1基の鉄道橋 ― 1998年に登録有形文化財
旧国鉄根北線越川橋梁は、北海道斜里郡斜里町字越川245-8他にある昭和時代の鉄道橋で、1998年(平成10年)7月23日に登録有形文化財(建造物)となった。指定された文化財ではなく、登録された文化財である。
員数は1基である。所有は斜里町である。
構造はコンクリート造10連アーチ橋、橋長147メートル、高さ21.7メートルとされる。年代の欄は昭和前、西暦は1940年である。
列車が、一度も渡っていない
鉄道のために架けられながら、鉄道に使われなかった。
文化庁は、北見地方と根室地方を結ぶ根北線の一部として建設されたが、未成線となった、と記す。未成線は、工事を始めながら開業に至らなかった路線をいう。
斜里町立知床博物館は、1938年に着工、1940年に橋梁が完成したが、鉄道建設工事はこの年に中断され、橋梁は使われないまま戦後を迎え今日に至った、と記す。
若桜鉄道隼駅は、いまも列車が止まる駅として登録された。旧頸城鉄道の機関庫は、営業していた路線の施設だった。
本件は、完成した年に工事が止まり、線路が届かなかった。名称の旧国鉄の旧は、一度も営業しなかった路線に付くことになる。
博物館は、建設工事がタコ労働と呼ばれる過酷な労働によったことが、殉難者の記録とともに伝えられている、とも記す。
道路のために、橋脚が2本失われている
登録より前に、橋の一部が取り除かれている。
文化庁は、昭和48年(1973年)に国道工事に伴い橋脚2本が撤去されている、と記す。
登録は1998年で、撤去から25年後にあたる。10連アーチ橋として記されながら、登録の時点ですでに2本の橋脚を欠いていたことになる。
小原屋原田商店の店蔵は、道路拡幅のため1960年に曳き屋された。あちらは建物を壊さずに後ろへ下げた。
本件は、道路の分だけ橋の途中を取り除いた。道路のために、一方は動かされ、一方は削られたことになる。
博物館は、河畔林など周囲の自然環境にとけ込み、美しい姿を今に留めている、と記す。
名称は、正式の名ではなく通り名である
登録された名と、橋の本来の名が違う。
斜里町立知床博物館は、1940年に第一幾品川橋梁(通称越川橋梁)が斜里町越川地区に完成、と記す。
正式の名は第一幾品川橋梁で、登録には通称の越川橋梁が用いられている。越川は、橋のある地区の名である。
読みも分かれる。文化遺産オンラインのふりがなは、こんぼくせんで、博物館は、こんぽくせんとする。
荻原家住宅では、名称の字と読みが対応していなかった。
本件は、名そのものが通り名で、根北の読みも資料によって揺れる。
見学
所在は北海道斜里郡斜里町字越川245-8他で、所有は斜里町である。
文化庁は、長さ147メートル、高さ21.7メートルの10連アーチ無筋コンクリート橋で、コンクリート鉄道橋としては北海道最大のもの、と記す。無筋コンクリートは、鉄筋を入れないコンクリートをいう。
博物館は、戦時下の鉄筋を使用しない構造にも特徴があり、当時の土木技術を現代に伝える建造物、と記す。
員数の単位は基である。御坂隧道と同じく、土木構造物を数える単位になる。
国道に面した屋外の構造物であり、見学の可否や経路は所有者の定めによる。訪問前に確認したい。
Q&A
- いつ登録されましたか。
- 1998年(平成10年)7月23日に登録有形文化財(建造物)となりました。指定ではなく登録で、員数は1基です。
- 列車は走ったのですか。
- いいえ。文化庁は「根北線の一部として建設されたが、未成線となった」と記します。1940年の完成と同じ年に工事が中断されました。
- なぜ途中が途切れているのですか。
- 昭和48年(1973年)に国道工事に伴い橋脚2本が撤去されたためです。
- 越川橋梁は正式な名前ですか。
- 斜里町立知床博物館によれば、正式の名は第一幾品川橋梁で、越川橋梁は通称です。
- どのくらいの大きさですか。
- 長さ147メートル、高さ21.7メートルの10連アーチ無筋コンクリート橋で、コンクリート鉄道橋としては北海道最大とされます。
基本情報
| 名称 | 旧国鉄根北線越川橋梁(きゅうこくてつこんぼくせんこしかわきょうりょう)/正式の名は第一幾品川橋梁で、越川橋梁は通称 |
|---|---|
| 所在地 | 北海道斜里郡斜里町字越川245-8他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物・近代その他)/指定ではなく登録 |
| 指定年 | 1998年(平成10年)7月23日 登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | コンクリート造10連アーチ橋、橋長147メートル、高さ21.7メートル。無筋コンクリート。昭和48年(1973年)に国道工事に伴い橋脚2本が撤去されている。年代の欄は昭和前、西暦は1940年 |
| 所有者 | 斜里町 |
| 公開状況 | 国道に面した屋外の構造物で、見学の可否や経路は所有者の定めによる |
参考文献
- 文化遺産オンライン 旧国鉄根北線越川橋梁
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/113637
- 斜里町立知床博物館 旧国鉄根北線越川橋梁
- https://shiretoko-museum.jpn.org/shizen_rekishi/bunkazai/kompokusen/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
- 斜里町
- https://www.town.shari.hokkaido.jp/
最終更新日: 2026.09.22