1棟の金堂 ― 1953年に国宝
園城寺金堂は、滋賀県大津市園城寺町にある桃山時代の建造物で、1906年(明治39年)4月14日に重要文化財となり、1953年(昭和28年)3月31日に国宝に指定された。員数は1棟、指定番号は00109、所有は園城寺である。
年代は慶長4年、西暦1599年とされる。構造は桁行七間、梁間七間、一重、入母屋造、向拝三間、檜皮葺である。
1906年4月14日の重要文化財は、ここまで扱った物件のなかで最も早い部類にあたる。色絵藤花文茶壺の指定より11年早い。
解説文が空である
国指定文化財等データベースの記録を見ると、解説文の欄に何も書かれていない。
これまで一文だけの解説を20件見てきた。「平安時代の作品。」「奈良時代の資料。」といった短い文である。それらは短くとも文だった。
本件は一文もない。創建及び沿革の欄も空、棟礼、墨書、その他参考となるべき事項の欄も空である。
それでも構造の欄は詳しい。桁行七間、梁間七間、一重、入母屋造、向拝三間、檜皮葺と、寸法と形式が記される。年代も慶長4年、1599年と和暦と西暦の両方で示される。
種別の欄は近世以前/寺院とする。建造物の記録では、時代の区切りを種別の欄が担っている。
寺の名が、他の種類の物件に広がっている
園城寺という名は、建物だけのものではない。
関連作品には、園城寺境内古図、紙本著色園城寺境内古図、園城寺霰釜、紙本著色天狗草紙(園城寺巻)、リトグラフ集「西国巡礼」の第14番といった名が並ぶ。
絵図、釜、絵巻の一巻、版画である。建物の名が、絵にも道具にも移っている。
瑞龍寺では、建物と絵葉書と油彩画が同じ名で並んでいた。本件はさらに広く、茶道具にまで及ぶ。
竹一重切花入 銘 園城寺という名の花入がある。伝千利休作、天正18年(1590年)、竹製、高さ33.9センチメートル、1口とされる。
花入の銘は、割れ目から来ている
その花入の銘の由来が、名の広がり方を示している。
記録は、表面の干割れの様子を弁慶が引きずって破れた園城寺の鐘にちなみ、この銘がつけられました、とする。
竹に生じた割れ目が、伝説で破れたとされる鐘に見立てられた。傷が名の由来になっている。
白描絵料紙理趣経は、目鼻が描かれていないことから目無経と呼ばれた。欠けていることが名になる型である。本件の花入も、割れていることから名が付いている。
その花入は松平不昧の旧蔵品とされる。蝶螺鈿蒔絵手箱の内箱にも松平不昧の筆による書き付けがあった。同じ人物が二つの物件の記録に現れている。
参拝
所在は滋賀県大津市園城寺町で、所有は園城寺である。境内に建つ建物であり、外観は参拝の際に見ることができる。
境内には他にも記録された建物がある。園城寺 絵馬堂、観月舞台、百体堂、札所鐘楼、観音堂、園城寺毘沙門堂といった名が並ぶ。
なお紙本著色天狗草紙(園城寺巻)の解説には、興福寺・東大寺・延暦寺・園城寺・東寺・醍醐寺・金剛峯寺・三井寺の僧侶のこと、とある。
園城寺と三井寺が別々に並べられている。三井寺は園城寺の通称として知られるが、この記録では別の寺として列挙されている。本稿は指摘するにとどめ、判断はしない。
内部の拝観については寺の定めによる。訪問前に確認したい。
Q&A
- 園城寺金堂はいつ指定されましたか。
- 1906年(明治39年)4月14日に重要文化財、1953年(昭和28年)3月31日に国宝へ指定されました。員数は1棟、指定番号は00109、所有は園城寺です。
- 解説文はありますか。
- ありません。国指定文化財等データベースの解説文の欄は空で、創建及び沿革の欄も空です。一方で構造の欄は詳しく、桁行七間、梁間七間、一重、入母屋造、向拝三間、檜皮葺と記されます。
- いつ建てられたのですか。
- 年代の欄は慶長4年、西暦1599年とします。和暦と西暦の両方が示されています。時代の欄は桃山です。
- 同じ名前の物件が他にもありますか。
- あります。園城寺境内古図、園城寺霰釜、紙本著色天狗草紙(園城寺巻)、竹一重切花入 銘 園城寺などで、絵図、釜、絵巻、茶道具にまで名が広がっています。
- 花入の銘の由来は何ですか。
- 記録は「表面の干割れの様子を弁慶が引きずって破れた園城寺の鐘にちなみ、この銘がつけられました」とします。竹に生じた割れ目が、伝説で破れたとされる鐘に見立てられています。
基本情報
| 名称 | 園城寺金堂(おんじょうじこんどう) |
|---|---|
| 所在地 | 滋賀県大津市園城寺町 |
| 指定区分 | 国宝(建造物)/種別の欄は近世以前・寺院/指定番号00109 |
| 指定年 | 1906年(明治39年)4月14日 重要文化財/1953年(昭和28年)3月31日 国宝 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 桁行7間、梁間7間、一重、入母屋造、向拝3間、檜皮葺。年代は慶長4年、西暦1599年。時代は桃山。解説文の欄と創建及び沿革の欄はいずれも空 |
| 所有者 | 園城寺 |
| 公開状況 | 境内に建つ建物で、外観は参拝の際に見ることができる。内部の拝観は寺の定めによる |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 園城寺金堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1333
- 文化遺産オンライン 竹一重切花入 銘 園城寺
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/540901
- 文化遺産オンライン 紙本著色天狗草紙(園城寺巻)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/101049
- 三井寺文化財収蔵庫
- https://miidera-museum.jp/cultural-property/contents/4/
最終更新日: 2026.09.05