1件の洞窟 ― 1983年に国の指定

火箱岩洞窟は、山形県東置賜郡高畠町時沢にある洞窟遺跡で、1983年(昭和58年)4月26日に国の指定を受けた。区分は史跡である。

ふりがなの欄は、ひばこいわどうくつである。管理団体名の欄は空である。

高畠町は、時沢大師森山の中腹東斜面、標高340メートルにある、と記す。

上洞と下洞に分かれ、出土が偏る

二つの洞のうち、片方に遺物が集まっている。

高畠町は、上洞と下洞があるが、遺物の多くは下洞から出土している、と記す。

洞は二つあり、出土の量はそのあいだで偏る。上と下で使われ方が違ったことになる。

二塚古墳では、一つの墳丘に3基の石室があり、いずれからも出土があった。あちらは数の多さが論点である。

吉志部瓦窯跡では、13基の窯が上下二段に並んでいた。あちらは工程による使い分けである。

本件は二つの洞があり、片方に偏る。記録はその偏りを述べるにとどまり、理由には触れない。

解説文が、文化遺産オンラインに置かれていない

国のデータベースに、説明の文がない。

文化遺産オンラインの当該ページには、名称、ふりがな、区分、所在地、指定年月日が並ぶ。解説の欄は空である。

管理団体名の欄も空である。指定を受けながら、記録の本文が置かれていないことになる。

同じ高畠町の日向洞窟は、1977年2月17日の指定で、長い解説文をもつ。近くの洞窟遺跡群に触れ、地層ごとの出土まで記される。

慈光院庭園や小鹿渓では、文化遺産オンラインに該当そのものがなかった。あちらは項目が立っていない。

本件は項目はあるが中身がない。自治体の記録に頼ることになる。

三度の調査で、草創期の土器が出ている

いつの時代のものかが、出土した土器で分かる。

高畠町は、昭和36年(1961年)から3回調査が行われ、縄文草創期の微隆起線文土器片、爪形文土器片、石錐、石鎗、掻器などが出土した、と記す。

微隆起線文は細い隆起した線の文様、爪形文は爪で押したような文様をいう。いずれも縄文時代の草創期の土器にみられる。

石錐は穴をあける道具、石鎗は槍の穂先、掻器は削る道具である。

備後国府跡では、出土遺物から施設の性格が読み取られた。あちらは格式を示す。

本件は、出土した土器の文様が時代を示す。縄文時代の始まりのころの品になる。

見学

所在は山形県東置賜郡高畠町時沢である。問い合わせ先は高畠町社会教育課文化係とされる。

標高340メートルの山の中腹東斜面にあたる。

指定は1983年4月26日である。同じ高畠町では日向洞窟が1977年、ほかに一の沢洞窟、大立洞窟も指定を受けている。

日向洞窟の記録には、付近に14地点の洞窟遺跡群が存在し、洞窟遺跡がこれほど密集する地域は他に類を見ない、とある。

山中の屋外の遺跡であり、見学の可否や経路は自治体の定めによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q火箱岩洞窟はいつ指定されましたか。
A1983年(昭和58年)4月26日に国の指定を受けました。区分は史跡です。
Qどこにありますか。
A高畠町は「時沢大師森山の中腹東斜面、標高340メートルにある」と記します。山形県東置賜郡高畠町時沢になります。
Q洞窟はいくつありますか。
A高畠町は「上洞と下洞があるが、遺物の多くは下洞から出土している」と記します。出土は下洞に偏ります。
Q何が出土していますか。
A高畠町は「縄文草創期の微隆起線文土器片、爪形文土器片、石錐、石鎗、掻器など」と記します。昭和36年(1961年)から3回の調査によります。
Q文化遺産オンラインに解説はありますか。
Aありません。当該ページの解説の欄は空です。本記事は高畠町社会教育課の記録に基づいています。

基本情報

名称火箱岩洞窟(ひばこいわどうくつ)/高畠町の記録では火箱岩洞くつとも表記
所在地山形県東置賜郡高畠町時沢
指定区分史跡/建造物や美術品ではなく遺跡としての指定
指定年1983年(昭和58年)4月26日 指定
員数1件の洞窟遺跡。上洞と下洞からなる
寸法洞窟の寸法は記録にない。時沢大師森山の中腹東斜面、標高340メートルに位置する
所有者管理団体名の欄は空で、記録に記載なし
公開状況山中の屋外の遺跡で、見学の可否や経路は自治体の定めによる

参考文献

高畠町 社会教育課 火箱岩洞くつ
https://www.town.takahata.yamagata.jp/soshiki/14/1007.html
文化遺産オンライン 火箱岩洞窟
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/215869
文化遺産オンライン 日向洞窟
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/204773
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.19