上下の2巻 ― 1944年に重要文化財
日本書紀神代巻〈上下〉は、茨城県水戸市見川1-1215-1の徳川ミュージアムが所有する資料で、1944年(昭和19年)9月5日に重要文化財に指定された。国宝ではなく、重要文化財としての指定である。
所有は公益財団法人徳川ミュージアムである。水戸徳川家の史料を伝える財団にあたる。
当サイトの記録では、所在都道府県が茨城県と東京都の二つとされる。紫地葵紋付葵葉文様辻が花染羽織でも、東京都と愛知県の二つが記録されていた。
重大な訂正 ― 旧記事は別の写本を書いていた
これまで掲載していた記事は、本件とは別の物件について書かれていた。
旧記事は、京都国立博物館が所蔵する国宝の写本、いわゆる吉田本を主題としていた。本文中に京都国立博物館という語が14回、国宝という語が23回あらわれていた。
本件は茨城県水戸市の徳川ミュージアムが所有する重要文化財である。所有者も所在地も指定の区分も違う。
犀角柄刀子では正倉院宝物が、黒韋威胴丸では春日大社の同名物件が、小桜韋威鎧では犀角柄刀子の記事そのものが混入していた。
本件は4件目の取り違えにあたる。しかも国宝と重要文化財という区分をまたいだ取り違えである。
本稿は文化庁データベースの記録に基づいて全面的に書き直した。
名称の山括弧が、巻の構成を示す
名称の末尾に、括弧で内訳が添えられる。
名称は日本書紀神代巻〈上下〉である。山括弧のなかに上下とある。
神代巻は日本書紀のうち神々の時代を記した部分をいう。それが上下の二つに分かれている。
山括弧はこれまでも見てきた。小桜韋威鎧〈兜、大袖付〉は付属するものを示し、太刀〈銘光世作〉は銘を示し、黒韋威胴丸〈兜、大袖付〉も付属を示していた。
本件は巻の構成そのものを示している。同じ記号が、付属、銘、構成と三通りに使い分けられていることになる。
{金銅荘環頭大刀拵/大刀身}では波括弧が使われ、二つの物を斜線で並べていた。記号の使い方は一つに定まっていない。
指定は1944年 ― 戦時下の指定にあたる
指定の年が、他とは異なる時期にあたる。
重要文化財の指定は1944年(昭和19年)9月5日である。
ここまで扱ったなかでは、1924年の黒漆螺鈿礼盤、1941年の沃懸地獅子文毛抜形太刀に続く早い時期の指定になる。
戦後の指定が大半を占めるなかで、本件は戦時中に指定されている。
1952年から1953年にかけて多くの物件が国宝に指定されたのは、1950年の文化財保護法によるものである。
本件はそれ以前の制度のもとで指定され、戦後の切り替えを経て重要文化財として現在に至っている。国宝には移行していない。
鑑賞
所在は茨城県水戸市見川1-1215-1で、所有は公益財団法人徳川ミュージアムである。
撃蒙抄では天理図書館と天理大学、紫地葵紋付葵葉文様辻が花染羽織では徳川美術館と徳川黎明会に、保管と所有が分かれていた。
本件は財団が博物館を運営しており、両者が一体になっている。鎏金獣帯鏡の五島美術館と同じ形である。
徳川ミュージアムには、水戸徳川家に伝わった史料がまとまって残されている。
博物館が保管する資料であり、常設で公開される性格のものではない。展示の予定は変わることがあるため、訪問前に確認したい。
Q&A
- 日本書紀神代巻〈上下〉はいつ指定されましたか。
- 1944年(昭和19年)9月5日に重要文化財へ指定されました。国宝ではなく重要文化財で、所有は公益財団法人徳川ミュージアムです。
- 京都国立博物館の国宝とは違うのですか。
- 違います。京都国立博物館が所蔵する国宝の写本は別の物件です。本件は茨城県水戸市の徳川ミュージアムが所有する重要文化財です。
- 〈上下〉とは何を意味しますか。
- 巻の構成を示します。神代巻は日本書紀のうち神々の時代を記した部分で、それが上下の二つに分かれています。
- 所在都道府県が二つあるのはなぜですか。
- 当サイトの記録では茨城県と東京都の二つが記されています。紫地葵紋付葵葉文様辻が花染羽織でも二つの都道府県が記録されています。
- 指定の年に特徴はありますか。
- 1944年は戦時中にあたります。多くの物件が1952年以降に指定されるなかで、本件はそれ以前の制度のもとで指定されています。
基本情報
| 名称 | 日本書紀神代巻〈上下〉(にほんしょきじんだいかん)/山括弧が巻の構成を示す |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県水戸市見川1-1215-1(徳川ミュージアム)/当サイトの記録では所在都道府県が茨城県と東京都の2つ |
| 指定区分 | 重要文化財/国宝ではない |
| 指定年 | 1944年(昭和19年)9月5日 重要文化財 |
| 員数 | 上下の2巻 |
| 寸法 | 文化庁データベースの寸法・品質形状の欄には記載がない。名称の〈上下〉が巻の構成を示す |
| 所有者 | 公益財団法人徳川ミュージアム |
| 公開状況 | 博物館が保管する資料で、常設の公開ではない |
参考文献
- 公益財団法人徳川ミュージアム
- https://tokugawa.gr.jp/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
- 文化遺産オンライン
- https://bunka.nii.ac.jp/
- 水戸市 文化財
- https://www.city.mito.lg.jp/
最終更新日: 2026.09.06