日本最古の神社建築様式が天に届く聖地
島根県に聳える出雲大社本殿は、高さ24メートルという日本一の高さを誇る神社建築です。1952年に国宝に指定されたこの建物は、日本最古の建築様式である「大社造」を今に伝える唯一無二の存在であり、縁結びの神・大国主大神の御神体を祀る聖域として、年間600万人以上の参拝者を迎えています。
なぜ国宝に指定されたのか
出雲大社本殿が国宝に指定された理由は、その建築様式の希少性と歴史的価値にあります。大社造は、仏教伝来以前から存在する日本最古の神社建築様式で、高床式住居の特徴を色濃く残しています。現在の建物は1744年に再建されたものですが、古代の建築技法を忠実に継承しており、他の神社では見ることのできない独特の構造を持っています。
特に注目すべきは、2000年から2001年にかけての発掘調査で発見された巨大な柱跡です。3本の杉の木を束ねた直径3メートルもの柱の遺構が発見され、中世の記録にある「高さ48メートル」という伝承が事実である可能性が高まりました。これは東大寺大仏殿をも凌ぐ高さで、古代日本における建築技術の高さを物語る貴重な証拠となっています。
建築の特徴と見どころ
大社造の最大の特徴は、優美に反り上がった屋根のラインです。伊勢神宮の直線的な神明造とは対照的に、出雲大社の屋根は緩やかな曲線を描き、先端には7メートルを超える千木(ちぎ)が天に向かって伸びています。屋根の上には3本の勝男木(かつおぎ)が置かれ、銅板で巻かれた姿が陽光に輝きます。
内部は一般公開されていませんが、9本の柱が整然と配置され、中央の心御柱(しんのみはしら)を中心に、空間が田の字型に区切られています。興味深いことに、大国主大神は西向きに鎮座されており、これは日本の主要な神社で唯一の配置です。西は太陽が沈む方角であり、死者の世界とも繋がる方向とされ、大国主大神が目に見えない世界を司る神であることを象徴しています。
独特の参拝作法「二拝四拍手一拝」
出雲大社の参拝作法は、日本の他の神社とは異なります。一般的な神社では「二拝二拍手一拝」ですが、出雲大社では「二拝四拍手一拝」を行います。この4回の拍手には、自分自身への祈りと、現在または将来のパートナーへの祈りが込められているとされ、縁結びの神様にふさわしい作法となっています。
毎年5月14日の例祭では、この拍手を8回行います。つまり、日常の4回は「半分の祈り」という意味を持ち、参拝者は謙虚な心で神前に立つことが求められています。
神在月:八百万の神々が集う聖地
旧暦10月(現在の11月中旬から12月中旬)、全国では「神無月」と呼ばれる時期に、出雲地方だけは「神在月」となります。この期間、日本中の八百万の神々が出雲大社に集まり、人々の縁結びや来年の農作物の収穫について話し合うという古来からの信仰があります。
神々は稲佐の浜から上陸し、神迎祭で迎えられた後、本殿両脇の十九社に滞在されます。この期間中は特に厳粛な雰囲気に包まれ、参拝者も静かに神々の会議を見守ります。
アクセスと参拝情報
東京から飛行機で約90分(出雲空港)、または寝台特急「サンライズ出雲」で約12時間です。大阪・京都からは新幹線と特急を乗り継いで4〜5時間の旅となります。JR出雲市駅からは一畑バスで約25分(460円)、風情ある一畑電車を利用することも可能です。
参拝時間は6:00〜19:00で、境内は無料で参拝できます。宝物殿は300円の入館料が必要で、発掘された古代の柱などを見学できます。週末と祝日には英語ガイドツアーが10:00と13:00に開催され(800円/人)、神門通りおもてなしステーションから出発します。
車椅子でのアクセスは、石畳のスロープが整備されており、神社事務所では車椅子の貸し出しも行っています(8:30〜16:30)。身障者用トイレも複数設置されています。
名物料理と周辺観光
門前町の神門通りは、約700メートルにわたって土産物店や飲食店が軒を連ねています。名物の「出雲そば」は、そば殻ごと挽いた黒っぽい麺が特徴で、三段重ねの朱塗りの器で提供される「割子そば」が有名です。
また、出雲大社が発祥とされる「ぜんざい」も必食です。大粒の大納言小豆と紅白の餅が入った甘い汁物は、神在祭の振る舞いが起源とされています。
徒歩15分の稲佐の浜は、神々が上陸する聖地として知られ、夕日の名所でもあります。浜の砂を持ち帰り、出雲大社境内の素鵞社で清めの砂と交換する風習があり、多くの参拝者が訪れます。
隣接する島根県立古代出雲歴史博物館では、発掘された巨大な柱の実物や、神社の変遷を示す詳細な模型を見ることができます。宿泊は大社門前の「竹野屋旅館」が便利で、高級志向の方には日本海を望む「界 出雲」がおすすめです。
Q&A
- 出雲大社本殿の内部は見学できますか?
- 本殿内部は一般公開されていません。参拝は八足門の前で行い、本殿は瑞垣と玉垣の二重の垣根に囲まれています。ただし、宝物殿では発掘された古代の柱の実物を見ることができます(入館料300円)。
- なぜ出雲大社では4回拍手をするのですか?
- 4回の拍手は「しあわせ」の語呂合わせという説もありますが、正式には自分と相手(パートナー)の分を合わせた数とされています。5月14日の例祭では8回拍手を行うため、通常の4回は「半分の祈り」という意味を持ちます。
- 神在月(旧暦10月)以外の時期でも参拝の御利益はありますか?
- もちろんあります。大国主大神は年間を通じて鎮座されており、いつでも参拝者の祈りを受け止めてくださいます。神在月は特別な期間ですが、それ以外の時期も多くの参拝者が訪れ、良縁を授かっています。
- 車椅子での参拝は可能ですか?
- はい、可能です。境内には石畳のスロープが整備され、多くの場所で車椅子での移動が可能です。神社事務所では車椅子の貸し出しも行っています(8:30〜16:30)。また、身障者用トイレも複数設置されています。
参考文献
- 出雲大社公式サイト
- https://izumooyashiro.or.jp/
- Japan Guide - 出雲大社
- https://www.japan-guide.com/e/e5804.html
- Wikipedia - 出雲大社
- https://ja.wikipedia.org/wiki/出雲大社
- 出雲観光ガイド
- https://www.izumo-kankou.gr.jp/
- 島根県立古代出雲歴史博物館
- https://www.izm.ed.jp/
基本情報
| 名称 | 出雲大社本殿 |
|---|---|
| 所在地 | 島根県出雲市大社町杵築東195 |
| 建立 | 古代(現在の建物は1744年再建) |
| 建築様式 | 大社造 |
| 高さ | 約24メートル |
| 文化財指定 | 国宝(1952年指定) |
| 祭神 | 大国主大神 |
| 参拝時間 | 6:00〜19:00(年中無休) |
| 参拝料 | 無料(宝物殿は300円) |