1900年築の木造駅舎 ― 2006年に登録
JR津山線(旧中国鉄道)建部駅駅舎は、岡山県岡山市北区建部町中田403-3にある建物で、2006年(平成18年)3月2日に国の登録有形文化財に登録された。員数は1棟、構造は木造平屋建、瓦葺、建築面積84平方メートル。文化庁は年代を明治/1900とする。
文化庁の解説は、開業の経緯をこう記す。岡山、津山間の中国鉄道の開通2年後に開業。路線が開通したときにはなかった駅が、後から加えられたことになる。
その理由も明記されている。請願駅であり、沿線住民から長く親しまれている。請願駅は、地元の請願によって設けられた駅をいう。
建物の3分の1が待合室
文化庁は平面の割り付けを具体的に記す。
南北棟、切妻造、桟瓦葺の木造平屋建で、桁行7間、梁行3間規模の南側桁行2間半分を待合室とする。
桁行7間のうち、南側の2間半が待合室である。建物の3分の1強にあたる。残りが駅務のための空間になる。
建築面積84平方メートルは、木造平屋建としては小さい。そのなかで待合室に3分の1を割いている構成である。請願によって設けられた駅であることを踏まえると、利用者のための空間が確保されていることになる。
3面だけに庇があり、南の妻だけ入母屋になる
屋根と庇の記載には、方角による違いが二つ現れる。
東南西の3面に1間幅の下屋庇を葺き下ろす。北面には庇がない。下屋庇は本屋根の下に差し掛ける庇で、壁際に軒下の空間をつくる。
もう一つは妻の扱いである。切妻造でありながら、南妻を入母屋に造る。切妻は屋根の両端が垂直な三角形になる形、入母屋は上部が切妻で下部が寄棟になる形である。
屋根の南端だけが別の形になっている。待合室が南側にあり、庇も南を含む3面に回ることと合わせると、南側が正面として扱われていることが分かる。
南北棟は棟が南北方向に走ることをいう。線路に沿って建つ駅舎の形式にあたる。
所有者名は合併前の記録である
文化庁は所有者名を「建部町」とする。
建部町は2007年に岡山市へ編入され、現在は存在しない。登録は2006年3月2日で、編入の前年にあたる。所在地の表記が「岡山市北区建部町中田」となっているのに対し、所有者名の欄は登録時のまま残っている。
公的記録の所有者名が、現在の行政区画と一致しない例である。資料を参照する際は、登録時点の記録であることを踏まえたい。
登録は「指定」とは別の制度で、届出制を基本とし、所有者が使い続ける自由を広く残す。駅として使いながら建物を残せるのは、この枠組みによる。
訪問
建部駅は現役の駅である。駅舎の外観は、駅を利用する際にそのまま見られる。
待合室は駅の利用者に開かれている。見学のための施設ではないので、列車の待ち時間などに合わせて見ることになる。
庇の回る東南西の3面と、庇のない北面を見比べると、方角による扱いの違いが分かる。南妻の入母屋も、南側から見ると確かめやすい。
交通はJR津山線の建部駅である。駅そのものが物件にあたる。
Q&A
- 建部駅駅舎はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
- 文化庁は年代を明治/1900とします。2006年(平成18年)3月2日に国の登録有形文化財に登録されました。員数は1棟、木造平屋建、瓦葺、建築面積84平方メートルです。
- なぜ路線の開通より後にできたのですか。
- 文化庁は「岡山、津山間の中国鉄道の開通2年後に開業」「請願駅であり、沿線住民から長く親しまれている」と記します。請願駅は地元の請願によって設けられた駅で、路線が開通したときにはなかった駅が後から加えられたことになります。
- 建物の中はどうなっていますか。
- 文化庁は「桁行7間、梁行3間規模の南側桁行2間半分を待合室とし」と記します。桁行7間のうち南側の2間半が待合室で、建物の3分の1強にあたります。残りが駅務のための空間です。
- 屋根に特徴はありますか。
- 切妻造でありながら南妻だけを入母屋に造ります。また東南西の3面に1間幅の下屋庇を葺き下ろし、北面には庇がありません。待合室が南側にあることと合わせると、南側が正面として扱われていることが分かります。
- 所有者が建部町となっていますが。
- 建部町は2007年に岡山市へ編入され、現在は存在しません。登録は2006年3月2日で編入の前年にあたり、所有者名の欄は登録時のまま残っています。所在地の表記は「岡山市北区建部町中田」となっています。
基本情報
| 名称 | JR津山線(旧中国鉄道)建部駅駅舎(じぇいあーるつやませんたけべえきえきしゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県岡山市北区建部町中田403-3 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2006年(平成18年)3月2日 登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積84平方メートル。南北棟、切妻造、桟瓦葺で、桁行7間、梁行3間。南側桁行2間半分を待合室とし、東南西の3面に1間幅の下屋庇を葺き下ろし、南妻を入母屋に造る。1900年 |
| 所有者 | 建部町(文化庁データベースの記載。同町は2007年に岡山市へ編入) |
| 公開状況 | 現役の駅。外観と待合室は駅の利用に伴って見られる |
参考文献
- 文化遺産オンライン JR津山線(旧中国鉄道)建部駅駅舎
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/151965
- 岡山県観光連盟 建部駅
- https://okayama-kanko.net/sightseeing/spot/128/
- 文化庁 登録有形文化財(建造物)の制度
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/
- 文化庁 国指定文化財等データベース
- https://kunishitei.bunka.go.jp/
最終更新日: 2026.09.04