前市である。

解説の分量も二つの記録で違う。斜線の記録は、本件は、十腰内2遺跡から出土した縄文時代後期の猪形土製品である、の一文である。

空白の記録は詳しい。縄文時代後期から晩期にかけて、猪形土製品は北海道から関東まで散見されるものだが、本品は、それらの中にあって、群を抜く大きさで写実性に富み、美術性にも優れている、とする。

弘前市も、他の土製品が、造形的にデフォルメされ、小型なものが多い中、本土製品はきわめて大型であり、かつ、猪の姿形を写実的に造形した優品である、と記す。

土偶/宮城県遠田郡田尻町蕪栗恵比須田出土では、誇張と抽象を組み合わせたとされていた。本件は他の作が誇張されているなかで、写実であることが価値になる。博物館が保管する資料であり、常設で公開される性格のものではない。訪問前に確認したい。

Q&A

Q猪形土製品はいつ指定されましたか。
A2011年(平成23年)6月27日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、員数は1点、所有は弘前市です。
Q読み方はどちらが正しいのですか。
A記録によって違います。斜線の記録と弘前市は「いのししがたどせいひん」、全角の空白の記録は「いのししかたどせいひん」とし、濁点が一つ違います。
Q大きさはどのくらいですか。
A記録によって書き方が違います。文化遺産オンラインは全長18.0センチメートル、弘前市は体長18.0センチメートルとし、弘前市には前脚長2.0センチメートルが加わります。
Qどのように出土したのですか。
A弘前市は「昭和35年の緊急発掘調査により、縄文時代後期の遺跡である市内の十腰内(2)遺跡から出土した」と記します。
Q何が評価されているのですか。
A文化遺産オンラインは「群を抜く大きさで写実性に富み、美術性にも優れている」とし、弘前市は「きわめて大型であり、かつ、猪の姿形を写実的に造形した優品」と記します。

基本情報

名称猪形土製品/青森県十腰内2遺跡出土(いのししがたどせいひん)/同じ物が二つの記録に別々に載る
所在地弘前市立博物館(青森県弘前市)。所在地を白銀町とする記録と下白銀町とする記録がある
指定区分重要文化財(美術品・考古資料)/国宝ではない
指定年2011年(平成23年)6月27日 重要文化財
員数1点
寸法文化遺産オンラインは全長18.0センチメートル、高さ9.7センチメートル、厚さ4.8センチメートルとする。弘前市は体長18.0センチメートル、高さ9.7センチメートル、厚さ4.8センチメートル、前脚長2.0センチメートルとする。時代は縄文時代後期
所有者弘前市
公開状況博物館が保管する資料で、常設の公開ではない

参考文献

弘前市 国指定文化財 猪形土製品
https://www.city.hirosaki.aomori.jp/gaiyou/bunkazai/kuni/kuni32.html
文化遺産オンライン 猪形土製品/青森県十腰内2遺跡出土
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/252782
文化遺産オンライン 猪形土製品 青森県十腰内2遺跡出土
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/426126
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.07