建築面積21平方メートルの蔵 ― 2010年に登録

須賀家住宅北蔵は、岐阜県下呂市萩原町中呂字沼334にある建物で、2010年(平成22年)1月15日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は土蔵造2階建、瓦葺、建築面積21平方メートルである。

文化庁は年代を明治/1892とする。桁行5.5メートル、梁間4.5メートルの土蔵造2階建で、主屋の西北に南面して建つ。

小さな蔵である。建築面積21平方メートルは、同じ敷地の主屋331平方メートルの16分の1にあたる。

蔵が先、主屋が後

須賀家住宅では、主屋・表蔵・北蔵の三棟が同じ日に登録されている。ところが建てられた順は登録の順とは違う。

文化庁の年代欄はそれぞれ次のとおりである。表蔵が明治/1879、北蔵が明治/1892、主屋が明治/1908。

蔵が二棟建った後で、主屋が建っている。表蔵から主屋まで29年、北蔵から主屋まで16年の開きがある。

現存する主屋は1908年のもので、それ以前の主屋があったはずだが、文化庁は触れていない。蔵だけが古い形で残ったことになる。

規模も三棟で大きく異なる。主屋331平方メートル、表蔵55平方メートル、北蔵21平方メートルである。

白漆喰を黒漆喰で引き締める

文化庁の記載で評価にあたるのは、色の扱いである。

1階に簓子下見の腰板を張った白漆喰仕上げとし、鉢巻下端の黒漆喰仕上げが外観を引き締めている。

鉢巻は蔵の壁の上部に回る帯状の部分をいう。その下端だけを黒漆喰にする。白い壁の上のほうに、黒い線が一本入ることになる。

白一色ではなく、黒の線が加わることで輪郭が締まる。文化庁の「引き締めている」という語は、この効果を指す。

簓子下見は、下見板を簓子と呼ぶ細い部材で押さえる張り方である。腰板は下見板張り、その上が白漆喰という上下の分けになる。

同じ敷地の表蔵は、赤瓦と白漆喰、黒色の木部が落ち着きのある構えをつくると評される。二棟とも白と黒の対比が評価の軸にある。

置屋根と引込み戸

屋根の形式も記される。東西棟の置屋根形式の桟瓦葺である。

置屋根は、土蔵の壁と天井の上に、別の屋根を載せる形式をいう。土でできた蔵の本体と、瓦の屋根が分かれている。蔵の防火性能を保ちながら、雨から土壁を守る。

南に蔵前を付す。蔵前は蔵の入口の前に設ける空間で、荷の出し入れに使う。

南の入口は木製の引込み戸とする。引込み戸は壁の中に引き込んで納める戸である。

同じ敷地の表蔵は「掛子塗で平面を黒漆喰仕上げとする両開戸」を吊る。北蔵は引込み戸、表蔵は両開戸と、戸の形式が違う。用途や規模の違いによると考えられるが、文化庁は理由までは記していない。

見学

文化庁は公開についての記載を持たず、所有者名の欄も空欄である。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではない。

訪問を計画する前に、下呂市の案内などで公開の有無を確かめたい。

外観の見どころは色の扱いである。白漆喰の壁、その上部に一本入る黒漆喰の線、下部の簓子下見の腰板という上下の構成が、南面する正面で確かめられる。

所在は岐阜県下呂市萩原町中呂字沼334である。

Q&A

Q須賀家住宅北蔵はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
A文化庁は年代を明治/1892とします。2010年(平成22年)1月15日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、土蔵造2階建、瓦葺、建築面積21平方メートルです。
Q同じ敷地の建物との関係は。
A主屋・表蔵・北蔵の三棟が同じ日に登録されていますが、建てられた順は表蔵が1879年、北蔵が1892年、主屋が1908年です。蔵が二棟建った後で主屋が建っており、規模も主屋331平方メートル、表蔵55平方メートル、北蔵21平方メートルと大きく異なります。
Q外観の特徴は何ですか。
A文化庁は「1階に簓子下見の腰板を張った白漆喰仕上げ。鉢巻下端の黒漆喰仕上げが外観を引き締めている」と記します。鉢巻は壁の上部に回る帯状の部分で、その下端だけを黒漆喰とし、白い壁に黒い線が一本入ることになります。
Q置屋根とは何ですか。
A土蔵の壁と天井の上に、別の屋根を載せる形式です。土でできた蔵の本体と瓦の屋根が分かれており、蔵の防火性能を保ちながら雨から土壁を守ります。北蔵は東西棟の置屋根形式の桟瓦葺です。
Q見学できますか。
A文化庁は公開についての記載を持たず、所有者名の欄も空欄です。登録有形文化財は所有者が使い続けている建物が多く、内部の公開が前提ではありません。訪問前に下呂市の案内などで確かめてください。

基本情報

名称須賀家住宅北蔵(すがけじゅうたくきたぐら)
所在地岐阜県下呂市萩原町中呂字沼334
指定区分登録有形文化財(建造物)/須賀家住宅主屋・表蔵は別の物件
指定年2010年(平成22年)1月15日 登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積21平方メートル。桁行5.5メートル、梁間4.5メートル。主屋の西北に南面して建ち、東西棟の置屋根形式の桟瓦葺で南に蔵前を付す。下階は簓子下見の腰板を張った白漆喰仕上げ、鉢巻下端は黒漆喰。南の入口は木製の引込み戸とする。1892年の建築
所有者文化庁データベースの所有者名の欄は空欄
公開状況公開についての記載はない

参考文献

文化遺産オンライン 須賀家住宅北蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/218839
文化遺産オンライン 須賀家住宅表蔵
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/163608
文化遺産オンライン 須賀家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/140917
文化庁 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html

最終更新日: 2026.09.04