慶長12年造営の権現造 ― 1952年に国宝

大崎八幡宮は、宮城県仙台市青葉区八幡にある神社で、その本殿・石の間・拝殿が1952年(昭和27年)11月22日に国宝に指定された。それに先立つ1903年(明治36年)4月15日には、古社寺保存法に基づく特別保護建造物となっている。員数は1棟で、附として棟札1枚が指定されている。

宮城県の記録によれば、慶長12年(1607年)に伊達政宗によって創建された。附指定の棟札には「慶長拾二年丁未八月十二日造立」とあり、造営年が確定している。

仙台市の記録は、この棟札から施工者も分かると記す。大工城州日向守家次、棟梁梅村三十郎頼次、刑部左衛門国次など当代一流の名匠が招かれて建築されたことが判明している。棟札一枚が年と作り手の両方を伝えているわけである。

石の間造 ― 床を低くして土間でつなぐ

本殿と拝殿を石の間でつないだ形式を、石の間造または権現造という。仙台市はその成り立ちをこう説明する。石の間が本殿や拝殿に比べて床が低く、本来離れていた二つの建物を土間でつなぐことから生まれた様式である。

床を低くするのは、この形式が土間の名残であることによる。仙台市は大崎八幡宮を「この様式の典型として最古のもの」とし、文化庁の日本遺産ポータルも現存最古の権現造りと記す。

権現造の本来の姿をとどめる点として、本殿正面の軒先を石の間の内部に見せていることが挙げられる。本殿の外部だった部分が、石の間の内側に取り込まれているという構成である。二棟を後からつないだという成り立ちが、そのまま形に残っている。

石の間の柱間については記載が分かれる。文化庁のデータベースは桁行一間・梁間一間とするが、同じ文化遺産オンラインの別の記録は東西方向五間・南北方向二間とし、仙台市は桁行五間・梁間一間とする。本稿はいずれか一つを採らず、相違があることを記すにとどめる。

寸法と屋根

本殿は桁行五間、梁間三間、一重、入母屋造、こけら葺。拝殿は桁行が正面七間・背面五間、梁間三間、一重、入母屋造で、正面に千鳥破風を付け、向拝五間に軒唐破風を付ける。石の間は一重の両下造、こけら葺である。

間は長さの単位ではなく柱間の数を指す。拝殿の桁行が正面七間・背面五間と異なるのは、正面側に柱間が多いためである。

こけら葺は薄い木の板を重ねて葺く屋根で、瓦や檜皮とは別の材による。屋根はすべてこけら葺で統一されている。

装飾 ― 黒漆と胡粉極彩色

宮城県は装飾をこう記す。内外とも漆塗り、胡粉彩色が施され、彫刻、金具で飾られ、建物総体の諧調と相まって絢爛たる雰囲気をかもし出しており、桃山建築の傑作である。

大崎八幡宮の記録によれば、外観は長押上に鮮やかな胡粉極彩色の組物や彫刻物を施し、下は総黒漆塗りとする。上下で塗り分けていることが、この社殿の見え方を決めている。

彫刻の題材は多様である。仙台市は飛天、虎、猫、牡丹、蝶、象、亀甲、草などを挙げ、宮城県は天人や摩訶羅などの仏教的なもの、猫・蝶・牡丹を組み合わせた中国風のものを挙げる。胡粉下地に自由な配色で彩色されている。

石の間の格天井には草花が描かれる。数について宮城県は「多数の花や薬草」とし、大崎八幡宮は五十三種とする。拝殿内部には狩野派の絵師佐久間左京による唐獅子の障壁画と、大虹梁の青龍がある。

柱の沈下や傾斜、軒を支える組物の破損を修復するため、平成12年(2000年)から5か年で解体修理が行われ、平成16年秋に完工した。

参拝

境内の参拝は自由で、社殿の外観を見ることができる。社殿の内部は通常非公開である。

境内には重要文化財の長床と、宮城県の重要文化財である石鳥居がある。長床は割拝殿の形式をとる建物で、社殿とは別に指定されている。

1月14日の松焚祭(どんと祭)は仙台市指定無形民俗文化財で、松飾りや古い札を焚き上げる。この際に行われる裸参りが知られる。9月の例大祭では能神楽(宮城県指定無形民俗文化財)が奉納され、翌日に大神輿と流鏑馬神事が行われる。

交通はJR仙台駅からバスで約20分、大崎八幡宮前下車。JR仙山線の東北福祉大前駅からは徒歩約15分である。

Q&A

Q大崎八幡宮の社殿はいつ建てられ、いつ国宝に指定されましたか。
A慶長12年(1607年)に伊達政宗によって創建されました。1903年(明治36年)4月15日に特別保護建造物、1952年(昭和27年)11月22日に国宝へ指定されています。員数は本殿・石の間・拝殿で1棟、附として棟札1枚が指定されています。
Q石の間造とはどのような形式ですか。
A本殿と拝殿を石の間でつないだ形式で、権現造ともいいます。石の間は本殿や拝殿より床が低く、本来離れていた二つの建物を土間でつないだことから生まれました。本殿正面の軒先を石の間の内部に見せる点に、二棟を後からつないだ成り立ちが残っています。
Q大崎八幡宮の社殿の寸法は。
A本殿は桁行五間、梁間三間、入母屋造、こけら葺。拝殿は桁行が正面七間・背面五間、梁間三間、入母屋造で、正面に千鳥破風、向拝五間に軒唐破風を付けます。石の間の柱間は資料により記載が分かれており、本稿は特定していません。
Q装飾にはどのような特徴がありますか。
A長押上に胡粉極彩色の組物と彫刻を施し、下は総黒漆塗りとします。彫刻の題材は飛天、虎、猫、牡丹、蝶、象、亀甲、草など多様です。石の間の格天井に草花が描かれ、拝殿内部には狩野派の佐久間左京による唐獅子の障壁画があります。
Q大崎八幡宮は参拝できますか。
A境内の参拝は自由で社殿の外観を見られますが、内部は通常非公開です。境内には重要文化財の長床と県指定の石鳥居があります。1月14日の松焚祭(どんと祭)と裸参りが知られ、JR仙台駅からバスで約20分です。

基本情報

名称大崎八幡宮(おおさきはちまんぐう)/指定名称 大崎八幡宮 本殿・石の間・拝殿
所在地宮城県仙台市青葉区八幡4丁目6-1
指定区分国宝(建造物)/境内の長床は重要文化財、石鳥居は宮城県指定有形文化財
指定年1903年(明治36年)4月15日 特別保護建造物/1952年(昭和27年)11月22日 国宝
員数1棟/附 棟札1枚
寸法本殿 桁行5間、梁間3間、一重、入母屋造、こけら葺/拝殿 桁行正面7間・背面5間、梁間3間、一重、入母屋造、正面千鳥破風付、向拝5間、軒唐破風付、こけら葺/石の間 一重、両下造、こけら葺。1607年
所有者大崎八幡宮
公開状況境内の参拝は自由。社殿の内部は通常非公開

参考文献

宮城県 指定文化財〈国宝〉大崎八幡宮
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/bunkazai/01oosaki1.html
仙台市 指定・登録文化財 大崎八幡宮
https://www.sendai-c.ed.jp/~bunkazai/shiteidb/c00001.html
文化遺産オンライン 大崎八幡宮
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/184266
国宝 大崎八幡宮 由来
https://www.oosaki-hachiman.or.jp/origin/

最終更新日: 2026.09.03