1件の石仏 ― 1934年に国の指定

緒方宮迫西石仏は、大分県豊後大野市緒方町久土知38-3ほかにある平安時代末期と伝えられる石仏で、1934年(昭和9年)1月22日に国の指定を受けた。区分は史跡である。

ふりがなは、おがたみやさこにしせきぶつである。管理団体は豊後大野市とされる。

豊後大野市は、平安末期、豊後武士大神一族の惣領緒方惟栄による造顕と伝えられている、と記す。造顕は、仏像を造り表すことをいう。惣領は、一族をまとめる長である。

三体の仏が、過去と現世と来世を分け持つ

並んだ三体の仏が、それぞれ別の時を受け持っている。

豊後大野市は、向って右から阿弥陀如来・釈迦如来・薬師如来像を配置する、と記す。

続けて、阿弥陀に来世を託し、釈迦に過去を顧み、薬師に現世を頼む三尊仏形式である、とある。

阿弥陀如来は亡くなったあとの世界に迎える仏、釈迦如来は仏の教えを開いた仏、薬師如来は病や苦しみを除く仏とされる。三体が並ぶことで、過去、現世、来世の三つがそろう。

下鳥渡供養石塔では、阿弥陀如来と左右の二菩薩からなる弥陀三尊が彫られていた。あちらは阿弥陀一仏を中心とする三尊である。

本件は、三体とも如来で、しかも異なる如来が並ぶ。三尊という同じ言葉でも、組み合わせがまったく違うことになる。

200メートル先に、別の顔ぶれの石仏がある

近くに、同じ日に指定されたもう一つの石仏がある。

豊後大野市は、西石仏は東石仏より200メートル南西方向に所在する、と記す。

東石仏については、中尊は大日如来、右に不動明王、左に毘沙門天を配し、さらに両脇に金剛力士像が彫り込まれる、とされる。

どちらも緒方惟栄による造顕と伝えられ、同じ1934年1月22日に指定された。それでいて、西は三体の如来、東は大日如来に明王や天、力士を添えると、並ぶ仏の顔ぶれが異なる。

東石仏は、江戸時代には薬師如来として信仰され、地元では牛の守神として牛をひいて参拝していたという、とも記される。

東と西は、それぞれ別の史跡として指定されている。本記事は西石仏についてのものである。

鮮やかな彩色が残る

石に彫った仏に、色が今も見える。

豊後大野市は、西石仏について、鮮やかな彩色が残っている、と記す。

彩色は、像に色を塗って仕上げることをいう。平安時代末期と伝えられる像に、その色が残る。

中之坊稲荷社でも、軸部全体に彩色を施すことが評価の言葉に入っていた。あちらは江戸時代後期の小さな社である。

本件は、屋外の石の仏に色が残る。

文化遺産オンラインの当該ページは、解説の欄が空である。本記事の像の記述は、豊後大野市の記録によっている。

見学

所在は大分県豊後大野市緒方町久土知38-3ほかで、管理団体は豊後大野市である。

東石仏は、緒方町久土知71にあり、西石仏から200メートル北東にあたる。

造り手を緒方惟栄とするのは伝承で、記録は、伝えられている、という言い方で示す。

屋外の石仏であり、見学の可否や経路は管理団体の定めによる。訪問前に確認したい。

指定は1934年で、管理団体が定められたのは翌年とされる。

Q&A

Q緒方宮迫西石仏はいつ指定されましたか。
A1934年(昭和9年)1月22日に国の指定を受けました。区分は史跡です。
Qどのような仏が彫られていますか。
A向かって右から阿弥陀如来、釈迦如来、薬師如来です。
Q三体の並びには意味がありますか。
A豊後大野市は「阿弥陀に来世を託し、釈迦に過去を顧み、薬師に現世を頼む三尊仏形式」と記します。
Q東石仏とは何ですか。
A200メートル北東にある別の史跡で、大日如来を中心に不動明王、毘沙門天、金剛力士が彫られています。
Q誰が造ったのですか。
A平安末期、豊後武士大神一族の惣領緒方惟栄による造顕と伝えられています。

基本情報

名称緒方宮迫西石仏(おがたみやさこにしせきぶつ)
所在地大分県豊後大野市緒方町久土知38-3ほか
指定区分史跡/建造物や美術品ではなく遺跡としての指定
指定年1934年(昭和9年)1月22日 指定
員数1件の石仏(阿弥陀如来・釈迦如来・薬師如来の三体)
寸法像の寸法は手元の記録にない。向かって右から阿弥陀如来、釈迦如来、薬師如来を配する三尊仏形式で、鮮やかな彩色が残る。東石仏は200メートル北東
所有者記録に記載なし(管理団体は豊後大野市)
公開状況屋外の石仏で、見学の可否や経路は管理団体の定めによる

参考文献

豊後大野市 国指定文化財
https://www.bungo-ohno.jp/docs/2015030100048/
文化遺産オンライン 緒方宮迫西石仏
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/173865
文化遺産オンライン 緒方宮迫東石仏
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/212030
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.22