1基の吊橋 ― 2022年に重要文化財
若戸大橋は、福岡県北九州市戸畑区川代2丁目から若松区本町1丁目にかかる昭和時代の建造物で、2022年(令和4年)2月9日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。所有は北九州市である。
員数は1基である。鋼製補剛吊橋、橋長627.3メートル、幅員19.6メートル、鉄骨鉄筋コンクリート造橋台附属とされる。
2022年2月9日は、霧島神宮の本殿・幣殿・拝殿が国宝に、ニッカウヰスキー余市蒸溜所施設が重要文化財に指定された日と同じである。同じ日の三件目にあたる。
解説文に、ふりがなが丸括弧で混じっている
本文のなかに読みがそのまま入っている。
文化庁は、吊橋の長大化に伴う風(かぜ)荷重(かじゅう)、ケーブル製作等に係る課題を解決し、と記す。
風と荷重のそれぞれに、丸括弧で読みが添えられている。戸畑(とばた)も同じ形である。
金銅錫杖頭では行乞【ぎようこつ】、撃蒙抄では暢達【ちようたつ】と、いずれも隅付き括弧だった。
本件は丸括弧である。ルビが本文に露出する形として、括弧の種類が二通りあることになる。
年代の欄も昭和/1962年と全角数字で書かれる。ニッカウヰスキー余市蒸溜所施設に続く2例目である。
同じ記録のなかで、寸法の精度が違う
橋の長さが、欄と本文で桁を変えて書かれる。
寸法の欄は、橋長627.3メートル、幅員19.6メートルである。小数点以下まで示される。
一方、解説文は、橋長627m、中央支間367mという、とする。こちらは整数である。
627.3と627で、0.3メートルの差になる。欄が細かく、本文が丸めている。
黒漆螺鈿礼盤では、文化庁の寸法欄が空で静岡県が法量を記していた。旧学習院初等科正堂では、屋根の材が文化庁と成田市で違っていた。
本件は同じ文化庁の記録のなかで、欄と解説文の精度が分かれている。中央支間367メートルは解説文にしか出てこない。
三つの組織が調査と設計に取り組んだ
誰が造ったかが、組織の名で並べられる。
文化庁は、設立直後の日本道路公団を中心に、建設省土木研究所や東京大学の技術者、研究者が調査・設計に取組むことで、と記す。
公団、国の研究所、大学の三つが挙げられる。それぞれ立場の違う組織である。
旧筑後川橋梁(筑後川昇開橋)では、専門を異にする技術者らの高度な協同作業のもとに実現した、とされていた。あちらは専門の違いである。
本件は所属する組織の違いになる。北口本宮冨士浅間神社では地元の郡内大工、鉄宝塔では叡尊と藤原宗安が挙げられていた。
作った側の記され方は、個人名、流派、専門、組織と四通りになる。結びは、我が国初の本格的な長大吊橋として重要である、とされる。
見学
所在は福岡県北九州市戸畑区川代2丁目から若松区本町1丁目である。区をまたいでかかる橋になる。
旧筑後川橋梁(筑後川昇開橋)は福岡県と佐賀県にまたがり、所有も大川市と諸富町の二つだった。本件は同じ市のなかの二区を結び、所有は北九州市の一つである。
規模については、従来の我が国橋梁の最大支間を大幅に更新する規模で建設された海峡横断橋である、とされる。
洞海湾を渡す橋であり、戸畑と若松という工業地帯の二つの地区を結んでいる。
現在も供用されている道路橋である。徒歩での通行の可否や、周辺からの眺めについては、管理者の案内に従いたい。訪問前に確認したい。
Q&A
- 若戸大橋はいつ指定されましたか。
- 2022年(令和4年)2月9日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、員数は1基、所有は北九州市です。
- 橋の長さはどのくらいですか。
- 記録によって精度が違います。寸法の欄は橋長627.3メートル、解説文は627メートルとします。中央支間367メートルは解説文にのみ記されます。
- 誰が設計したのですか。
- 文化庁は「設立直後の日本道路公団を中心に、建設省土木研究所や東京大学の技術者、研究者が調査・設計に取組むことで」と記します。三つの組織が挙げられています。
- 何が評価されているのですか。
- 文化庁は「工業技術の粋を集めて完成した我が国初の本格的な長大吊橋として重要である」と記します。
- どことどこを結んでいますか。
- 北九州市の戸畑区と若松区です。文化庁は「北九州市の工業地帯、戸畑と若松を結ぶ」と記します。洞海湾を渡す橋です。
基本情報
| 名称 | 若戸大橋(わかとおおはし) |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県北九州市戸畑区川代2丁目から若松区本町1丁目 |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物)/国宝ではない |
| 指定年 | 2022年(令和4年)2月9日 重要文化財 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 鋼製補剛吊橋。寸法の欄は橋長627.3メートル、幅員19.6メートルとし、鉄骨鉄筋コンクリート造橋台が附属する。解説文は橋長627メートル、中央支間367メートルとする。年代の欄は昭和/1962年で、全角数字で記される |
| 所有者 | 北九州市 |
| 公開状況 | 現在も供用されている道路橋。通行や見学は管理者の案内による |
参考文献
- 文化遺産オンライン 若戸大橋
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/523677
- 北九州市 戸畑区
- https://www.city.kitakyushu.lg.jp/tobata/kw7100006.html
- 北九州市 若松区
- https://www.city.kitakyushu.lg.jp/wakamatsu/file_0015.html
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.07