新垣家住宅とは

新垣家住宅は、沖縄県那覇市壺屋にある陶工の住宅で、19世紀後半までに建てられたとみられる主屋を中心に作業場・離れ・登窯の4棟が残り、平成14年(2002年)12月26日に国の重要文化財に指定された。

指定名称は「新垣家住宅(沖縄県那覇市壺屋)」。文化庁データベースのふりがなは「あらがきけじゅうたく」だが、那覇市の観光資源データベースなどは「あらかきけじゅうたく」と読ませている。国際通りの南東に広がる壺屋は、琉球王国時代の1682年に各地の窯場を集めて生まれた焼き物の町で、新垣家住宅はそのやちむん通りの一角にある。

那覇市によれば、新垣家はこの壺屋統合のころに読谷から移り住んだと伝えられ、代々親雲上(ペーチン)の称号をもち、壺屋の陶業で中心的な役割を担ってきたと考えられている。屋敷では昭和49年(1974年)まで陶業が営まれた。約400坪の敷地に、赤瓦の主屋、作業場、離れ、登窯のほか、石造の「フール」(豚小屋兼便所)や石垣が残る。

新垣家住宅が重要文化財に指定された理由

文化庁の解説は、新垣家住宅を「沖縄陶業の拠点であった壺屋地区に唯一残る陶工の住宅」と位置づけている。石牆をめぐらした大規模な屋敷で、主屋を中心に作業場・離れ・登窯といった施設のほぼ全容を残すことから、沖縄の民家と壺屋の歴史を知るうえで欠かせない存在とされた。指定基準は「流派的又は地方的特色において顕著なもの」である。

4棟の年代は、文化庁のデータベースで主屋が19世紀後期(江戸時代末期)、作業場・離れ・登窯が明治末期以前とされる。主屋は19世紀後半までに建てられ、遅くとも明治末年(1912年)ごろまでにいまの屋敷構えが整ったと考えられている。

主屋は二つの棟からなる。「うふや」は桁行8.6メートル、梁間10.6メートルの寄棟造、本瓦葺で北面に突出部をもつ。その西に一間ほど南へずれて接続するのが「とんぐわ」で、桁行7.0メートル、梁間9.9メートル、南面に突出部が付く。那覇市の説明では、うふやは6畳の一番座に床、8畳の二番座に仏壇を構え、裏座を設ける。台所にあたるとんぐわには煉瓦積の竈がある。

作業場は桁行7.5メートル、梁間5.7メートルで、南面と西面に下屋が付く。離れは桁行6.6メートル、梁間5.4メートルの寄棟造、本瓦葺で、もとは作業場として使われていた。

新垣家住宅の登窯「東ヌ窯」

新垣家住宅でいちばん目を引くのは、屋敷の東側に延びる登窯である。通称は「東ヌ窯(アガリヌカマ)」。文化庁のデータベースによれば延長22.7メートル、幅4.0メートルの連房式登窯で、焚口、燃焼室、9房の焼成室、排煙口が斜面に沿って一列に連なる。窯は粘土でつくられ、最上部の排煙口を除く全体を、桁行19.6メートルの上屋が本瓦と鉄板の屋根で覆っている。

那覇市の広報は、この登窯を釉薬をかけた器を焼く戦前の上焼窯として、ほぼ完全な形で残る貴重な遺構だと紹介している。陶芸家の金城次郎も、壺屋で作陶していた時代にはこの東ヌ窯で作品を焼いていたという。

窯の下手に立って見上げると、細長い屋根が斜面に沿って上へ上へと延びていく。焼成室を一列につないで下から順に火を送る連房式登窯の仕組みが、そのまま建物の外形になっている。

屋敷の構えにも目を向けたい。那覇市によれば屋敷は南向きで、通りに面した南と西を石垣で築く。門口に立つと東に離れ、西に作業場があり、作業場の屋根には頭だけのシーサー「チブルシーサー」が載る。なだらかな石敷きを上ると正面に生垣の「ヒンプン」があり、その奥が主屋で、主屋の東に登窯、西にフールが配されている。

