慶長10年の三間社流造 ― 1920年に重要文化財
津島神社本殿は、愛知県津島市神明町にある桃山時代の社殿で、1920年(大正9年)4月15日に重要文化財に指定された。員数は1棟。構造及び形式は三間社流造、檜皮葺。文化庁は年代を桃山、慶長10年(1605年)とする。所有は津島神社である。
文化庁のデータベースは、この本殿について構造と年代を記すのみで、解説文を持たない。記録が形式と年だけという物件であり、評価の言葉は残されていない。
三間社流造は、正面三間の社殿で、屋根の前面を長く伸ばして向拝とする形式をいう。流造は神社本殿で最も多く用いられる形式である。
楼門は別の指定である
津島神社には楼門もあり、こちらも重要文化財だが、本殿とは別の指定である。
楼門の指定は1958年(昭和33年)5月14日で、本殿より38年遅い。構造及び形式は三間一戸楼門、入母屋造、檜皮葺。文化庁は年代を天正年間(1590年頃)とする。
楼門の解説はこう記す。津島神社は本殿がすでに重要文化財に指定されている。楼門は天正年間に建立されたものである。均斉のとれた三間一戸楼門である。「本殿がすでに指定されている」という書き出しは、後から追加された指定であることを示す。
二棟は建立の時期も逆である。楼門が天正年間(1590年頃)、本殿が慶長10年(1605年)で、門のほうが約15年古い。
指定の区分は重要文化財である
津島神社本殿の指定は重要文化財である。それより上位の区分には指定されていない。
文化庁のデータベースには上位の区分の指定年月日欄があるが、津島神社本殿については空欄である。旧来の記述に上位の区分と読める表現が見られたが、これは誤りである。指定の区分は正確に扱いたい。
重要文化財は、国が文化財保護法に基づいて指定するものである。そのうち特に価値が高いものは、さらに上位の区分へ指定される。津島神社本殿は前者の段階にある。
境内には他にも文化財があるが、本殿と楼門以外は市や県の指定であり、国の指定とは区分が異なる。
尾張造という呼称
津島神社の社殿配置は、尾張地方に見られる形式として「尾張造」と呼ばれることがある。本殿・祭文殿・回廊・拝殿を縦に連ねる配置をいう。
ただし文化庁の指定記録は本殿の構造を「三間社流造」とのみ記し、尾張造という語を用いていない。尾張造は建物単体の形式ではなく、複数の建物の配置を指す呼称である。
指定の対象は本殿1棟であって、配置全体ではない。二つを混同しないようにしたい。本稿は尾張造を、境内の見え方を説明する語として扱う。
本殿の三間社流造という形式そのものは、尾張に限らず全国に広く分布する。
参拝
境内の参拝は自由である。本殿は瑞垣の内にあり、拝殿から参拝する。近くで外観を見られる範囲は限られる。
楼門は境内の入口に建ち、こちらは間近で見られる。三間一戸という形式は、正面の柱間が三つあり、そのうち中央の一間が通路になっていることをいう。
7月に尾張津島天王祭が行われる。国の重要無形民俗文化財であり、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つでもある。建造物の指定とは別の枠組みである。
交通は名鉄津島線の津島駅から徒歩約15分である。
Q&A
- 津島神社本殿はいつ建てられ、いつ指定されましたか。
- 文化庁は年代を桃山、慶長10年(1605年)とします。1920年(大正9年)4月15日に重要文化財に指定されました。員数は1棟、構造及び形式は三間社流造、檜皮葺です。
- 津島神社本殿はどの区分に指定されていますか。
- 重要文化財です。文化庁のデータベースには上位の区分の指定年月日欄がありますが、本件は空欄です。重要文化財は国が文化財保護法に基づいて指定するもので、そのうち特に価値が高いものがさらに上位の区分へ指定されます。津島神社本殿は前者の段階にあります。
- 楼門も同じ指定ですか。
- いいえ、別の指定です。楼門の指定は1958年(昭和33年)5月14日で、本殿より38年遅く、こちらも重要文化財です。構造は三間一戸楼門、入母屋造、檜皮葺。文化庁は年代を天正年間(1590年頃)とし、門のほうが本殿より約15年古いことになります。
- 尾張造とは何ですか。
- 本殿・祭文殿・回廊・拝殿を縦に連ねる社殿配置を指す呼称です。ただし文化庁の指定記録は本殿の構造を三間社流造とのみ記し、尾張造という語を用いていません。尾張造は建物単体の形式ではなく複数の建物の配置を指し、指定の対象は本殿1棟です。
- 津島神社本殿は近くで見られますか。
- 境内の参拝は自由ですが、本殿は瑞垣の内にあり拝殿から参拝します。近くで外観を見られる範囲は限られます。楼門は境内の入口に建ち、こちらは間近で見られます。名鉄津島線の津島駅から徒歩約15分です。
基本情報
| 名称 | 津島神社本殿(つしまじんじゃほんでん) |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県津島市神明町1 |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物)/楼門は別に重要文化財 |
| 指定年 | 1920年(大正9年)4月15日 重要文化財 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 三間社流造、檜皮葺。桃山時代、1605年 |
| 所有者 | 津島神社 |
| 公開状況 | 境内の参拝は自由。本殿は瑞垣の内にあり拝殿から参拝する |
参考文献
- 文化遺産オンライン 津島神社本殿
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/174472
- 文化遺産オンライン 津島神社楼門
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/189073
- 愛知県 文化財ナビ愛知
- https://www.pref.aichi.jp/kyoiku/bunka/bunkazainavi/
- 津島神社 公式サイト
- https://tsushimajinja.or.jp/
最終更新日: 2026.09.03