1棟の社殿 ― 2022年に国宝

霧島神宮 本殿・幣殿・拝殿は、鹿児島県霧島市霧島田口2608番地5にある江戸時代中期の建造物で、1989年(平成元年)5月19日に重要文化財となり、2022年(令和4年)2月9日に国宝に指定された。員数は1棟、所有は宗教法人霧島神宮である。

重要文化財から国宝まで33年が経っている。2022年2月9日の国宝は、北海道白滝遺跡群出土品の2023年に次いで新しい。

年代の欄は1715年とする。文化庁は、現在の社殿は正徳五年(1715年)に島津吉貴によって復興されたものである、と記す。

三つの建物の名が並びながら、員数は1棟である

名称と員数が、数のうえで合っていない。

名称は霧島神宮 本殿・幣殿・拝殿である。三つの建物の名が並ぶ。

構造の欄も三つに分けて書かれる。本殿は桁行五間、梁間四間、一重、入母屋造、向拝一間、霧除付。幣殿は桁行二間、梁間三間、一重、両下造。拝殿は桁行七間、梁間三間、一重、入母屋造、正面千鳥破風付、向拝一間である。

そして総銅板葺、とまとめられ、員数は1棟とされる。

三つの建物が続いて建ち、屋根がつながって一つの建物として数えられている。

専修寺では如来堂と御影堂が別々に1棟ずつ数えられていた。青井阿蘇神社では5棟が別々に数えられた。本件は続きの三つを一つと数える例になる。

同じ構成の物件で、区切り方が三通りある

関連作品を並べると、名称の書き方が揃っていない。

妙義神社 本殿・幣殿・拝殿は中黒で区切る。本件と同じである。

八幡神社 本殿、幣殿、拝殿は読点で区切る。

三嶋大社本殿、幣殿及び拝殿は、読点と「及び」を混ぜる。土佐神社本殿、幣殿及び拝殿も同じ形である。

さらに妙義神社 本殿 幣殿 拝殿 附神饌所という、空白で区切るものもある。同じ神社に二通りの書き方がある。

同じ三つの建物をまとめた物件でありながら、中黒、読点、「及び」、空白と区切り方が分かれている。記録の書式が揃っていない例になる。

東アジアに分布し、日本では南九州に伝わる

評価に、二重の範囲が示される。

東アジア圏に分布し、我が国では南九州に伝わる龍柱の代表的な事例であり、文化史的な意義も深い、とある。

まず東アジア圏という広い範囲が示され、そのうち日本では南九州という狭い範囲に絞られる。

浄土寺本堂は瀬戸内海沿岸諸地方という範囲、清白寺仏殿は関東という範囲を示していた。いずれも国内の範囲である。

崇福寺第一峰門では、部材が中国の寧波で刻まれて運ばれていた。物が国境を越えた例である。

本件は、文物の分布そのものが国境をまたいで語られる。そのうえで国内の伝わり先が限られていることが述べられている。

参拝

所在は鹿児島県霧島市霧島田口2608番地5で、所有は宗教法人霧島神宮である。境内に建つ建物であり、外観は参拝の際に見ることができる。

境内の配置が高さで記される。境内は、勅使殿から登廊下を介し、拝殿、幣殿を経て、最も高い位置に本殿を構える、とある。

続けて、とくに拝殿から本殿へは、急勾配の階段で段差をつけて高低差を表現する躍動感あふれた構成をもつ、とされる。

手前から奥へ進むにつれて高くなる。本殿が最も高い位置にある。

装飾については、要所を丸彫彫刻や絵画で装飾し、極彩色、漆塗、朱塗で仕上げる豪華な仕様であり、近世に発達した建築装飾意匠の集大成の一つである、と記される。内部の拝観については神社の定めによる。訪問前に確認したい。

Q&A

Q霧島神宮の社殿はいつ指定されましたか。
A1989年(平成元年)5月19日に重要文化財、2022年(令和4年)2月9日に国宝へ指定されました。あいだは33年で、所有は宗教法人霧島神宮です。
Q建物は三つあるのに員数が1棟なのはなぜですか。
A三つの建物が続いて建ち、屋根がつながって一つの建物として数えられているためです。構造の欄は本殿・幣殿・拝殿を分けて記し、最後に「総銅板葺」とまとめています。
Qいつ建てられたのですか。
A文化庁は「現在の社殿は正徳五年(1715年)に島津吉貴によって復興されたものである」と記します。年代の欄も1715年です。
Q龍柱とは何ですか。
A文化庁は「東アジア圏に分布し、我が国では南九州に伝わる龍柱の代表的な事例であり」と記します。広い分布のうち、日本では南九州に限られて伝わっています。
Q境内はどのような配置ですか。
A文化庁は「勅使殿から登廊下を介し、拝殿、幣殿を経て、最も高い位置に本殿を構える」と記します。手前から奥へ進むにつれて高くなる配置です。

基本情報

名称霧島神宮 本殿・幣殿・拝殿(きりしまじんぐう ほんでん・へいでん・はいでん)/同じ神社の勅使殿と登廊下は別に記録される
所在地鹿児島県霧島市霧島田口2608番地5
指定区分国宝(建造物・宗教建築)
指定年1989年(平成元年)5月19日 重要文化財/2022年(令和4年)2月9日 国宝
員数1棟(本殿・幣殿・拝殿を合わせて1棟と数える)
寸法本殿は桁行5間、梁間4間、一重、入母屋造、向拝1間、霧除付。幣殿は桁行2間、梁間3間、一重、両下造。拝殿は桁行7間、梁間3間、一重、入母屋造、正面千鳥破風付、向拝1間。総銅板葺。年代の欄は1715年。時代は江戸中期
所有者宗教法人霧島神宮
公開状況境内に建つ建物で、外観は参拝の際に見ることができる。内部の拝観は神社の定めによる

参考文献

文化遺産オンライン 霧島神宮 本殿・幣殿・拝殿
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/148831
霧島神宮 国宝指定 本殿 幣殿 拝殿
https://kirishimajingu.or.jp/national-treasure/
霧島市 文化財
https://www.city-kirishima.jp/bunka/kyoiku/rekishi/bunkazai/shitebunkazai/bunka-kirishima.html
文化庁 国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/

最終更新日: 2026.09.06