応永15年建立の経蔵 ― 1963年に国宝

安国寺経蔵は、岐阜県高山市国府町西門前の安国寺にある建物で、1963年(昭和38年)7月1日に国宝に指定された。それに先立つ1909年(明治42年)4月5日には重要文化財となっている。員数は1棟、種別は近世以前/寺院、指定番号は00213。所有は安国寺である。

文化庁は時代を室町中期、年代を応永15、西暦1408とする。解説文は「この経蔵は応永十五年(一四〇八)に建立された建築で内部に輪蔵がある」と記す。建立年が確定している。

重要文化財となってから国宝に指定されるまで54年が経っている。

「代表例」であって「最古」ではない

文化庁の評価は次の一文である。輪蔵をもつ経蔵の代表例である。

「代表例」であって、「最古」とは記されていない。旧来の記述に「日本最古の輪蔵」とするものが見られるが、文化庁の記録に年代の比較はない。

代表例という評価は、同種のものが他にもあることを前提とする。そのなかで典型を示すものとして挙げられている。文化庁の関連作品にも、善光寺経蔵、鑁阿寺経堂、本願寺経蔵、永平寺経蔵など、経蔵が多数並ぶ。

本稿は文化庁の記載に従い、代表例とするにとどめる。最古であるかどうかは、公的記録では確かめられない。

輪蔵とは何か

文化庁は輪蔵そのものを定義している。

輪蔵とは、八角の経庫で、真柱を中心として廻転する装置である。

経庫は経典を納める棚をいう。それが八角形をなし、中心の真柱を軸として回る。建物の中に、回転する構造物が入っていることになる。

構造及び形式等の欄にも「八角輪蔵付」と明記される。輪蔵が建物の付属物としてではなく、形式の一部として記録されている。

経蔵という建物は、この輪蔵を納めるために建てられている。建物と内部の装置が一体で評価されていることになる。

一間四方に裳階が付く

構造及び形式等は次のとおりである。桁行一間、梁間一間、一重もこし付、入母屋造、こけら葺、八角輪蔵付。

桁行一間、梁間一間は、柱間が縦横それぞれ一つという意味である。建物の本体は一間四方にすぎない。

そこに裳階が付く。裳階は本体の外側に一重低く差し掛ける屋根と壁で、実際の外観は一回り大きくなる。「一重もこし付」は、一重の建物に裳階が付くことをいう。

外から見ると二重に見えるが、構造上は一重である。裳階をもつ建物は塔や仏堂に多く、経蔵に付くのは規模に対して手厚い扱いといえる。

屋根は入母屋造のこけら葺。こけら葺は薄く割った板を重ねて葺く方法である。

拝観

安国寺経蔵は安国寺の境内にある。寺院の建物であり、拝観の可否と方法は寺の運用による。

輪蔵は建物の内部にあるため、外からは見られない。内部の拝観ができるかどうかを事前に確かめたい。

外観では、一間四方の本体に裳階が付く構成と、入母屋造こけら葺の屋根が確かめられる。小さな建物であることは、外から近づくと分かる。

所在は岐阜県高山市国府町西門前である。拝観時間や拝観料は変わることがあるため、訪問前に確認したい。

Q&A

Q安国寺経蔵はいつ建てられ、いつ国宝に指定されましたか。
A文化庁は年代を応永15、西暦1408とします。1909年(明治42年)4月5日に重要文化財、1963年(昭和38年)7月1日に国宝へ指定されました。員数は1棟、指定番号は00213、所有は安国寺です。
Q日本最古の輪蔵ですか。
A文化庁は「輪蔵をもつ経蔵の代表例である」と記すにとどまり、最古であるとは記していません。代表例という評価は同種のものが他にもあることを前提とします。最古であるかどうかは公的記録では確かめられません。
Q輪蔵とは何ですか。
A文化庁は「八角の経庫で、真柱を中心として廻転する装置である」と定義します。経庫は経典を納める棚で、それが八角形をなし中心の真柱を軸として回ります。建物の中に回転する構造物が入っていることになります。
Qどのような構造ですか。
A文化庁は「桁行一間、梁間一間、一重もこし付、入母屋造、こけら葺、八角輪蔵付」とします。建物の本体は一間四方にすぎず、その外側に裳階が付きます。外から見ると二重に見えますが、構造上は一重です。
Q輪蔵は見られますか。
A輪蔵は建物の内部にあるため外からは見られません。安国寺の境内にある寺院の建物で、拝観の可否と方法は寺の運用によります。内部の拝観ができるかどうかを事前に確かめてください。

基本情報

名称安国寺経蔵(あんこくじきょうぞう)
所在地岐阜県高山市国府町西門前 安国寺
指定区分国宝(建造物・近世以前/寺院)/指定番号00213
指定年1909年(明治42年)4月5日 重要文化財/1963年(昭和38年)7月1日 国宝
員数1棟
寸法桁行1間、梁間1間、一重もこし付、入母屋造、こけら葺、8角輪蔵付。内部に8角の経庫を真柱を中心として廻転させる輪蔵を備える。1408年の建立
所有者安国寺
公開状況寺院の建物。拝観の可否と方法は寺の運用による

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 安国寺経蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1107
文化遺産オンライン 安国寺経蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/122117
飛騨高山観光公式サイト 安国寺経蔵
https://www.hidatakayama.or.jp/spot/detail_1609.html
文化庁 文化財の紹介
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/

最終更新日: 2026.09.04