昭和14年架設の竹筋入りコンクリート橋 ― 1999年に登録
長者滝橋は、岩手県一関市厳美町字南滝の上にある橋で、1999年(平成11年)11月18日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1基、所有は一関市である。
文化庁は構造をこう記す。コンクリート造2連アーチ橋、鉄筋コンクリート造取付桁橋附属、橋長61メートル、幅員3.9メートル。年代は昭和前/1939とする。
解説文の冒頭は次のとおりである。磐井川に架設された竹筋入りコンクリート橋。竹を筋材に用いたことが公的記録に明記されている。
竹を筋材に使う
鉄筋コンクリートは、引張に弱いコンクリートを鉄の棒で補うものである。竹筋コンクリートは、その鉄の代わりに竹を用いる。
竹は引張に強く、入手しやすい。鉄が得にくい時期に、代わりの材として使われた。ただし竹は腐朽するため、鉄筋と同じ耐久性は期待できない。
文化庁の記載は「竹筋入り」であって、竹だけで組んだという意味ではない。竹を入れたコンクリート橋という書き方である。
橋長61メートル、幅員3.9メートル。車がすれ違うには狭い幅で、当時の道路事情に対応した規模である。
中央2連と左右各2の側径間
文化庁は橋の構成を具体的に記す。径間18メートルの中央2連アーチ部と、左右各2側径間部からなる。
中央に18メートルのアーチが2つ、その左右に2つずつの側径間が続く。あわせて6つの径間になる。
アーチは充腹アーチである。充腹はアーチと路面の間を中身の詰まった壁で埋める形式で、開いた空間をもつ開腹アーチと対になる。文化庁はこれを「重厚な趣」と評する。
取付桁橋は鉄筋コンクリート造で、こちらは附属として記録されている。アーチ部と取付部で構造が分かれている。
橋台と橋脚が岩盤に定着する
文化庁の評価の要点は、橋そのものではなく橋と地形の関係にある。
充腹アーチの重厚な趣に加えて、橋台・橋脚が岩盤に定着されることで、渓谷に溶け込んだ景観を創り出している。
橋台は橋の両端を受ける構造、橋脚は途中で支える柱である。それらが岩盤に直接定着している。土を盛って基礎を作るのではなく、露出した岩にそのまま据えていることになる。
この橋が架かる磐井川の厳美渓は、渓谷そのものが別の枠組みで国の対象となっている。橋の登録と、渓谷の扱いは別の制度である。文化庁が「溶け込んだ景観」とするのは、この渓谷との関係を指す。
評価が橋単体ではなく、周囲の地形とあわせて下されている点が、この物件の特徴にあたる。
訪問
長者滝橋は現役の橋である。橋の上を通ることができ、外観は屋外から見られる。
充腹アーチと橋脚の岩盤への定着は、橋の上からは見えない。渓谷側から見上げる位置に立つ必要がある。
渓谷は増水時や積雪時に近づけないことがある。天候と現地の状況を確かめて訪ねたい。
所在は岩手県一関市厳美町字南滝の上である。詳しい場所は一関市の案内で確認したい。
Q&A
- 長者滝橋はいつ架けられ、いつ登録されましたか。
- 文化庁は年代を昭和前/1939とします。1999年(平成11年)11月18日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1基、所有は一関市です。
- 竹筋コンクリートとは何ですか。
- 鉄筋コンクリートの鉄の代わりに竹を筋材として用いるものです。竹は引張に強く入手しやすいため、鉄が得にくい時期に代わりの材として使われました。文化庁は本橋を「竹筋入りコンクリート橋」と記します。
- どのような構成の橋ですか。
- 文化庁は「径間18メートルの中央2連アーチ部と左右各2側径間部からなる」と記します。中央に18メートルのアーチが2つ、その左右に2つずつの側径間が続き、あわせて6つの径間になります。橋長61メートル、幅員3.9メートルです。
- なぜ登録されたのですか。
- 文化庁は「充腹アーチの重厚な趣に加えて、橋台・橋脚が岩盤に定着されることで、厳美渓に溶け込んだ景観を創り出している」と記します。評価が橋単体ではなく、周囲の地形とあわせて下されています。
- 見学できますか。
- 現役の橋なので橋の上を通ることができ、外観は屋外から見られます。ただし充腹アーチと橋脚の岩盤への定着は橋の上からは見えず、渓谷側から見上げる位置に立つ必要があります。増水時や積雪時は近づけないことがあります。
基本情報
| 名称 | 長者滝橋(ちょうじゃたきばし) |
|---|---|
| 所在地 | 岩手県一関市厳美町字南滝の上 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 1999年(平成11年)11月18日 登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | コンクリート造2連アーチ橋、鉄筋コンクリート造取付桁橋附属、橋長61メートル、幅員3.9メートル。竹筋入りコンクリート橋で、径間18メートルの中央2連アーチ部と左右各2側径間部からなる。1939年 |
| 所有者 | 一関市 |
| 公開状況 | 現役の橋。橋の上を通ることができ、外観は屋外から見られる |
参考文献
- 文化遺産オンライン 長者滝橋
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/192399
- 一関市 公式サイト
- https://www.city.ichinoseki.iwate.jp/
- 一関市観光協会 いち旅
- https://www.ichitabi.jp/
- 文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/
最終更新日: 2026.09.04