一括の出土品 ― 2004年に重要文化財
福岡県隈・西小田遺跡群出土品は、福岡県筑紫野市二日市南1-9-1にある弥生時代の考古資料で、2004年(平成16年)6月8日に重要文化財に指定された。国の指定を受けた美術品にあたる。所有は筑紫野市である。
員数は一括である。数と単位ではなく、まとまりとしてのみ示される。山梨県鋳物師屋遺跡出土品に続く2件目になる。
ふりがなの欄は、ふくおかけんくま・にしおだいせきぐんしゅつどひんである。名称の中黒が読みにも入る。
同じ発掘の出土品が、国と県に分かれている
一度の調査で出た物が、二つの制度に振り分けられている。
筑紫野市は、国の指定分に続けて、その他に出土したイモガイ製貝輪、ゴホウラ製貝輪、鉄鏃、鉄製品、銅鏃、磨製石鏃、石戈、石剣、勾玉、管玉、ガラス小玉、銅剣嵌入人骨 計166点が県指定文化財に指定されています、と記す。
国の指定分の内訳を足すと78点になる。県の指定分は166点で、県のほうが数が多い。
名称も違う。国は隈・西小田遺跡群出土品、県は隈・西小田地区遺跡群甕棺墓出土品である。地区と甕棺墓の語が入るかどうかで分かれる。
盛安寺客殿では、建物が国の指定、庭園が滋賀県の指定だった。あちらは別の物どうしである。
本件は同じ発掘で出た物が、点数も名称も変えて二つに分かれている。
三つの地点が、三つの時期を代表する
指定の範囲が、時期の違う三か所からなる。
文化庁は、第一三地点二三号甕棺墓出土品、第七地点祭祀関係遺構出土品および第三地点一〇九号甕棺墓出土品の一括である、とする。地点と号は漢数字で書かれる。
筑紫野市によれば、第3地点109号甕棺墓は細形銅剣1本と諸岡型貝輪8個で、弥生時代中期前半の資料である。
第13地点23号甕棺墓は鉄戈1本、鉄剣1本、前漢鏡1面、立岩型貝輪41個で、中期後半にあたる。首長の世代交代を反映しています、とされる。
第7地点は一括埋納銅戈23本と蓋付壺2個体で、中期末から後期初頭である。特殊な祭祀の一例をうかがい知ることができる、とされる。
三つ合わせて、弥生時代の中期前半から後半にかけての祭祀及び首長墓の変遷を示す資料になる。一つの遺跡群の三か所が、時期の移り変わりを示している。
貝輪の型が、時期によって入れ替わる
同じ種類の品が、時期ごとに違う型で現れる。
中期前半の第3地点109号甕棺墓からは、諸岡型貝輪8個が出ている。
中期後半の第13地点23号甕棺墓からは、立岩型貝輪41個が出ている。
型が諸岡型から立岩型へ替わり、数も8個から41個へ増えている。
猪形土製品では、縄文時代後期から晩期にかけて猪形土製品が北海道から関東まで散見されるとされ、そのなかで本品が群を抜くとされた。あちらは同時期の他の作との比較である。
本件は同じ遺跡群のなかで、時期を追って型と数が変わる。副葬品の内容が、時期の違いを直接示していることになる。
鑑賞
所在は福岡県筑紫野市二日市南1-9-1で、所有は筑紫野市である。
解説文には、甕棺墓【かめかんぼ】と隅付き括弧の読みが混じる。金銅錫杖頭、撃蒙抄、浄光明寺敷地絵図に続く4例目になる。
発掘の経緯も記される。筑紫野市は、筑紫野市南部の小郡・筑紫野ニュータウン事業計画に先立つ、埋蔵文化財発掘調査により発見された出土品、とする。
山梨県鋳物師屋遺跡出土品でも、工業団地造成事業に伴う発掘調査だった。開発に先立つ調査で出た資料が指定される例が続く。
重要文化財の指定は2004年6月8日で、紫地葵紋付葵葉文様辻が花染羽織が重要文化財となった日と同じである。市が保管する資料であり、常設で公開される性格のものではない。訪問前に確認したい。
Q&A
- この出土品はいつ指定されましたか。
- 2004年(平成16年)6月8日に重要文化財へ指定されました。所有は筑紫野市です。
- 何点あるのですか。
- 員数の欄は「一括」で数を示しません。筑紫野市の内訳を足すと78点になります。同じ発掘で出た別の166点は県の指定です。
- どのような内訳ですか。
- 三つの地点からなります。第3地点は細形銅剣1本と諸岡型貝輪8個、第13地点は鉄戈・鉄剣各1本と前漢鏡1面と立岩型貝輪41個、第7地点は銅戈23本と蓋付壺2個体です。
- 県の指定とは何が違うのですか。
- 名称も点数も違います。国は「隈・西小田遺跡群出土品」、県は「隈・西小田地区遺跡群甕棺墓出土品」で、県の指定分は166点です。
- 何が分かる資料ですか。
- 筑紫野市は「弥生時代の中期前半から後半にかけての祭祀及び首長墓の変遷を示す資料」と記します。三つの地点が三つの時期にあたります。
基本情報
| 名称 | 福岡県隈・西小田遺跡群出土品(ふくおかけんくま・にしおだいせきぐんしゅつどひん)/県指定分は別の名称 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県筑紫野市二日市南1-9-1 |
| 指定区分 | 重要文化財(美術品・考古資料)/同じ遺跡群の別の出土品は県の指定 |
| 指定年 | 2004年(平成16年)6月8日 重要文化財 |
| 員数 | 一括。数は示されない。筑紫野市の内訳を足すと78点になる |
| 寸法 | 第3地点109号甕棺墓が細形銅剣1本と諸岡型貝輪8個(中期前半)、第13地点23号甕棺墓が鉄戈1本・鉄剣1本・前漢鏡1面・立岩型貝輪41個(中期後半)、第7地点が一括埋納銅戈23本と蓋付壺2個体(中期末から後期初頭)。時代は弥生 |
| 所有者 | 筑紫野市 |
| 公開状況 | 市が保管する資料で、常設の公開ではない |
参考文献
- 筑紫野市 福岡県隈・西小田遺跡群出土品
- https://www.city.chikushino.fukuoka.jp/soshiki/38/1844.html
- 文化遺産オンライン 福岡県隈・西小田遺跡群出土品
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/135917
- 筑紫野市 文化財
- https://www.city.chikushino.fukuoka.jp/soshiki/48/3550.html
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.10