明治21年築の主屋を含む7棟 ― 2011年に重要文化財

旧高橋家住宅は、岩手県奥州市水沢区字大畑小路6番地にある住宅で、2011年(平成23年)6月20日に重要文化財に指定された。種別は近代/住居、指定番号は02569。所有は奥州市で、文化庁は所有者種別を「市区町村」とする。

指定は主屋、蔵座敷、土蔵、東板倉、西板倉、金庫蔵、表門の7棟からなる。主屋は明治21年(1888年)の建築で、木造、建築面積199.80平方メートル、入母屋造、妻入、東面玄関唐破風造、南面庇付、鉄板葺である。

文化庁は旧水沢城下に所在する住宅と記す。城下町の中に建つ住宅であることが位置づけの前提になっている。

指定基準が明記されている

文化庁の記録には、指定の根拠となった基準が示されている。

重文指定基準1は「(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの」である。重要文化財の指定基準は複数あり、そのどれに当たるかが記録に残る。

この物件は「地方的特色」で評価されたことになる。全国的な様式の到達点としてではなく、東北地方という地域における性格が評価の軸である。

解説文もこれに対応する。近代らしい自由で創意に富んだ意匠になる大型の住宅建築で、明治期の東北地方における豪奢な近代和風住宅のひとつとして貴重である。「ひとつとして」という書き方は、唯一無二ではなく類型の中での位置づけを示す。

装飾の手法が列挙される

文化庁は主屋の内外について、具体的な手法を並べる。

明治21年に建てられた主屋は、唐破風造の式台玄関を構える豪壮な外観をもつ。また各室を障壁画や貝片入りの砂壁で飾るとともに、座敷飾りや天井など技巧を凝らした装飾的なつくりで、銘木を多用している点にも特徴がある。

砂壁は砂を混ぜた仕上げの壁で、そこに貝片を入れる。光の当たり方で壁の表情が変わる仕上げである。障壁画は襖や壁に描いた絵をいう。

銘木は、材そのものに価値を認められた木材をさす。構造材ではなく見せる材として使うため、多用は施主の財力を示す。

式台玄関は、玄関の床が一段低く張り出した格式のある形式である。それが唐破風造になっている。外観、壁、天井、材と、装飾が建物の各部に及んでいる。

附指定に文書と図が含まれる

7棟のほかに、附として4件が指定されている。

土塀2棟、塀重門及び塀1棟、普請関係文書2冊、家相図1枚である。

前の2件は建物や構築物だが、後の2件は紙の資料である。普請関係文書は建築の際の記録、家相図は家の配置を吉凶の観点から描いた図である。

建物と、その建物を建てるときに作られた紙が、同じ指定の中に収まっている。建物の由来を裏づける資料として附に加えられたものである。中尊寺の堂内具で磬架が本体・磬が附であったのとは異なり、こちらは資料が附になっている。

解説文は「表門や蔵座敷なども良好に保存され、明治期の素封家の屋敷構えをよくとどめており、高い価値が認められる」と結ぶ。個々の建物ではなく、屋敷全体の構えが評価されている。

見学

所有は奥州市で、奥州市が武家住宅として案内している。公開されている住宅である。

開館時間と観覧料は変更されることがあるため、訪問前に奥州市の案内で確認したい。7棟すべてが常に内部まで見られるとは限らない。

附指定の普請関係文書と家相図は紙の資料である。建物と同時に展示されるとは限らないので、見たい場合は事前に確かめたい。

所在は岩手県奥州市水沢区字大畑小路6番地である。

Q&A

Q旧高橋家住宅はいつ指定されましたか。
A2011年(平成23年)6月20日に重要文化財に指定されました。種別は近代/住居、指定番号は02569。所有は奥州市で、文化庁は所有者種別を「市区町村」とします。主屋は明治21年(1888年)の建築です。
Q何棟が指定されていますか。
A主屋、蔵座敷、土蔵、東板倉、西板倉、金庫蔵、表門の7棟です。ほかに附として土塀2棟、塀重門及び塀1棟、普請関係文書2冊、家相図1枚が指定されています。
Qどのような基準で指定されたのですか。
A文化庁は重文指定基準1を「(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの」とします。全国的な様式の到達点としてではなく、東北地方という地域における性格が評価の軸になっています。
Q主屋の装飾にはどのような特徴がありますか。
A文化庁は、唐破風造の式台玄関を構える豪壮な外観をもち、各室を障壁画や貝片入りの砂壁で飾り、座敷飾りや天井など技巧を凝らした装飾的なつくりで、銘木を多用している点にも特徴があると記します。
Qなぜ文書や図まで指定されているのですか。
A附指定として普請関係文書2冊と家相図1枚が含まれます。普請関係文書は建築の際の記録、家相図は家の配置を吉凶の観点から描いた図で、建物の由来を裏づける資料として附に加えられています。

基本情報

名称旧高橋家住宅(きゅうたかはしけじゅうたく)
所在地岩手県奥州市水沢区字大畑小路6番地
指定区分重要文化財(近代/住居)/指定番号02569/指定基準は「流派的又は地方的特色において顕著なもの」
指定年2011年(平成23年)6月20日 重要文化財
員数主屋、蔵座敷、土蔵、東板倉、西板倉、金庫蔵、表門の7棟。附として土塀2棟、塀重門及び塀1棟、普請関係文書2冊、家相図1枚
寸法主屋は木造、建築面積199.80平方メートル、入母屋造、妻入、東面玄関唐破風造、南面庇付、鉄板葺。各室を障壁画や貝片入りの砂壁で飾り、銘木を多用する。明治21年(1888年)
所有者奥州市(文化庁は所有者種別を市区町村とする)
公開状況奥州市が武家住宅として案内。開館時間と観覧料は変更されることがある

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース 旧高橋家住宅 主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00004499
文化遺産オンライン 旧高橋家住宅 主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/161424
奥州市 旧高橋家住宅
https://www.city.oshu.iwate.jp/samurai/bukejutaku/1723.html
奥州市 武家住宅
https://www.city.oshu.iwate.jp/samurai/index.html

最終更新日: 2026.09.04

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