29棟が一括で重要文化財 ― 2020年

八坂神社は、京都府京都市東山区祇園町北側にある神社で、2020年(令和2年)12月23日に境内の29棟が一括して重要文化財に指定された。所有は宗教法人八坂神社である。

指定された建物は多岐にわたる。南楼門、西楼門翼廊、南手水舎、西手水舎、絵馬堂、神輿庫、神馬舎、透塀、神饌所、舞殿といった境内の建物に加え、又旅社本殿、四条旅所本殿(東殿・西殿)、大年社本殿、大政所社本殿、冠者殿社本殿、五社本殿、十社本殿、太田社本殿、日吉社本殿など摂末社の本殿が含まれる。

門から手水舎、塀、そして摂末社の本殿までが同じ日に指定されている。境内の建物がまとめて評価されたことになる。

本殿は別に指定を受けている

境内の中心にある本殿は、この29棟とは別に指定を受けている。本殿の指定は1911年(明治44年)4月17日にさかのぼり、2020年12月23日に区分が改められた。

文化庁は本殿について、四代将軍徳川家綱により、承応3年(1654年)の建立と記す。構造は桁行七間、梁間六間、入母屋造、正面向拝三間、両側面及び背面庇付、背面三間突出、檜皮葺である。

29棟の指定と本殿の区分変更が同じ日に行われた。境内全体が一度に見直されたことを示す。

本稿が扱うのは八坂神社という記録であり、CMS の記録では重要文化財の指定日が2020年12月23日として登録されている。

「他に例を見ない」棚

文化庁は本殿の内部について、具体的な特徴を挙げる。

身舎は奥側の内々陣と前側の内陣に区画し、それぞれ正面に三間通しの棚を設けて他に例を見ない。

「他に例を見ない」と断定している。内々陣と内陣という二つの区画それぞれに、正面いっぱいの棚を設ける。この扱いが他にないとされる。

身舎の四周には外陣がまわり、正面に礼堂が取り付く。ここまでが入母屋造、檜皮葺の大屋根に収まる。

大屋根一つの下に、内々陣・内陣・外陣・礼堂が入る。外から見える屋根は一つだが、内部は幾重にも区画されている。

庇で規模を広げる古い方法

大屋根の外側にも構造がある。

さらに庇をつけて規模を拡張するのは、平安時代の建築の方法で、側面の庇は小部屋に分かれている。

建物を大きくするのに、本体を大きくするのではなく庇を足す。これが平安時代のやり方であるという。しかも側面の庇は一続きではなく、小部屋に分かれる。

文化庁は続けて、この本殿の形式は、鎌倉時代には成立していたことが明らかであるとする。承応3年(1654年)の建立でありながら、形式そのものは鎌倉時代までさかのぼる。

評価はこうまとめられる。平安時代の建築の空間構成を伝え、中世の信仰儀礼と建物の関係をよく示しており、こうした伝統を継承した建物として江戸時代前期に建立されたことは我が国建築史上、高い価値を有する。

「維持されてきたこと」への評価

文化庁の評価にはもう一段ある。

また、この本殿が、祇園祭を担う人々によって現在まで維持されてきたことには、深い文化史的意義が認められる。

建物そのものではなく、維持してきた人々が評価に含まれている。誰が守ってきたかが、公的記録に書き込まれている例である。

八坂神社は京都市東山区祇園町北側にある。境内は参拝が可能で、指定された建物の多くは屋外にある。

本殿の内部や摂末社の拝観については神社の運用による。訪問前に八坂神社の案内で確認したい。

Q&A

Q八坂神社の建物はいつ指定されましたか。
A2020年(令和2年)12月23日に境内の29棟が一括して重要文化財に指定されました。所有は宗教法人八坂神社です。境内の中心にある本殿は、この29棟とは別に指定を受けています。
Qどのような建物が含まれますか。
A南楼門、西楼門翼廊、南手水舎、西手水舎、絵馬堂、神輿庫、神馬舎、透塀、神饌所、舞殿といった境内の建物に加え、又旅社本殿、四条旅所本殿、大年社本殿、大政所社本殿、冠者殿社本殿、五社本殿、十社本殿、太田社本殿、日吉社本殿などの摂末社本殿が含まれます。
Q本殿の特徴は何ですか。
A文化庁は「身舎は奥側の内々陣と前側の内陣に区画し、それぞれ正面に三間通しの棚を設けて他に例を見ない」と記します。身舎の四周に外陣がまわり、正面に礼堂が取り付いて、ここまでが入母屋造、檜皮葺の大屋根に収まります。
Q庇についてはどう記されていますか。
A文化庁は「さらに庇をつけて規模を拡張するのは、平安時代の建築の方法で、側面の庇は小部屋に分かれている」とし、この本殿の形式は鎌倉時代には成立していたことが明らかであるとします。承応3年(1654年)の建立でありながら、形式は鎌倉時代までさかのぼります。
Q評価には何が含まれていますか。
A文化庁は「この本殿が、祇園祭を担う人々によって現在まで維持されてきたことには、深い文化史的意義が認められる」と記します。建物そのものだけでなく、維持してきた人々が評価に含まれています。

基本情報

名称八坂神社(やさかじんじゃ)
所在地京都府京都市東山区祇園町北側
指定区分重要文化財(建造物)/境内の本殿は別に指定を受けている
指定年2020年(令和2年)12月23日 重要文化財
員数29棟
寸法南楼門、西楼門翼廊、南手水舎、西手水舎、絵馬堂、神輿庫、神馬舎、透塀、神饌所、舞殿などの境内建物と、又旅社本殿、四条旅所本殿、大年社本殿、大政所社本殿、冠者殿社本殿、五社本殿、十社本殿、太田社本殿、日吉社本殿などの摂末社本殿からなる。江戸時代から近代
所有者宗教法人八坂神社
公開状況境内は参拝が可能。指定された建物の多くは屋外にある

参考文献

文化遺産オンライン 八坂神社本殿
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/194450
文化遺産オンライン 八坂神社 南楼門
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/550185
八坂神社 社殿について
https://www.yasaka-jinja.or.jp/about/architecture/
八坂神社 公式サイト
https://www.yasaka-jinja.or.jp/about/

最終更新日: 2026.09.05

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