新垣家住宅の見学方法

新垣家住宅は、那覇市が金曜日・土曜日・日曜日・祝日(一部を除く)の午後1時から午後5時に公開している。臨時の休みがあり、年末年始(12月28日から1月4日)は休みとなる。那覇市立壺屋焼物博物館の案内では観覧料は無料である。

見学できるのは登窯をはじめとする敷地の一部で、所有者が住む区域は非公開となっている。非公開の区域には立ち入らず、撮影も控えるよう那覇市は求めている。主屋は所有者の住まいなので、通路から外観を見る形になる。敷地内での飲食・喫煙、ペットの同伴(補助犬を除く)はできない。石段や石敷きは雨の日に滑りやすいので足元に注意したい。

新垣家住宅へは、ゆいレール安里駅から徒歩約10分、路線バスなら壺屋バス停から徒歩約1分。専用の駐車場とトイレはないので、近くの那覇市立壺屋焼物博物館(電話098-862-3761)を拠点にするとよい。公開日についての問い合わせも同館で受け付けている。

Q&A

Q新垣家住宅はいつ見学できますか?料金は?
A金曜日・土曜日・日曜日・祝日(一部を除く)の午後1時から午後5時に公開されています。年末年始(12月28日から1月4日)と臨時の休みがあります。那覇市立壺屋焼物博物館の案内では観覧料は無料です。
Q新垣家住宅では主屋の中まで見られますか?
A見られません。所有者が住む区域は非公開で、立ち入りと撮影はできません。公開されているのは登窯「東ヌ窯」をはじめとする敷地の一部です。
Q新垣家住宅の登窯はどのくらいの大きさですか?
A文化庁のデータベースによれば延長22.7メートル、幅4.0メートルの連房式登窯で、焚口・燃焼室・9房の焼成室・排煙口からなります。桁行19.6メートルの上屋が窯を覆っています。
Q新垣家住宅はいつ重要文化財になりましたか?
A平成14年(2002年)12月26日に、主屋・作業場・離れ・登窯の4棟が重要文化財に指定されました。壺屋地区に唯一残る陶工の住宅であることが評価されています。
Q新垣家住宅へのアクセスは?駐車場はありますか?
Aゆいレール安里駅から徒歩約10分、壺屋バス停から徒歩約1分です。専用の駐車場はないので、公共交通機関か周辺の有料駐車場を使ってください。

基本情報

名称新垣家住宅(沖縄県那覇市壺屋)
所在地沖縄県那覇市壺屋1丁目28番32号
指定区分重要文化財(建造物)
指定年平成14年(2002年)12月26日
員数4棟(主屋、作業場、離れ、登窯)
寸法主屋 うふや 桁行8.6m・梁間10.6m、とんぐわ 桁行7.0m・梁間9.9m/作業場 桁行7.5m・梁間5.7m/離れ 桁行6.6m・梁間5.4m/登窯 延長22.7m・幅4.0m、焼成室9房
所有者個人
公開状況金曜日・土曜日・日曜日・祝日(一部を除く)の午後1時から午後5時に敷地の一部を公開、無料。居住区域は非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):新垣家住宅(沖縄県那覇市壺屋) 主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3775
国指定文化財等データベース(文化庁):新垣家住宅(沖縄県那覇市壺屋) 作業場
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3776
国指定文化財等データベース(文化庁):新垣家住宅(沖縄県那覇市壺屋) 離れ
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3777
国指定文化財等データベース(文化庁):新垣家住宅(沖縄県那覇市壺屋) 登窯
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3778
那覇市:国指定重要文化財 新垣家住宅
https://www.city.naha.okinawa.jp/kankou-bunka/bunkazai/1003531/1003516.html
那覇市:広報掲載記事「新垣家住宅」(PDF)
https://www.city.naha.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/008/104/s0303_8.pdf

最終更新日: 2026.10.03

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