大宮台地に残る縄文の環状貝塚

真福寺貝塚は、埼玉県さいたま市岩槻区城南および真福寺にある縄文時代後期から晩期の集落遺跡で、昭和50年(1975年)7月19日に国の史跡に指定された。年代は約3,800年前から約2,600年前にあたる。大宮台地の岩槻支台、標高10メートルから13メートルの高さに位置し、遺跡の規模は東西約160メートル、南北約180メートルにおよぶ。

遺跡は二つの部分からなる。台地の上には径約150メートルの環状に貝殻が分布する貝塚があり、その西側、綾瀬川の小支谷へ下る低湿地には泥炭層の遺跡が広がる。真福寺貝塚が学界で早くから知られてきたのは、この二つが一つの遺跡として残っているためである。

指定の理由

真福寺貝塚での発掘調査は大正15年(1926年)にさかのぼる。以来、土器や石器に加えて木製品まで出土する遺跡として調査が重ねられてきた。昭和9年(1934年)には、この遺跡の名を冠した「真福寺泥炭層式」という土器型式が提唱され、関東地方の縄文時代晩期前半を測る物差しとして土器編年の研究に使われるようになった。

史跡としての指定は昭和50年(1975年)7月19日で、その後も平成2年(1990年)から令和2年(2020年)にかけて7回の追加指定が行われ、保護される範囲は段階的に広げられてきた。現在は所有者がさいたま市と個人に分かれる。

貝層と泥炭層

貝層から出土する貝の種類は幅広い。さいたま市の分類では、主体となるのは汽水にすむヤマトシジミで、鹹水のマガキ、ハイガイ、ハマグリ、シオフキなども多い。淡水のオオタニシやイシガイもある。平成14年(2002年)の谷部のボーリング調査では、珪藻分析から集落が営まれる前のこの一帯は淡水の環境だったと指摘されており、貝の構成はそれとは違う姿を示している。

低湿地の泥炭層は、水に浸かった状態が続いたために植物質の遺物を残した。台地の上では土に分解されてしまう木製品や種実が、ここでは形をとどめる。クリ、クルミ、トチノミ、ウリといった種実が出土しており、縄文時代の食料と植物利用を知る手がかりになる。

さいたま市は令和5年(2023年)6月から、この泥炭層そのものを対象とする発掘調査を始めた。国指定史跡における泥炭層の発掘は、青森県八戸市の是川中居遺跡に次いで国内2例目にあたる。調査は現在も続いており、真福寺貝塚の調査成果は市の文化財保護課のページで随時公開されている。

みみずく土偶

真福寺貝塚から出土した遺物のうち最もよく知られているのが、みみずく土偶である。顔の表現がフクロウの一種であるミミズクに似ていることからこの名で呼ばれる。目と口は円盤状の粘土を貼り付けて表し、耳には耳飾りを付ける。国の重要文化財に指定されており、東京国立博物館が所蔵する。

みみずく土偶は一点だけではない。令和2年(2020年)には史跡の西側から新たなみみずく土偶が出土しており、この形式の土偶がこの集落で繰り返し作られていたことが分かる。土偶のほか、土版、土製耳飾、勾玉、石剣なども出土している。

見学方法

真福寺貝塚は屋外の史跡で、拝観料や開館時間にあたるものはない。貝層そのものは地中にあるため、地表から見えるのは台地の地形と、綾瀬川へ向かって下る低湿地の起伏である。縄文時代の人々がなぜこの場所を選んだのかは、その地形から読み取るほかない。

指定地の所有者はさいたま市と個人に分かれ、私有地が含まれる。さいたま市は見学にあたって、所有者や管理者、近隣の住民、他の見学者の迷惑にならないよう求めている。遺跡の現地に見学者用の駐車場や解説施設は整備されていない。

さいたま市は発掘調査にあわせて現地見学会を開いており、日程は市の文化財保護課のページで告知される。出土品や調査成果を見るには、この機会を待つのが確実である。問い合わせ先はさいたま市教育委員会生涯学習部文化財保護課(電話048-829-1723)。

最寄り駅は東武アーバンパークライン(東武野田線)の岩槻駅で、遺跡は駅の東側にあたる。大宮駅から東武アーバンパークラインに乗り換えて岩槻駅へ出るのが一般的な経路である。

Q&A

Q真福寺貝塚はいつの時代の遺跡ですか。
A縄文時代後期から晩期、約3,800年前から約2,600年前の集落遺跡です。昭和50年(1975年)7月19日に国の史跡に指定されました。
Q真福寺貝塚の泥炭層遺跡とは何ですか。
A台地の西側、綾瀬川の小支谷へ下る低湿地に広がる遺跡です。水に浸かった状態が続いたため、台地では分解されてしまう木製品や植物の種実が残っています。
Qみみずく土偶はどこで見られますか。
A国の重要文化財に指定されたみみずく土偶は東京国立博物館が所蔵しています。真福寺貝塚の現地に展示施設はありません。
Q真福寺貝塚は見学できますか。
A屋外の史跡で拝観料も開館時間もありませんが、指定地には私有地が含まれます。さいたま市は見学の際に所有者や近隣への配慮を求めています。現地に駐車場や解説施設はありません。
Q発掘調査の様子を見ることはできますか。
Aさいたま市が調査にあわせて現地見学会を開催しています。日程は市の文化財保護課のページで告知されるため、訪問前に確認してください。

基本情報

名称真福寺貝塚
所在地埼玉県さいたま市岩槻区城南、真福寺
指定区分史跡
指定年昭和50年(1975年)7月19日指定
員数1件(史跡指定地)
寸法東西約160メートル、南北約180メートル
所有者さいたま市、個人
公開状況屋外の史跡。私有地を含む。施設なし

参考文献

さいたま市 文化財紹介 真福寺貝塚
https://www.city.saitama.lg.jp/004/005/006/001/005/001/001/p002183.html
さいたま市 国指定史跡真福寺貝塚 調査最前線
https://www.city.saitama.lg.jp/004/005/006/009/index.html
さいたま市 国指定史跡「真福寺貝塚」の発掘調査を開始しました
https://www.city.saitama.lg.jp/006/014/008/003/012/004/p098282.html
さいたま市 真福寺貝塚の貝層について
https://www.city.saitama.lg.jp/004/005/004/005/008/014/001/shinpukuji50/p126673.html

最終更新日: 2026.09.19