1件の庭園 ― 1934年に国の指定

慈光院庭園は、奈良県大和郡山市小泉町にある庭園で、1934年(昭和9年)12月28日に国の指定を受けた。区分は史跡名勝天然記念物である。

ふりがなの欄は、じこういんていえんである。

大和郡山市は、寛文3年(1663年)、慈光院が創建されたときに造作されたもの、と記す。

庭の外の山を、庭の一部として取り込む

敷地の外にある景色が、庭の構成に組み入れられている。

大和郡山市は、枯山水の書院庭園で、大刈込みの生垣越しに大和東山の諸山が眺められる借景庭園として知られています、と記す。

借景は、庭の外の風景を庭の背景として取り込む作りをいう。ここでは東の山々がその対象になる。

続けて、大和平野を隔てた遠山の四季の風景が室内から直接眺望できることが特徴となっています、とある。

碌山美術館碌山館では、山頂の景観を良好にかたちづくる、と評された。あちらは建物が景色を作る側である。

本件は、庭が外の景色を取り込む側になる。見る方向が逆になる。

眺めに、八つの名が付けられている

庭から見える景色が、名を付けて数え上げられている。

大和郡山市は、書院の扁額には慈光院八景が掲げられ、と記す。

八景として挙げられるのは、三笠新月、松間双塔、葛城白雲、大峯春雪などである。

三笠は三笠山、葛城は葛城山、大峯は大峯山を指す。いずれも庭の外の山になる。

新月、白雲、春雪という語が付く。見える山だけでなく、その時々の天候や季節まで名に含まれることになる。

扁額は建物に掲げる横長の額である。庭の見え方が、書院のなかに文字として示されていることになる。

植えたものと、自然に生えたものが混ざる

庭の植物が、人の手によるものだけではない。

大和郡山市は、つつじ、さつきなどの大刈込が特徴的で、庭園内には約60種の潅木、下草類が検出されています、と記す。

続けて、人工的な植栽と自然と根を下ろした植物の混栽となっており、素朴ななかにも豊かな色彩を展開しています、とある。

大刈込は、低木を大きなかたまりに刈り込む手法をいう。つつじとさつきがそれにあたる。

一方で、自然に根を下ろした植物も庭のうちに数えられる。約60種という数は、その両方を合わせたものになる。

庭は人が作るものでありながら、作られていない部分も含んで成り立っていることになる。

見学

所在は奈良県大和郡山市小泉町である。

造作は寛文3年、1663年で、慈光院の創建と同じ時期にあたる。

庭は枯山水である。枯山水は水を使わず、石や砂で山水を表す作りをいう。

書院庭園とされる。書院から眺めることを前提に作られた庭になる。

大和郡山市は、見学は有料です、と記す。拝観の条件は寺の定めによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q慈光院庭園はいつ指定されましたか。
A1934年(昭和9年)12月28日に国の指定を受けました。区分は史跡名勝天然記念物です。
Q借景とは何ですか。
A庭の外の風景を庭の背景として取り込む作りです。大和郡山市は「大刈込みの生垣越しに大和東山の諸山が眺められる」と記します。
Q慈光院八景とは何ですか。
A書院の扁額に掲げられた八つの眺めです。三笠新月、松間双塔、葛城白雲、大峯春雪などが挙げられます。
Qどのような植物がありますか。
A大和郡山市は「つつじ、さつきなどの大刈込が特徴的で、庭園内には約60種の潅木、下草類が検出されています」と記します。
Qいつ造られたのですか。
A大和郡山市は「寛文3(1663)年、慈光院が創建されたときに造作されたもの」と記します。

基本情報

名称慈光院庭園(じこういんていえん)
所在地奈良県大和郡山市小泉町
指定区分史跡名勝天然記念物/建造物や美術品ではなく庭園としての指定
指定年1934年(昭和9年)12月28日 指定
員数1件の庭園
寸法面積の記録はない。枯山水の書院庭園で、大刈込みの生垣越しに大和東山の諸山が眺められる借景庭園。庭園内には約60種の潅木、下草類が検出されている。1663年に造作
所有者記録に記載なし
公開状況見学は有料で、拝観の条件は寺の定めによる

参考文献

大和郡山市 慈光院庭園(国指定文化財・史跡名勝天然記念物)
https://www.city.yamatokoriyama.lg.jp/soshiki/machidukuri_senryaku/rekishi_bunkazai/bunkazai101/j_bunkazai/shiseki/1814.html
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/
文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/
奈良県 文化財
https://www.pref.nara.jp/

最終更新日: 2026.09.17