建築面積17平方メートルの蔵 ― 2002年に登録

今林家住宅味噌蔵は、京都府宮津市字万町604-1にある建物で、2002年(平成14年)8月21日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は土蔵造2階建、瓦葺、建築面積17平方メートルである。

文化庁は年代を明治/1868年から1911年とする。43年の幅で記されている。

17平方メートルは、これまでに扱った建物のなかで最も小さい。同じ敷地の主屋261平方メートルの15分の1にあたる。須賀家住宅北蔵の21平方メートルをさらに下回る。

七棟が二回に分けて登録された

今林家住宅では七棟が登録されている。ただし登録の日付は二つに分かれる。

2002年8月21日に主屋、糸蔵、道具蔵、米蔵、味噌蔵の五棟。2009年1月8日に旧店舗、旧生糸蔵の二棟である。7年の間隔がある。

後から加わった二棟は、いずれも江戸時代の建物である。旧店舗は江戸/1830年から1867年、旧生糸蔵は江戸/1857年で、先に登録された五棟より古い。

古いものが後から登録されている。旧店舗は1952年頃と2008年に、旧生糸蔵は2008年に改修されており、改修の後で登録されたことになる。

規模も大きく異なる。主屋261平方メートル、旧店舗80平方メートル、糸蔵44平方メートル、道具蔵39平方メートル、米蔵25平方メートル、旧生糸蔵22平方メートル、味噌蔵17平方メートルである。

蔵に扇垂木が使われている

文化庁の記載で最も目を引くのは、構造の特徴である。

他3棟の蔵と同じく垂木を扇状に配する構造を特徴とする。

垂木を扇状に配するのは扇垂木と呼ばれる形式で、隅に向かって垂木を放射状に並べる。東福寺三門や永保寺観音堂では、禅宗様の指標として現れていた。

それが町家の蔵に使われている。寺院建築の形式が、商家の付属建物に取り入れられていることになる。

しかも「他3棟の蔵と同じく」とされる。一棟だけの試みではなく、この家の蔵に共通する扱いである。

文化庁は理由を記していない。同じ大工が手がけたのか、この地域の慣行なのかは、記録からは分からない。

簡素ながら変化のある外観

外観についても記述がある。

敷地北東端にある東西棟、切妻造、桟瓦葺、平入の2階建土蔵である。漆喰塗を基調とし、腰を竪板張とした外装で、妻面中央の上下に窓を設けるなど、全体的に簡素ながら変化のある外観を見せる。

「簡素ながら変化のある」という言い方に注意したい。簡素であることと、変化があることが両立している。

変化をつけているのは二点である。腰を竪板張とすることと、妻面中央の上下に窓を設けること。漆喰の白い面の下部を板張りにし、妻面には窓を上下に置く。

須賀家住宅北蔵が白漆喰に黒漆喰の線を一本入れ、聚光院庭園が小ぶりな石のなかに立石を据えたのと、同じ考え方である。抑えたうえで、数点だけ変化をつける。

見学

文化庁は公開についての記載を持たず、所有者名の欄も空欄である。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではない。

訪問を計画する前に、宮津市の案内などで公開の有無を確かめたい。

外観の見どころは妻面である。中央の上下に窓が置かれ、腰は竪板張になる。文化庁が「変化のある」とする部分にあたる。

扇垂木は軒の裏側にあるため、軒下を見上げると垂木の並びが確かめられる。所在は京都府宮津市字万町604-1である。

Q&A

Q今林家住宅味噌蔵はいつ登録されましたか。
A2002年(平成14年)8月21日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積17平方メートルです。文化庁は年代を明治の1868年から1911年とします。
Q同じ敷地に他の建物はありますか。
A七棟が登録されていますが、日付は二つに分かれます。2002年8月21日に主屋・糸蔵・道具蔵・米蔵・味噌蔵の五棟、2009年1月8日に旧店舗・旧生糸蔵の二棟です。後から加わった二棟のほうが江戸時代の建物で、先に登録された五棟より古くなります。
Q構造の特徴は何ですか。
A文化庁は「他3棟の蔵と同じく垂木を扇状に配する構造を特徴とする」と記します。垂木を隅に向かって放射状に並べる形式で、この家の蔵に共通する扱いです。理由までは記されていません。
Q外観はどのようなものですか。
A文化庁は「漆喰塗を基調とし、腰を竪板張とした外装で、妻面中央の上下に窓を設けるなど、全体的に簡素ながら変化のある外観を見せる」と記します。簡素であることと変化があることが両立しています。
Q見学できますか。
A文化庁は公開についての記載を持たず、所有者名の欄も空欄です。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではありません。訪問前に宮津市の案内などで確かめてください。

基本情報

名称今林家住宅味噌蔵(いまばやしけじゅうたくみそぐら)
所在地京都府宮津市字万町604-1
指定区分登録有形文化財(建造物)/同じ敷地の主屋・糸蔵・道具蔵・米蔵・旧店舗・旧生糸蔵は別の物件
指定年2002年(平成14年)8月21日 登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積17平方メートル。敷地北東端にある東西棟、切妻造、桟瓦葺、平入。漆喰塗を基調とし、腰を竪板張とした外装で、妻面中央の上下に窓を設ける。他3棟の蔵と同じく垂木を扇状に配する。明治時代
所有者文化庁データベースの所有者名の欄は空欄
公開状況公開についての記載はない

参考文献

文化遺産オンライン 今林家住宅味噌蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/193949
文化遺産オンライン 今林家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/149555
文化遺産オンライン 今林家住宅旧店舗
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/172812
文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/

最終更新日: 2026.09.05