旧堀田家住宅とは

旧堀田家住宅は、愛知県津島市南門前町にある江戸時代後期から明治にかけての町家で、主屋・東蔵・西蔵・小蔵の4棟が昭和53年(1978年)5月31日に重要文化財に指定された。附(つけたり)として古図9枚が指定に加えられている。

堀田家は津島神社の神官に連なる家系とされる。初代之理(ゆきまさ)は福島正則に仕え、正則が広島へ国替えとなったのを機に津島へ戻り、禰宜町に居を構えたと伝えられる。近世には酒造業・金融業・新田開発で財をなし、尾張藩寺社奉行所の御用達をつとめて名字帯刀を許された。文化庁の指定名称が「旧堀田家住宅(愛知県津島市禰宜町)」となっているのは、この禰宜町の屋敷地に由来する。

建物は、いまの場所に建てられたものではない。昭和48年(1973年)、道路の拡幅にともなって西へ約60メートル動かされた。このとき方位を45度北へ振って曳屋しているため、現在はほぼ北が正面になっている。敷地面積は約2,055平方メートル、およそ623坪。平成8年(1996年)3月、津島市が敷地を購入し、建物は堀田家からの寄贈を受けて市の所有となった。

主屋と三棟の土蔵

旧堀田家住宅の主屋は、居室部・座敷部・台所部が連なる大きな構成をとる。居室部は桁行14.2メートル、梁間12.6メートルの切妻造二階建で、東面に庇が付く。西側に接続する座敷部は桁行・梁間とも10.0メートル、東面と北面に庇を出し、南で居室部につながる。台所部は桁行6.5メートル、梁間10.5メートル、北面に庇を設け、東面が居室部に接する。ほかに茶室、湯殿・雪隠、女中部屋が附属し、屋根はすべて桟瓦葺である。

建造年代は棟札で押さえられている。居室部は前身建物の材を用いた明和2年(1765年)の建造、座敷部は明和7年(1770年)の建造と記される。台所部は19世紀の増築とされる。津島市は正徳年間(1711年から1716年)の創建と伝えると説明しており、棟札の年代とは開きがある。文化庁の台帳は主屋の年代を江戸後期としている。

座敷部の西には、東蔵・小蔵・西蔵の三棟が一連の庇でつながれて並ぶ。東蔵は米穀を納めた土蔵造の二階建で、桁行8.2メートル、梁間5.5メートル。西蔵は物置蔵で桁行7.3メートル、梁間5.6メートル、こちらも二階建である。両者のあいだを埋める小蔵は桁行3.0メートル、梁間4.8メートルの平屋建で、屋根を両側へ流す両下造とし、東で東蔵に、西で西蔵に取り付く。

三棟の現状について、愛知県の解説は、明治24年(1891年)の濃尾地震で大破したのち翌年に修理されたものだと述べる。文化庁の台帳は西蔵を江戸末期、東蔵と小蔵を明治の建物としている。

重要文化財に指定された理由

旧堀田家住宅が重要文化財に指定された昭和53年(1978年)の評価は、規模と質、そして保存状態に置かれている。文化庁の解説は、酒造業などを営んだ町家であって津島神社との関係が深いこと、愛知県下における町家の一遺例として重要であることを挙げる。

建築史の側から見ると、決め手は年代が確定している点にある。棟札によって居室部が明和2年(1765年)、座敷部が明和7年(1770年)と特定できるため、尾張地方の町家建築を年代順に並べるときの物差しになる。様式の比較から「おそらくこのころ」と推定するほかない民家が少なくないなかで、この違いは小さくない。

もう一つが、附指定に加えられた古図9枚である。屋敷の姿と間取りがどう変わってきたかを、図面と現存する建物の突き合わせで追える。愛知県の解説も、その後の改造が古図との比較で確認できる点を貴重だとしている。

居室部は東側に土間を通す片土間で、2列6室を基本とする平面をとる。1階と2階の開口部にはいずれも格子がはまり、両妻には卯建が上がる。軒の低い商家の構えを含め、尾張地方の町家の典型的な形がそろっている。

旧堀田家住宅の見どころ

大戸口をくぐると、右手が「みせ」、その奥が一段高い「みせざしき」になる。左手には待合にあたる「こみせ」。商いの応対はこのあたりで行われていたと考えられている。

内玄関の広い土間には荒神かまどが据えられている。かまどの上に荒神を祀ったことから飾りかまどとも呼ばれる。土間に面した部屋は「おえ」「ちゃのま」「だいどころ」「かって」などと呼び分けられ、接客にも使われた格式のある空間だった。土間との境に建具はなく、神棚が設けられている。この種の部屋は天井を張らずに梁組みや鴨居を見せることが多いが、旧堀田家住宅では他の部屋よりいくぶん高い位置に天井を張る。奥へ進むと居間・寝室・仏間が並ぶ。

客を通す側には書院、中の間、寄せの間(茶座敷)がある。座敷部の内装は明治21年(1888年)の改修によるもので、数寄屋造風の意匠が取り入れられている。道路から控えて建てられ、前面には塀と小庭がある。

茶室は二畳台目、つまり二畳に台目畳を加えた小さな席で、屋根は片流造の銅板葺。入口の脇に竹製の刀掛けが残っている。町人が使った刀掛けはいまではほとんど見られない。この茶室は堀田家6代当主知之と交流のあった両替町久田家の宗参の設計と伝えられ、18世紀後半の建造と考えられている。坪の内の露地庭とあわせ、一式のそろった茶座敷として知られる。

