1件の貝塚 ― 1944年に国の指定
田小屋野貝塚は、青森県つがる市木造館岡田小屋野にある縄文時代の貝塚を伴う集落跡で、1944年(昭和19年)6月26日に国の指定を受けた。区分は史跡である。
ふりがなは、たごやのかいづかである。北海道・北東北の縄文遺跡群の構成資産の一つでもある。
縄文遺跡群世界遺産本部は、岩木川沿岸の標高10から15メートルの丘陵上に立地し、海進期に形成された内湾である古十三湖に面する、と記す。史跡の年代は紀元前4000年から紀元前2000年とされる。
作りかけの貝輪が、作る場があったことを示す
完成品ではなく、途中で止まった品が見つかっている。
縄文遺跡群世界遺産本部は、ベンケイガイ製の貝輪の未製品が多数出土したことから、集落内で貝輪製作が行われていたことが明らかになった、と記す。貝輪は、貝殻で作った腕輪をいう。
出土した貝輪はいずれも未完成品や破損品であり、貝輪の加工場があったと考えられている、ともされる。
鞆の鍛冶用具及び製品では、作る道具と作られた品とがそろって残っていた。
本件は、作りかけや割れた品そのものが、ここで作っていたことを示す。できあがった品は、ここから出ていったことになる。
同時期のベンケイガイ製貝輪が北海道から出土し、田小屋野貝塚からは北海道産黒曜石が出土していることから、海峡を越えた交易を知ることができる、と記録は続ける。
汽水の貝が、内湾の水辺を示す
貝塚の中身から、当時の水の環境が読み取られる。
縄文遺跡群世界遺産本部は、貝塚からは汽水域に棲息するヤマトシジミなどの貝類を中心に、コイ、サバなどの魚骨や、ガン、カモなどの鳥骨が出土している、と記す。
汽水域は、川の淡水と海水とが混じり合う水域をいう。いまは内陸の丘の上にある貝塚が、かつては内湾の岸にあったことを、貝の種類が示す。
集落には、竪穴建物、墓、貝塚、捨て場、貯蔵穴などがあり、この時期の典型的な集落構造を示している、とされる。
捨て場は日常的な祭祀・儀礼の場でもあり、土器や石器のほか、クジラやイルカなど大型ほ乳類の骨で作った骨角器も出土している、とある。
内湾の貝、川の魚、空の鳥、海の獣が、一つの集落の跡に集まることになる。
骨盤から、出産を経た女性とわかる
葬られた人の骨から、その人の生涯の一端が読み取られている。
縄文遺跡群世界遺産本部は、土坑墓からは出産歴のある女性の埋葬人骨が発見された、と記す。骨盤の状態から、出産歴のある成人女性ということが分かっている、とされる。
土坑墓は、地面に穴を掘って遺体を納める墓をいう。
金隈遺跡では、人骨の平均身長や顔の形から、朝鮮半島との交流が考えられていた。
本件は、一人の骨の形から、その人が子を産んだことが分かる。
つがる市は、縄文住居展示資料館カルコの田小屋野貝塚の展示コーナーで、出土した遺物や縄文時代前期の成人女性人骨を公開している、と記す。
見学
所在は青森県つがる市木造館岡田小屋野である。
縄文遺跡群世界遺産本部は、本資産を定住発展期前半の貝塚を伴う集落であり、内湾地域における生業や集落の様子を示す重要な遺跡、と記す。
遺跡には冬期の閉鎖期間があるとされる。出土品はつがる市縄文住居展示資料館カルコで見られる。見学の条件は変わることがある。訪問前に確認したい。
文化遺産オンラインには、この史跡の項目は見当たらない。本記事は縄文遺跡群世界遺産本部とつがる市の記録によっている。
史跡の指定は1944年で、戦時中にあたる。
Q&A
- 田小屋野貝塚はいつ指定されましたか。
- 1944年(昭和19年)6月26日に国の指定を受けました。区分は史跡です。
- 何が見つかっていますか。
- 竪穴建物、墓、貝塚、捨て場、貯蔵穴などと、ベンケイガイ製の貝輪の未製品、骨角器、人骨などです。
- 貝輪は何を示しているのですか。
- 未製品が多数出たことから集落内で貝輪を作っていたこと、北海道から同じ貝輪が出ることから海峡を越えた交易を示します。
- どのような貝が出ていますか。
- 汽水域に棲息するヤマトシジミなどが中心です。古十三湖という内湾に面していました。
- 出土品はどこで見られますか。
- つがる市縄文住居展示資料館カルコで、出土した遺物や成人女性の人骨が公開されています。
基本情報
| 名称 | 田小屋野貝塚(たごやのかいづか) |
|---|---|
| 所在地 | 青森県つがる市木造館岡田小屋野 |
| 指定区分 | 史跡/建造物や美術品ではなく遺跡としての指定 |
| 指定年 | 1944年(昭和19年)6月26日 指定 |
| 員数 | 1件の貝塚を伴う集落跡 |
| 寸法 | 岩木川沿岸の標高10から15メートルの丘陵上。竪穴建物、墓、貝塚、捨て場、貯蔵穴などからなる。史跡の年代は紀元前4000年から紀元前2000年 |
| 所有者 | 記録に記載なし |
| 公開状況 | 屋外の遺跡で冬期の閉鎖期間がある。出土品はつがる市縄文住居展示資料館カルコで公開 |
参考文献
- 縄文遺跡群世界遺産本部 田小屋野貝塚
- https://jomon-japan.jp/learn/jomon-sites/tagoyano
- つがる市 縄文住居展示資料館カルコ
- https://www.city.tsugaru.aomori.jp/soshiki/kyoiku/bunkazai/sihakukan/6521.html
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
- つがる市
- https://www.city.tsugaru.aomori.jp/
最終更新日: 2026.09.22