アメリカンハウス(旧ハムウェイ邸):神戸北野に佇む昭和初期洋風住宅の隠れた名建築

神戸の歴史ある北野地区、数々の異人館が立ち並ぶこの街に、アメリカンハウス(旧ハムウェイ邸)は静かに佇んでいます。多くの観光客が風見鶏の館や萌黄の館へと足を運ぶ中、この魅力的な登録有形文化財は、20世紀初頭に神戸で花開いた洗練された西洋的生活様式を今に伝える貴重な存在です。

歴史と背景

アメリカンハウスは昭和初期(1926年〜1930年頃)に建設されました。この時代、西洋建築の影響は神戸の文化的景観に深く根付いていました。この建物はもともとハムウェイ家の私邸として建てられ、北野町の風光明媚な山の手に居を構えた多くの外国人居住者の一人でした。

神戸の北野地区は、1868年(慶応4年)の神戸港開港に遡る豊かな歴史を持っています。外国人商人、外交官、専門家が次々と来日するにつれ、当初整備された外国人居留地は手狭になっていきました。そこで日本政府は、東は生田川から西は宇治川までの範囲を「雑居地」として定め、外国人と日本人が共に住むことを認めました。神戸港と瀬戸内海を一望できる山の手の高台は、故郷の風景を彷彿とさせるとして西洋人居住者に特に人気がありました。

この黄金時代には、北野地区に200棟以上の洋館が建設されました。アメリカンハウスはこの発展期の後半を代表する建物であり、東西文化の交流を通じて数十年かけて熟成された建築美学を反映しています。

文化財としての価値

2003年(平成15年)7月1日、アメリカンハウスは国の登録有形文化財として正式に登録されました。この指定は、日本の文化遺産の理解に貢献し、将来の世代のために保存すべき価値を持つ建物や構造物に与えられるものです。

この建物が登録を受けた主な理由は、昭和初期の洋風住宅として造形の規範となっているためです。文化財当局によれば、アメリカンハウスはその時代の住宅建築の基準を定める模範的な設計原則を示しています。この構造物は、日本の建築史における変革期に、西洋の建築要素がいかに思慮深く日本の文脈に適応されたかを示す好例となっています。

建築的特徴

アメリカンハウスは、瓦葺きの特徴的な寄棟造りを持つ木造2階建ての建物です。建築面積は約100平方メートルで、東西に長い長方形の平面を持ち、東南隅がやや突出して視覚的な変化を生み出しています。

内部の間取りは、昭和初期の外国人居住者の実用的かつ優雅な生活様式を反映しています。1階南側には3室続きのリビング・ダイニングがあり、西寄りには暖炉が設けられ、暖かな団らんの場を演出しています。台所は1階北側に配置されています。2階にはプライベートな居室が設けられ、下階に公的空間、上階に私的空間という典型的な西洋住宅の配置に従っています。

建築様式はその時代の洗練された趣味を体現しており、西洋の建築技術と日本の気候に適した材料を組み合わせています。日本語で「寄棟造」と呼ばれるこの屋根形式は、日本の伝統的な屋根技法と西洋の建築形態の見事な融合を示しています。

現在の利用状況と見学について

現在、アメリカンハウスはスタジオハローズという撮影スタジオとして営業しています。そのため内部の一般公開は行われていませんが、通りから美しい外観建築を鑑賞することは可能です。よく保存された建物のファサードは、北野の歴史的街並みの独特な雰囲気を捉えたい写真愛好家にとって格好の被写体となっています。

この建物は、国指定重要文化財である小林家住宅(旧シャープ住宅)、通称「萌黄の館」のすぐ隣に位置しています。この立地の良さにより、より有名な隣接するこの観光名所を訪れながらアメリカンハウスを見学でき、明治時代から昭和初期にかけての神戸における西洋建築様式の変遷を比較し味わうことができます。

周辺情報

アメリカンハウスは北野町の中心部に位置しており、多数の歴史的・文化的観光スポットに徒歩で簡単にアクセスできます。この地域は1980年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、「港町」というカテゴリーでは日本初の指定として、その卓越した歴史的価値が認められています。

