大正6年築、1970年移築 ― 2004年に登録
明治村第四高等学校武術道場無声堂主屋は、愛知県犬山市内山1の博物館明治村にある建物で、2004年(平成16年)2月17日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は木造平屋建、瓦葺、建築面積509平方メートル。所有は公益財団法人明治村である。
文化庁は年代を「大正/1917/1970移築」とする。大正6年(1917年)に建てられ、1970年に明治村へ移されたことを示す。もとは金沢の第四高等学校にあった武術道場である。
登録は「指定」とは別の制度で、届出制を基本とし、所有者が使い続ける自由を広く残す。移築された建物が登録の対象となるのも、この枠組みによる。
主屋と弓道場は別の登録である
無声堂は主屋と弓道場に分かれ、それぞれ別件として登録されている。
主屋は建築面積509平方メートル、弓道場は72平方メートルである。登録日はいずれも2004年2月17日で同じだが、指定の単位は別である。
文化庁の解説によれば、主屋の内部は剣道場と柔道場に二分される。主屋にあるのは2つの道場で、弓道場は別棟である。弓道場は主屋とは出入口の土間を介して接続する。
旧来の記述に「3つの道場を備えた建築」という表現が見られるが、主屋の登録の対象に弓道場は含まれない。資料を参照する際は、主屋と弓道場のどちらの記録かを確かめたい。
洋風小屋組で無柱の空間をつくる
文化庁の解説で評価の核心にあたるのは、屋根を支える構造である。洋風小屋組で無柱の空間を実現した。
小屋組は屋根を支える骨組みをいう。洋風小屋組はトラス(三角形の組み合わせ)で荷重を受けるため、中央に柱を立てずに広い床面を覆える。和小屋では梁と束で支えるため、規模が大きくなると柱が要る。
道場は床の上で人が動く場である。柱があれば動きが妨げられるので、無柱であることが用途に直結する。西洋の構法を採る理由がここにある。
弓道場の解説も同じ点を挙げる。洋風小屋組を使用し、的場に向かった間口一杯5間を無柱とする。主屋と弓道場に共通する設計の考え方である。
外は洋風、小壁は和風
文化庁は外観の仕上げを具体的に記す。外壁は隅柱付の洋風下見板張、小壁は漆喰塗真壁造、欄間付引違窓を開く。
下見板張は板を横に重ねて張る洋風の外壁である。隅柱付は建物の角に柱を見せる形をいう。一方、小壁は漆喰を塗った真壁造で、柱を見せる日本の構法である。
同じ建物の外壁で、洋風の板張りと和風の真壁が上下に分かれている。欄間付の引違窓も、洋風の開口部に和の建具の考え方を組み合わせたものである。
屋根は切妻造の桟瓦葺で、正面中央に切妻造の玄関がつく。両妻の落ち棟に師範台と更衣室、背後に浴室を設ける。道場としての機能が平面に割り付けられている。
見学
無声堂は博物館明治村の敷地内にあり、明治村の入村料で見学できる。
開村時間と入村料は季節により変わることがあるため、訪問前に明治村の案内で確認したい。冬季は開村日が限られる場合がある。
明治村には同じ第四高等学校から移された物理化学教室もあり、こちらも別に登録されている。一つの学校の複数の建物が、別々の登録として同じ敷地に並んでいる。
交通は名鉄犬山線の犬山駅からバスで約20分である。
Q&A
- 無声堂主屋はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
- 文化庁は年代を「大正/1917/1970移築」とし、大正6年(1917年)に建てられ1970年に明治村へ移されたことを示します。2004年(平成16年)2月17日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、木造平屋建、瓦葺、建築面積509平方メートルです。
- 弓道場も同じ登録ですか。
- いいえ、別件の登録です。登録日はいずれも2004年2月17日で同じですが、主屋(509平方メートル)と弓道場(72平方メートル)は別に登録されています。主屋の内部は剣道場と柔道場に二分され、弓道場は出入口の土間を介して接続する別棟です。
- なぜ洋風小屋組を使ったのですか。
- 文化庁は「洋風小屋組で無柱の空間を実現した」と記します。洋風小屋組はトラスで荷重を受けるため、中央に柱を立てずに広い床面を覆えます。道場は床の上で人が動く場なので、柱がないことが用途に直結します。
- 外観の特徴は何ですか。
- 文化庁は、外壁が隅柱付の洋風下見板張、小壁が漆喰塗真壁造で、欄間付引違窓を開くと記します。同じ建物の外壁で洋風の板張りと和風の真壁が上下に分かれています。屋根は切妻造の桟瓦葺で、正面中央に切妻造の玄関がつきます。
- 無声堂主屋は見学できますか。
- 博物館明治村の敷地内にあり、明治村の入村料で見学できます。開村時間と入村料は季節により変わることがあり、冬季は開村日が限られる場合があるため、訪問前に明治村の案内で確認してください。名鉄犬山駅からバスで約20分です。
基本情報
| 名称 | 明治村第四高等学校武術道場無声堂主屋(めいじむらだいよんこうとうがっこうぶじゅつどうじょうむせいどうしゅおく) |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県犬山市内山1 博物館明治村内 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/弓道場は別に登録 |
| 指定年 | 2004年(平成16年)2月17日 登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積509平方メートル。切妻造の桟瓦葺で正面中央に切妻造玄関。内部は剣道場と柔道場に二分し、両妻の落ち棟に師範台と更衣室、背後に浴室。外壁は隅柱付の洋風下見板張、小壁は漆喰塗真壁造。洋風小屋組で無柱の空間とする。1917年、1970年移築 |
| 所有者 | 公益財団法人明治村 |
| 公開状況 | 博物館明治村の入村料で見学可。開村時間と入村料は季節により変わることがある |
参考文献
- 文化遺産オンライン 明治村第四高等学校武術道場無声堂主屋
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/180076
- 文化遺産オンライン 明治村第四高等学校武術道場無声堂弓道場(別の登録)
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/116937
- 博物館明治村 公式サイト
- https://www.meijimura.com/
- 文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/
最終更新日: 2026.09.04