11点の資料 ― 1982年に重要文化財

角屋家貿易関係資料は、三重県伊勢市神田久志本町1754-1の神宮徴古館・農業館が保管する江戸時代の資料で、1982年(昭和57年)6月5日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。所有は神宮である。

員数は11点である。所有者名の欄は神宮の一語で、ここまでで最も短い。

文化庁は、伊勢大湊で廻船業を興し、国内のみならず海外貿易にも乗り出した角屋家に伝来した遺品類である、と記す。

四つの種類が、四つの単位で数えられる

内訳の数え方が、項目ごとに違う。

伊勢市は、角屋家貿易関係資料 4種として内訳を示す。

アジア航海図(羊皮紙著色)が1面、御朱印旗が1旒、大湊角屋家旗が1旒、角屋家文書が7巻1冊である。

面、旒、巻、冊の四つの単位が使われる。旒は旗を数える単位で、ここまでで初めてになる。棟、口、鋪、点、幅などに続き、19種目にあたる。

角屋家文書は7巻1冊とされ、一つの項目に二つの単位が並ぶ。巻物が7本と、綴じた本が1冊ということになる。

合わせると1面と2旒と7巻と1冊で、文化庁の11点と一致する。旧筑後川橋梁では六種の部材が数えられて全体が1基だった。本件は種類ごとの単位を合計して1つの数になっている。

航海図が、羊皮紙に描かれている

材料が、日本のものではない。

アジア航海図には、羊皮紙著色と添えられる。羊皮紙は動物の皮を加工した書写材料で、ヨーロッパで用いられたものである。

文化庁は、実際の航海に使用されたと思われるアジア航海図(羊皮紙著色)、と記す。飾りではなく、船で使われたと見られている。

撃蒙抄は楮紙、越後国頸城郡絵図も紙、浄光明寺敷地絵図は楮紙四紙を貼り継いだものだった。いずれも日本の紙である。

本件は羊皮紙である。海外との貿易に関わる資料であることが、材料そのものに表れている。

アジア航海図は、文化遺産オンラインに単独の項目としても登録されている。名称はアジア航海図〈(羊皮紙著色)/〉で、山括弧のなかに丸括弧が入り、そのあとに斜線が置かれて後半が空になっている。

海外の日本人町を伝える文書が含まれる

記録の内容が、国外に及んでいる。

文化庁は、安南国の日本人町の様子を伝える文書等を併せ存している、と記す。

安南は現在のベトナム中部から北部にあたる。そこにあった日本人の町の様子が、この資料群に書き残されている。

越後国頸城郡絵図では、越後を描いた絵図が山形で保管されていた。あちらは国内での隔たりである。

本件は、国外の様子を伝える文書が日本の重要文化財になっている。

種別の欄も、歴史資料/書跡・典籍/古文書と三つが並ぶ。撃蒙抄はこの三つのあとにその他が付き、越後国頸城郡絵図は何も付かなかった。本件は越後国頸城郡絵図と同じ形になる。

鑑賞

保管は神宮徴古館・農業館、所有は神宮である。所在地の欄には施設名と住所の両方が入っている。

旗が2旒あり、いずれも家紋をあしらったものとされる。文化庁は、同家家紋をあしらった御朱印船旗や大湊角屋家旗等の通航関係資料、とする。

御朱印旗と大湊角屋家旗で、名の付き方が違う。一方は朱印に関わる名、他方は地名と家名による名である。

角屋家は伊勢大湊を拠点とした。大湊は伊勢市内の港町で、廻船業の地であった。

博物館が保管する資料であり、常設で公開される性格のものではない。展示の予定は変わることがあるため、訪問前に確認したい。

Q&A

Q角屋家貿易関係資料はいつ指定されましたか。
A1982年(昭和57年)6月5日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、員数は11点、所有は神宮です。
Qどのような内訳ですか。
A伊勢市は4種とし、アジア航海図(羊皮紙著色)1面、御朱印旗1旒、大湊角屋家旗1旒、角屋家文書7巻1冊とします。合わせて11点になります。
Q航海図は何に描かれていますか。
A羊皮紙です。動物の皮を加工した書写材料で、文化庁は「実際の航海に使用されたと思われる」と記します。
Q文書には何が書かれていますか。
A文化庁は「安南国の日本人町の様子を伝える文書等を併せ存している」と記します。安南は現在のベトナム中部から北部にあたります。
Q角屋家とはどのような家ですか。
A文化庁は「伊勢大湊で廻船業を興し、国内のみならず海外貿易にも乗り出した」商家と記します。大湊は伊勢市内の港町です。

基本情報

名称角屋家貿易関係資料(かどやけぼうえきかんけいしりょう)/種別の欄は歴史資料/書跡・典籍/古文書
所在地神宮徴古館・農業館(三重県伊勢市神田久志本町1754-1)
指定区分重要文化財(美術品)/国宝ではない
指定年1982年(昭和57年)6月5日 重要文化財
員数11点。伊勢市は4種とし、内訳をアジア航海図1面、御朱印旗1旒、大湊角屋家旗1旒、角屋家文書7巻1冊とする
寸法アジア航海図は羊皮紙著色で、実際の航海に使用されたとみられる。旗は2旒あり、いずれも角屋家の家紋をあしらう。文書には安南国の日本人町の様子を伝えるものが含まれる。時代は江戸
所有者神宮
公開状況博物館が保管する資料で、常設の公開ではない

参考文献

伊勢市 角屋家貿易関係資料
https://www.city.ise.mie.jp/cul_spo_edu/culture/bunkazai_shiseki/bunkazai/rekishi_shiryo/1009658.html
文化遺産オンライン 角屋家貿易関係資料
https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/213399
神宮徴古館・農業館
https://museum.isejingu.or.jp/museum/index.html
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.10