1,292点の資料群 ― 2006年に国宝

琉球国王尚家関係資料は、沖縄県那覇市久茂地の那覇市歴史博物館が保管する資料群で、2006年(平成18年)6月9日に国宝に指定された。員数は1,292点、分類は歴史資料・書跡・典籍・古文書。所有は那覇市である。

文化庁は本件を「工芸品八五点、文書・記録類一一六六点からなる」と記す。この二つを足すと1,251点で、員数欄の1,292点と41点の差がある。同じ記録の中で数が合わない。本稿は員数欄の1,292点を採り、内訳の合計と差があることを記すにとどめる。

時代は第二尚氏から明治にわたる。尚家は成化6年(1470年)に王となった尚円から、明治12年(1879年)の琉球処分により最後の王となった19代尚泰まで、四百余年にわたって王国を統治した。

二度の壊滅を免れた

文化庁の解説で最も重い一節は、この資料群がなぜ残ったかを述べる部分である。

明治政府が押収した文書群は、関東大震災で灰燼に帰し、首里の尚家に残されていた文書を含む資料群は第二次大戦で壊滅してしまった。

東京にあった分は震災で焼け、沖縄にあった分は戦争で失われた。残ったのは、東京に取り寄せられ尚家に伝えられた文書・記録類だけである。

文化庁はこれを「国家としての琉球王国の実態を探る一級の資料群」とする。二度の壊滅を免れた偶然が、この資料群の位置づけを決めている。

尚家の文書・記録類は、尚裕氏により平成6年から8年(1994年から1996年)にかけて那覇市に寄贈された。寄贈によって調査が可能になり、その重要性があらためて明らかになったと文化庁は記す。

工芸品と文書は指定の経緯が違う

この資料群は、二段階で指定を受けている。

工芸品85点は、平成14年(2002年)に工芸品部門で重要文化財「琉球王尚家伝来品」として指定された。その時点の指定名称は現在と異なる。

そのうえで、文書・記録類1,166点を加えた総体が、平成18年(2006年)に国宝「琉球国王尚家関係資料」となった。工芸品だけの指定から、文書を含めた総体の指定へと範囲が広がっている。

文化庁は理由をこう記す。琉球工芸の優品である「琉球王尚家伝来品」と文書・記録類の総体は、琉球王国を立体的に把握する上で比類のない資料群であり、南海に存在した琉球王国とその歴史・文化を語る唯一まとまった資料群としてきわめて高い価値をもつ。

「立体的に把握する」という語が、工芸品と文書を合わせる意味を示している。

王装束は唯一の現存例

工芸品は王家での諸儀式等に用いられたものが主で、16世紀から19世紀に及ぶ。

文化庁は一点を特記する。工芸品のなかには王装束があり、琉球国王の王装束では唯一現存するものである。他に例がない。

文書・記録類は18世紀から19世紀に至るものを中心とする。「御絵図帳」、王家の冠婚葬祭に関わる文書、清との冊封関係に関する「冠船関係資料」「進貢・接貢船関係資料」、薩摩藩との関係を示す「薩琉関係資料」、内政・財政に関わる資料、ペリーなど来航した異国船に関わる資料、「琉球処分および東京関係資料」などからなる。

このうち「琉球処分および東京関係資料」が文書・記録類の中核をなすと文化庁は記す。琉球処分される側の具体的な舞台裏を語る資料として、琉球処分研究上きわめて貴重であるとされる。

鑑賞

所有は那覇市、保管は那覇市歴史博物館である。1,292点すべてが同時に展示されることは想定しにくい。

常設展示とは限らず、展示の有無と時期は博物館の予定による。開館時間と観覧料も変更されることがあるため、訪問前に確認したい。

王装束などの染織品は光に弱く、展示期間が短く限られることが多い。特定の品を目当てにする場合は、公開の告知を確かめて訪ねたい。

那覇市歴史博物館は那覇市久茂地1-1-1のパレットくもじ4階にある。交通は沖縄都市モノレールの県庁前駅から徒歩である。

Q&A

Q琉球国王尚家関係資料はいつ国宝に指定されましたか。
A2006年(平成18年)6月9日です。員数は1,292点、分類は歴史資料・書跡・典籍・古文書。所有は那覇市で、那覇市歴史博物館が保管します。時代は第二尚氏から明治にわたります。
Q内訳の合計が員数と合わないのはなぜですか。
A文化庁は「工芸品八五点、文書・記録類一一六六点からなる」と記しますが、その合計は1,251点で、員数欄の1,292点と41点の差があります。同じ記録の中で数が合っていません。本稿は員数欄を採り、差があることを記すにとどめています。
Qなぜこの資料群が残ったのですか。
A文化庁は、明治政府が押収した文書群は関東大震災で灰燼に帰し、首里の尚家に残されていた資料群は第二次大戦で壊滅したと記します。東京に取り寄せられ尚家に伝えられた分だけが残り、二度の壊滅を免れたことがこの資料群の位置づけを決めています。
Q工芸品と文書は同時に指定されたのですか。
Aいいえ。工芸品85点は平成14年(2002年)に工芸品部門で重要文化財「琉球王尚家伝来品」として指定され、その後、文書・記録類1,166点を加えた総体が平成18年に国宝となりました。指定名称も範囲も変わっています。
Q実物は見られますか。
A那覇市歴史博物館が保管しますが、1,292点すべてが同時に展示されることは想定しにくく、展示の有無と時期は博物館の予定によります。王装束などの染織品は光に弱く展示期間が短く限られることが多いため、公開の告知を確かめて訪ねてください。

基本情報

名称琉球国王尚家関係資料(りゅうきゅうこくおうしょうけかんけいしりょう)
所在地沖縄県那覇市久茂地1-1-1 パレットくもじ4階 那覇市歴史博物館
指定区分国宝(歴史資料・書跡・典籍・古文書)/工芸品部分は平成14年に重要文化財「琉球王尚家伝来品」として指定
指定年2006年(平成18年)6月9日 国宝
員数1,292点(文化庁の記載。内訳は工芸品85点、文書・記録類1,166点で合計は1,251点)
寸法工芸品は王家での諸儀式等に用いられたもので16世紀から19世紀に及び、琉球国王の王装束では唯一現存するものを含む。文書・記録類は18世紀から19世紀を中心とし、「琉球処分および東京関係資料」が中核をなす
所有者那覇市
公開状況常設展示とは限らず、展示の有無と時期は博物館の予定による。染織品は展示期間が限られることが多い

参考文献

文化遺産オンライン 琉球国王尚家関係資料
https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/202833
那覇市 那覇市歴史博物館
https://www.city.naha.okinawa.jp/shisetsu/bunkasisetu/hakubutukan.html
那覇市歴史博物館 デジタルミュージアム
https://www.rekishi-archive.city.naha.okinawa.jp/digital-museum/2/109782
文化庁 文化財の紹介
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/

最終更新日: 2026.09.04