一括の出土品 ― 2023年に国宝
北海道白滝遺跡群出土品は、北海道紋別郡遠軽町白滝138-1にある旧石器時代の考古資料で、2011年(平成23年)6月27日に重要文化財となり、2023年(令和5年)6月27日に国宝に指定された。所有は遠軽町である。
重要文化財と国宝が、どちらも6月27日である。年は12年離れているが、月日が同じになる。
2023年6月27日の国宝は、ここまで扱った物件のなかで最も新しい。員数の欄は数ではなく一括と記される。
重要文化財より、国宝のほうが範囲が広い
北海道白滝遺跡群出土品は、二段階のあいだで対象が増えている。
文化庁は、本件はそのうち、服部台2・奥白滝1・上白滝2・上白滝5・上白滝7・上白滝8遺跡の出土品(平成23年重要文化財)に、その後整理が完了した白滝15遺跡の出土品を加えた1,965点で構成される、と記す。
重要文化財のときは6か所の遺跡の出土品だった。国宝ではそこに、整理が終わった白滝15遺跡の分が加わっている。
土偶/青森県八戸市風張1遺跡出土では、664点の一括が重要文化財となり、そのうち1点だけが国宝になった。一括から抜き出された例である。
本件は逆で、重要文化財の範囲に後から加えられている。整理が進んだことが、範囲を広げている。
指定の対象が増減する例として、抜き出しと追加の両方が揃ったことになる。
ふりがなが、「いらたき」となっている
北海道白滝遺跡群出土品の名称の読みに誤りがある。
文化遺産オンラインのふりがなは、ほっかいどういらたきいせきぐんしゅつどひん、とする。
白滝は「しらたき」である。「し」が「い」になっている。
同じ場所の史跡である白滝遺跡群のふりがなは、しらたきいせき、と正しく記されている。
ここまで記録の破損を見てきた。阿高・黒橋貝塚では文字化け、二子山石器製作遺跡では専門用語の誤字、蝶螺鈿蒔絵手箱ではローマ字混入、太刀〈銘光世作〉では句読点、観心寺金堂では人名の誤字があった。
ふりがなの誤字は、これが初めてになる。本稿は本文で「しらたき」と読む。
669万点のうちの1,965点である
北海道白滝遺跡群出土品では、数と重さが具体的に記録される。
23箇所の遺跡から数約669万点、総重量約12トンもの遺物が出土した、とある。
点数だけでなく、重さが示されている。重量で規模を述べる例は、これまでになかった。
そのうち国宝となったのは1,965点である。669万点の一部にあたる。
個々のものについても記される。特に、尖頭器石器群には全長36.3cmの超大形の個体や、多数の木葉形尖頭器が含まれ、それらの製作にかかわる多数の剝片や石核が接合した接合資料も豊富である、とある。
接合資料は、割れた石を元どおりに組み合わせたものをいう。作られる過程が復元できることになる。
鑑賞
所在は北海道紋別郡遠軽町白滝138-1で、所有は遠軽町である。町が国宝を所有する例は、これが初めてになる。
ここまで自治体が所有する国宝は、八戸市の土偶、函館市の土偶、高知県の古今和歌集巻第廿があった。市と都道府県に続いて、町が現れたことになる。
評価は結びまで具体的である。わが国の旧石器時代遺跡出土品の中でもその内容・質量は群を抜き、世界的に見ても稀有な内容を持つ一括として、国宝に相応しい、とある。
国宝に相応しい、という言い方になっている。評価文が、指定の判断そのものを述べている。
同じ場所の白滝遺跡群は1989年(平成元年)1月9日の史跡である。1997年に追加指定され、名称が白滝遺跡から白滝遺跡群に変更された。展示の予定は変わることがあるため、訪問前に確認したい。
Q&A
- 北海道白滝遺跡群出土品はいつ指定されましたか。
- 2011年(平成23年)6月27日に重要文化財、2023年(令和5年)6月27日に国宝へ指定されました。年は12年離れていますが、月日が同じです。所有は遠軽町です。
- 重要文化財と国宝で範囲は同じですか。
- 違います。重要文化財は6か所の遺跡の出土品でしたが、国宝ではそこに「その後整理が完了した白滝15遺跡の出土品を加えた1,965点」となっており、範囲が広がっています。
- ふりがなに誤りがあるのですか。
- あります。文化遺産オンラインは「ほっかいどういらたきいせきぐんしゅつどひん」とし、「し」が「い」になっています。同じ場所の史跡は「しらたきいせき」と正しく記されています。
- どのくらいの量が出土したのですか。
- 文化庁は「23箇所の遺跡から数約669万点、総重量約12トンもの遺物が出土した」と記します。国宝となったのはそのうち1,965点です。
- 誰が所有しているのですか。
- 遠軽町です。町が国宝を所有する初めての例で、八戸市・函館市の土偶、高知県の古今和歌集巻第廿に続く、自治体が所有する4件目にあたります。
基本情報
| 名称 | 北海道白滝遺跡群出土品(ほっかいどうしらたきいせきぐんしゅつどひん)/文化遺産オンラインのふりがなは「いらたき」と誤る |
|---|---|
| 所在地 | 北海道紋別郡遠軽町白滝138-1 |
| 指定区分 | 国宝(考古資料)/重要文化財は6か所の遺跡の出土品、国宝は白滝15遺跡の分を加えたもの |
| 指定年 | 2011年(平成23年)6月27日 重要文化財/2023年(令和5年)6月27日 国宝 |
| 員数 | 一括(1,965点で構成される) |
| 寸法 | 白滝遺跡群では23か所の遺跡から6.69百万点あまり、総重量約12トンの遺物が出土した。尖頭器石器群には全長36.3センチメートルの超大形の個体が含まれ、剝片や石核が接合した接合資料も豊富とされる。時代は旧石器 |
| 所有者 | 遠軽町 |
| 公開状況 | 町の施設で保管されている。展示の予定は変わることがある |
参考文献
- 文化遺産オンライン 北海道白滝遺跡群出土品
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/578832
- 文化遺産オンライン 白滝遺跡群(史跡)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/204593
- 遠軽町 公式サイト
- https://engaru.jp/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.06