近隣の見どころとしては、特徴的な赤レンガの外観と有名な風見鶏を持つ風見鶏の館(旧トーマス住宅)、淡い緑色の壁が北野で最も写真に収められる風景の一つとなっている萌黄の館があります。約4,000枚の天然スレートで覆われた外壁が魚の鱗に似ていることから名付けられたうろこの家では、美術館級のアンティーク家具や美術品の展示を楽しめます。

特別な体験をお求めなら、旧ムーア邸でのアフタヌーンティーや、登録有形文化財の建物を利用したスターバックスコーヒー神戸北野異人館店の訪問がおすすめです。北野地区全体が散策に最適で、曲がりくねった坂道の街路には魅力的なカフェ、ブティック、ギャラリーが点在しています。

アクセス

アメリカンハウスは神戸の中心部から簡単にアクセスできます。新神戸駅(新幹線)からは、北野通りを西へ歩いて約10〜15分です。三宮駅からは北へ約15〜20分歩き、異人館街の案内に従ってください。坂道を上るにつれて、歴史的建造物の美しい景色がますます広がる風情ある道のりです。

公共交通機関をご利用の場合は、シティーループバスが便利で、異人館が集まるエリアの近くに停留所があります。北野町一帯は歩きやすいですが、特に最も特徴的な邸宅が建つ地区の上部を探索する際は、坂道が多いことをご承知おきください。

Q&A

Qアメリカンハウスの内部は見学できますか?
Aアメリカンハウスは現在、スタジオハローズという撮影スタジオとして営業しており、一般公開は行われていません。ただし、通りから美しい外観建築を鑑賞したり、よく保存された建物のファサードを撮影したりすることは可能です。
Qアメリカンハウスが歴史的に重要な理由は何ですか?
Aアメリカンハウスは、昭和初期の洋風住宅として造形の規範となっていることから、2003年に国の登録有形文化財に登録されました。この建物はその時代の住宅建築の模範となる設計原則を示しています。
Q近くにはどのような観光スポットがありますか?
Aアメリカンハウスは国指定重要文化財の萌黄の館(旧シャープ住宅)のすぐ隣に位置しています。その他の近隣の見どころとしては、風見鶏の館、うろこの家、そして歴史ある北野異人館街にある多数のカフェやショップがあります。
Q新神戸駅からアメリカンハウスへはどのように行けますか?
A新神戸駅から北野通りを西へ約10〜15分歩きます。また、三宮駅からは北へ約15〜20分歩き、異人館街の案内に従ってください。シティーループバスも北野エリアへの便利なアクセス手段です。
Q北野異人館街を訪れるのに最適な時期はいつですか?
A北野地区は一年を通じて楽しめます。春と秋は坂道の多い街を歩くのに快適な気候です。平日の午前中は週末に比べて混雑が少ない傾向にあります。早朝の光や夕暮れ時に歴史的建造物が美しく照らされる時間帯は特に雰囲気があります。

基本情報

正式名称 アメリカンハウス(旧ハムウェイ邸)
文化財区分 国登録有形文化財(建造物)
登録年月日 2003年(平成15年)7月1日
建築年代 昭和初期(1926年〜1930年頃)
構造 木造2階建、寄棟造、瓦葺
建築面積 約100平方メートル
所在地 兵庫県神戸市中央区北野町3-57
現在の用途 スタジオハローズ(撮影スタジオ)
公開状況 外観のみ見学可(内部は一般非公開)
所有者 有限会社濵田商事
最寄り駅 新神戸駅(徒歩10〜15分)/三宮駅(徒歩15〜20分)

参考文献

アメリカンハウス(旧ハムウェイ邸) - 文化遺産オンライン(文化庁)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/179686
【登録有形文化財】アメリカンハウス(旧ハムウェイ邸)(兵庫県 神戸市) - 文化遺産見学案内所
https://bunkaisan.exblog.jp/29402027/
兵庫県神戸市北野町(続き)アメリカンハウスほか - 町並み散策と近代建築
http://blog.livedoor.jp/hydrangea_serrata/archives/35652537.html
異人館とは - 神戸北野異人館 うろこグループ公式サイト
https://kobe-ijinkan.net/md/about/
神戸北野ヒストリー - 神戸北野異人館街公式サイト
https://www.kobeijinkan.com/history
萌黄の館 - 神戸市
https://www.city.kobe.lg.jp/a21651/kanko/bunka/bunkashisetsu/foreigner/sub3.html

最終更新日: 2026.01.28

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