安政2年から文久元年の造営 ― 1952年に国宝
宇佐神宮本殿は、大分県宇佐市南宇佐にある江戸時代末期の社殿で、1952年(昭和27年)11月22日に国宝に指定された。それに先立つ1907年(明治40年)5月27日には、古社寺保存法に基づく特別保護建造物となっている。員数は3棟、第一殿・第二殿・第三殿からなる。所有は宇佐神宮である。
文化庁の解説は配置と造営年を記す。本殿は南面して第一殿より第三殿に至る三社殿が東西に並び、今の本殿は三社殿とも安政2年(1855年)より文久元年(1861年)に亘り造営されたものである。
三殿の創祀はそれぞれ古く、宇佐神宮によれば一之御殿が神亀2年(725年)、二之御殿が天平5年(733年)、三之御殿が弘仁14年(823年)である。創祀の年と現在の建物の年は約1100年隔たっているので、混同しないようにしたい。
八幡造 ― 屋根が横からMに見える
文化庁は形式をこう説明する。その形は切妻造の建物を前後に二つ並べて中央の谷に大きな樋を設けている。この形式は古い形式を残すもので、いわゆる八幡造の典型的なものとして貴重である。
切妻造の建物を前後に二棟並べると、屋根の断面は山が二つ並ぶ形になる。その谷に樋を通して雨水を排する。横から見た屋根の輪郭がMの字になるのはこのためである。
奥の建物を内院、手前を外院という。内院には御帳台、外院には御椅子が置かれ、祭神が昼は前殿、夜は奥殿にあると説明される。二棟が一つの社殿を成すという構成が、昼と夜の座所の区別に対応している。
文化庁が「古い形式を残す」と評するのは、この構成が八幡宮の社殿形式の典型だからである。八幡造という名称自体が、この形式が八幡宮に見られることに由来する。
3棟が横に並ぶ
三殿は向かって左から第一殿・第二殿・第三殿の順に並ぶ。規模はほぼ同じで、いずれも檜皮葺、白壁に朱漆塗の柱である。
祭神は第一殿が八幡大神、第二殿が比売大神、第三殿が神功皇后である。主祭神を祀る第一殿が中央ではなく端に位置する点は、通常の配置と異なる。
本殿の前には南中楼門が立つ。参拝は楼門の前から行い、本殿を間近で見ることは通常できない。3棟が並ぶ全体を一度に眺めるのは難しいため、大分県立歴史博物館の模型で全体像を確かめるという方法がある。
造営年について、宇佐神宮は安政2年から文久元年(1855年から1861年)とし、大分県の記録は1855年から1862年とする。文化庁は文久元年としており、本稿は文化庁の記載を採る。
檜皮葺の維持
檜皮葺の耐久年数はおよそ40年とされる。宇佐神宮では、檜皮の葺き替えと本殿の修復工事が平成24年(2012年)9月から平成27年(2015年)3月まで2年半にわたって行われた。
それ以前には昭和38年から39年(1963年から1964年)に大修復が行われている。現在の建物は安政から文久の造営時のままで、これらは修理にあたる。
平成27年(2015年)10月には、10年に一度の勅使祭が行われた。天皇の使者が派遣されて行われる祭祀である。
参拝
宇佐神宮本殿は上宮にあり、南中楼門の前から参拝する。拝礼は二礼四拍手一礼で、第一殿から順に行う。
本殿の特別拝観などを除き、通常は間近での参拝を行っていない。楼門の位置によっては本殿が少し見える。
境内には西大門、呉橋などがある。西大門は文禄年間(1592年から1596年)頃の建造とされる。呉橋は西参道の途中にある屋根付きの神橋で、大分県の指定文化財である。いずれも本殿とは別の指定である。
交通はJR日豊本線の宇佐駅からバスで約10分、宇佐八幡下車。東九州自動車道の宇佐インターチェンジから車で約10分である。
Q&A
- 宇佐神宮本殿はいつ建てられ、いつ国宝に指定されましたか。
- 文化庁は三社殿とも安政2年(1855年)から文久元年(1861年)にかけての造営とします。1907年(明治40年)5月27日に特別保護建造物、1952年(昭和27年)11月22日に国宝へ指定されました。員数は第一殿・第二殿・第三殿の3棟です。
- 八幡造とはどのような形式ですか。
- 切妻造の建物を前後に二つ並べ、中央の谷に大きな樋を設ける形式です。横から見ると屋根の輪郭がMの字になります。奥を内院、手前を外院といい、祭神が昼は前殿、夜は奥殿にあると説明されます。文化庁は古い形式を残す八幡造の典型として貴重としています。
- 3棟の祭神と配置は。
- 向かって左から第一殿に八幡大神、第二殿に比売大神、第三殿に神功皇后を祀ります。規模はほぼ同じで、いずれも檜皮葺、白壁に朱漆塗の柱です。主祭神を祀る第一殿が中央ではなく端に位置する点は、通常の配置と異なります。
- 創祀の年と建物の年は同じですか。
- いいえ。宇佐神宮によれば創祀は一之御殿が神亀2年(725年)、二之御殿が天平5年(733年)、三之御殿が弘仁14年(823年)です。現在の建物は安政2年から文久元年の造営で、創祀の年とは約1100年隔たっています。
- 宇佐神宮本殿は近くで見られますか。
- 特別拝観などを除き、通常は間近での参拝を行っていません。南中楼門の前から二礼四拍手一礼で、一之御殿から順に拝します。3棟が並ぶ全体を一度に眺めるのは難しいため、大分県立歴史博物館の模型で全体像を確かめる方法があります。
基本情報
| 名称 | 宇佐神宮本殿(うさじんぐうほんでん) |
|---|---|
| 所在地 | 大分県宇佐市大字南宇佐2859 |
| 指定区分 | 国宝(建造物)/呉橋・木造鳥居は大分県指定文化財 |
| 指定年 | 1907年(明治40年)5月27日 特別保護建造物/1952年(昭和27年)11月22日 国宝 |
| 員数 | 3棟(第一殿・第二殿・第三殿) |
| 寸法 | 八幡造。切妻造の建物を前後に2つ並べ中央の谷に大きな樋を設ける。3棟とも規模はほぼ同じで檜皮葺、白壁に朱漆塗の柱。南面して東西に並ぶ。1855年から1861年 |
| 所有者 | 宇佐神宮 |
| 公開状況 | 南中楼門の前から参拝。特別拝観などを除き通常は間近での参拝を行っていない |
参考文献
- 文化遺産オンライン 宇佐神宮本殿(第一殿)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/187746
- 文化遺産オンライン 宇佐神宮本殿(第二殿)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/124607
- おおいた文化財ずかん 宇佐神宮本殿
- https://oita-digitalzukan.jp/cultural_property/宇佐神宮本殿/
- 宇佐神宮 公式サイト
- https://www.usajinguu.com/
最終更新日: 2026.09.03
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