屋敷の玄関から座敷を抜けて奥の蔵へ達する配置は、尾張の町家建築の特徴だと津島市は説明する。旧堀田家住宅では、その順路の先に三棟の土蔵が控えている。

旧堀田家住宅の見学方法

旧堀田家住宅は津島市が所有し、一般に公開されている。開館は土曜・日曜・祝日の午前10時から午後3時まで。観覧料は一般300円、小中学生100円で、15人以上の団体はそれぞれ200円・50円になる。身体障害者手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳を持つ人は免除される。

休館日は月曜日(月曜が祝日の場合は開館)と、1月1日から3日まで、12月29日から31日まで。天候が荒れた日は、文化財保護の観点から臨時に閉まることがある。

火曜から金曜(祝日を除く)に見たい場合は、5名以上のグループで事前に申し込む。受付は3か月前から、土日祝を除く3日前の午後5時まで。津島市教育委員会社会教育課へ申込書を送るか、あいち電子申請・届出システムから手続きする。開館時間と料金は土日祝と同じである。展示や茶会などのために建物を借りる制度もあり、火曜から金曜、1日10,280円で利用できる。

撮影については、津島市の公式ページに一般観覧時の可否が明記されていない。市は旧堀田家住宅を会場とする写真展などを観覧促進事業として公募しているので一律に禁じられているわけではないが、訪問時に受付で確かめるのが確実である。

アクセスは名鉄津島線・尾西線の津島駅から徒歩約15分。車なら東名阪自動車道の弥富インターチェンジから約15分だが、専用駐車場はない。問い合わせ先は津島市教育委員会社会教育課、電話0567-24-1111。ここに記した料金・時間・休館日は2026年8月30日時点の公表内容である。

Q&A

Q旧堀田家住宅は見学できますか。開館日と観覧料は?
A見学できます。開館は土曜・日曜・祝日の午前10時から午後3時まで、観覧料は一般300円、小中学生100円です。15人以上の団体は一般200円、小中学生50円になります。月曜日(祝日の場合は開館)と1月1日から3日、12月29日から31日は休館です。
Q旧堀田家住宅へのアクセスは?最寄り駅から何分かかりますか?
A名鉄津島線・尾西線の津島駅から徒歩約15分です。所在地は愛知県津島市南門前町一丁目2番地の1。車では東名阪自動車道の弥富インターチェンジから約15分ですが、専用駐車場はありません。
Q平日に旧堀田家住宅を見学することはできますか?
A火曜から金曜(祝日を除く)は、5名以上のグループが事前に申し込めば観覧できます。受付は3か月前から、土日祝を除く3日前の午後5時までです。津島市教育委員会社会教育課へ申込書を提出するか、あいち電子申請・届出システムから手続きします。
Q旧堀田家住宅はいつ建てられた建物ですか?
A主屋の居室部は棟札から明和2年(1765年)、座敷部は明和7年(1770年)の建造とわかります。台所部は19世紀の増築です。津島市は正徳年間(1711年から1716年)の創建と伝えると説明しており、文化庁の台帳は主屋の年代を江戸後期としています。
Q旧堀田家住宅では何棟が重要文化財に指定されていますか?
A主屋・東蔵・西蔵・小蔵の4棟です。昭和53年(1978年)5月31日の指定で、主屋には附として古図9枚が加えられています。所有者は津島市です。

基本データ

名称旧堀田家住宅(愛知県津島市禰宜町)
所在地愛知県津島市南門前町一丁目2番地の1
指定区分重要文化財
指定年昭和53年(1978年)
員数4棟(主屋・東蔵・西蔵・小蔵)、附 古図9枚
寸法主屋居室部 桁行14.2m・梁間12.6m/座敷部 桁行10.0m・梁間10.0m/台所部 桁行6.5m・梁間10.5m/東蔵 桁行8.2m・梁間5.5m/西蔵 桁行7.3m・梁間5.6m/小蔵 桁行3.0m・梁間4.8m
所有者津島市
公開状況土曜・日曜・祝日の10:00から15:00まで公開。観覧料は一般300円、小中学生100円。火曜から金曜は5名以上の事前申込制

参考文献

国指定文化財等データベース 旧堀田家住宅(愛知県津島市禰宜町) 主屋 ― 文化庁
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1234
国指定文化財等データベース 旧堀田家住宅(愛知県津島市禰宜町) 東蔵 ― 文化庁
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1235
国指定文化財等データベース 旧堀田家住宅(愛知県津島市禰宜町) 西蔵 ― 文化庁
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1236
国指定文化財等データベース 旧堀田家住宅(愛知県津島市禰宜町) 小蔵 ― 文化庁
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1237
重要文化財「堀田家住宅」について ― 津島市
https://www.city.tsushima.lg.jp/shokai/bunka/bunkazai/jyuuyoubunnkazai.html
堀田家住宅観覧促進事業 ― 津島市
https://www.city.tsushima.lg.jp/shokai/bunka/bunkazai/220020a201.html
文化財ナビ愛知 旧堀田家住宅(愛知県津島市禰宜町)〈主屋 附 古図9枚/東蔵/西蔵/小蔵〉 ― 愛知県
https://jmapps.ne.jp/aichi_bunkazai/det.html?data_id=1054
堀田家住宅 スポット検索 ― 愛知県観光サイト Aichi Now
https://aichinow.pref.aichi.jp/spots/detail/2688/

最終更新日: 2026.08.30

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